試乗レポート~BMW MINI COOPER S 6MT , COOPER カブリオレ 5MT (2005/8/28)

試乗日:2005/8/28

ボディ・内装

 前後を極力切りつめて4つのタイヤをコーナーに配置したデザイン、キュートなフロントマスクが特徴。

 左右の窓が大きく中が丸見えで、乗っている人の顔がよく見える。女の子が乗っていると目立ち、とてもかわいらしく見える。女性のライフスタイルを演出できる数少ないクルマの一つ。

 室内はレトロチックにデザインされている。インパネは左右対称で、ハンドルがどちらについても対応しやすい設計のようだ。

 ただし全体的な質感は低く、ヴィッツやマーチと大差ない。大きなセンターメータはオモチャのアナログ時計を見ているよう。

 空調の音量は小さく風量最大でもさほどうるさくならない。特に内気、外気の切り替えで全く音が変化しないのは立派。

 オーディオのレンジは広くないが低音がやや強め。走行中にロードノイズに埋もれやすい低音をバランスよく聞かせるよう調整されている。オーディオはアップグレード可能であり、エンクロージュアはそれなりにしっかり作られている模様。

 パワーウインドウの上下フィールは標準的なもの。但し締めるとガラスが少し下がる機構がついていて、気密が悪くなっているためかドアを締めたときの音はあまり良くなく「ベン!」という感じ。

 シートはドイツ車らしくしっかりしたもので脊椎に確かな反力を感じる。リアシートはお尻を沈み込ませることで狭いながらもレッグスペースを確保しており、大人が乗っても窮屈な感じは少ない。

 ウインカーやライトのスイッチフィールはオモチャレベル。ウインカーとワイパーのレバーが左右逆のため、慣れないうちは間違えてワイパーが動いてしまう。

 アクセルとブレーキベダルの距離が離れすぎていて、クラッチに寄りすぎている。最初、ブレーキペダルが無くなったかと思ってあせった。ブレーキを踏みながらカカトを使ってアクセルを煽るような操作は出来ない。

 

 

走り

 エンジンは回転に比例して音は大きくなるものの、音色の変化はほとんど無いく優秀。

 スーパーチャージャー付きのクーパーSは軽いボディとあいまって鋭い加速をする。低回転からトルクがありターボのような不自然なパワーの盛り上がり感がない。体感的なパワーフィールは3.5LのフェアレディZに近い。

 試しにパワーウエイトレシオを計算してみるとミニSが1180kg/220ps=5.4、フェアレディZ VerSが1440kg/280ps=5.1というように結構近い関係にある。

 6MTのストロークは長めに作られていて入りは悪くない。ただ5-6速のゲートに金属のエッジをこするような感触がある。やはり6速より5速のフィールの方が良い。いずれも操作によってゴトゴト音が出る。これは好みの分かれるところ。

 クーパーSのブレーキはタッチが鋭く優秀、クーパーの方はごく普通。

 ステアリングフィールはどちらも優秀で重さも適度、余計な遊びも無い。

 クーパーSのクラッチはかなり重いが、クーパーは適度な重さであり運転しやすい。

 乗り心地はドイツ生まれのせいか、かなり硬質でゴツゴツしている。優れた外見と裏腹に、クーパーに乗り心地の良さは期待できない。クーパーSは結構厳しい乗り心地。

 クーパーも国産車と比較すると結構硬めで、ロードノイズも大きい。走りの質感はヴィッツなど最近の国産とは比べものにならない。まるで10年以上前の国産コンパクトカーのよう。

 カブリオレのボディ剛性は明らかに不足、ちょっとした加振力でボディがブルブル、ワナワナと振れる。水漏れのトラブルも聞くし、これは選択しない方が無難。

 

総合

 見た目と機能だけが高級車並で、走りの質感は国産のコンパクトカークラスと同等以下の印象。走りの質感やクルマとしての完成度は、最近の国産車の方がずっといい。クラス不釣り合いな付帯機能が沢山付くるおかげで、価格が割高。

 クーパーSは特殊で、重い操作系、鋭い加速、硬い乗り味、ロードノイズなど、総合的なドライブフィールはフェアレディZ[1]とよく似ている。

 最も下位のONEは屋根の色を選べないが、乗り心地は最もソフトで日本に適している。女性が買うなら、ONEがお勧め。

 

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