試乗レポート~日産 フェアレディZ VersionS (2002/10/13)

試乗日:2002/10/13

ボデイ・内装

 前後のオーバーハングを切りつめたボディ、大形でホリの深いアルミの組み合わせはスポーティな印象を与える。ビーム砲を連想させるフロントライトは前をゆくクルマを威圧する。

 本格スポーツの雰囲気十分。しかし残念なことに、リアのデザインはソアラにそっくり。

 ドアノブは内外共に金属製なのに、メタリック塗装されていて安っぽいプラスチックに見える。ドアの開閉音もベ~ンと振動が尾を引く感じで今一つ。

 運転席から各種アクセスがしずらい。収納ボックスが遠く、カップフォルダーへは腰をストレッチしないと届かない。ドアの開閉もしずらい。自然に手が延びるところにあるべき物がない点で、マツダ ロードスターと共通する。

 エアコンとナビのスイッチのタッチには高級感がある。しかし純正オーディオのスイッチは今一つ。チープで統一感がない。ドアロックのシーソースイッチも硬く操作感が良くない。

 空調騒音はこのクラスとしてはまあまあのレベル。エンジン音やロードノイズが結構大きいので、あまり気にならない。

 傾斜が強い後方ガラス越しに見る後方視認性はかなり悪い。ルームミーラーにサングラスホルダーの上端が写り込んで視界を遮っている。

 

走り

 排気量が大きいだけあって低回転から十分なトルクがあり、必要にして十分な加速が得られる。但しボディが約1.5トンもあるため軽快感はない。

 エンジン音は積極的に遮音されていない。ドライバーにエンジン音を積極的に聞かせる設計らしいが、このV6エンジンの音は「ガラガラ」いう印象。スポーティでも、高級でも、官能的でもない。悪く言えばガサツ。

 エンジンの騒音に比例して振動も室内によく伝わってくる。特にクラッチに伝わる振動が大きい。高回転になってもエンジンの音色は変化しないが、振動でドアやボディがビビり不快な音が被さる。

 シフトは手首を返すだけでカチカチ決まるよう意図されているが、走行中の操作は引っかかりがあって入りにくい。これはZに限らず、6速シフトに共通する欠点。

 乗り心地はゴツゴツした感じがあってかなり固いが、さほど不快でないレベル。

 ブレーキはフィールが素晴らしく、初期制動からカッチリ効いて効き方もリニア。

 シフト、クラッチ、ステアリングなどすべての操作系が重い。これがスポーツカーの「味付け」だとしたら問題だ。操作系が重いと疲労に繋がり、走りを楽しめない。

 Zには革張り仕様もあるが、経験上、革張りは背中が滑りやすい。スポーツカーのシートは、ファブリックがベストである。

 

総合

 Zはスポーツカーではなく、スペシャリティーカー。インテリア、エクステリア、ブレーキ、動力性能からしてスポーツカーを作ろうとしたようだが、重すぎるボディのせいでスポーツカーになれなかった。残念なクルマである。

 

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