試乗レポート~トヨタ86 G AT (2012/5/31)

試乗日:2012/5/31

ボディ・内装

 本格スポーツをイメージさせる前衛的デザイン。シートに座ると深く沈みこみ、RX-7に乗ったときのことを思い出させる。

 シートベルトは取りやすいようホルダーが付いているが、シートと一体で布製のため耐久性に懸念がある。

 内装は安っぽい。一応部分的にクッションが入っているが安いシボではそのメリットが生かされない。バイザーは梱包材のような質感。天井裏は空洞のためボン付く。

 操作系のタッチはまあまあ。Gグレードのオーディオは2スピーカ、高域が不足した篭ったような音色で音質に語るべき特徴はない。

 空調は風量最大のときの音がやや大きい。外気循環にしても大差ない。噴出し口のデザインを優先した弊害と見られる。

 Gグレードのタイヤは剛性と乗り心地がベストバランスな205/55。GTの215/45は轍にハンドルをとらやすいかもしれない。

 

走り

 エンジン音やロードノイズがやや大きい。遮音、防振材料などをだいぶ少なくしたと見られる。エンジンの音色はまずまずのレベル(後述するおせっかいなサウンド制御さえなけば)。

 ブレーキフィールはまずまずで不満ないレベル。

 ATのアクセルとスロットル開度の動作がきちんと連動してない。タコメータの表示と回転音もなぜか一致しない。電子制御の介入による遅れと思われる。

 ATは低回転から十分なトルクが感じられ、1.2トンの重さにもかかわらず非力、重鈍な印象がない。

 スロットルを空けると排気量が不自然に拡大される。このサウンド制御は消音量を可変にする仕組みで実現しているらしい。

 ステアリングフィールには甘さや不自然さがなく、スポーツカーとして合格レベルにある。
 ATのシフトチェンジの応答は速く、優秀。これならマニュアルモードも使えるかも知れない。

 

総合

 トヨタから本格的なスポーツカーが登場した。アルテッツアのときも同じ「本格」の評判に騙された人が多かったが、今度のはそれよりはマシになっている。

 ただ86のフンドシは必要なかった。86を名乗るなら、頭文字Dとコラボしたら相乗効果を発揮できたかもしれない。

 重さに対してやや動力不足と思ったが、パワートレインのバネ剛性が高く、操作に対する応答が速い。これによって、合格点のハンドリングを獲得している。

 遮音材を省いて快適性能がやや犠牲になっているのが残念。ロードノイズが大きいといってもR32DETと同レベル。重量などいろんな要素を考慮したベストバランスがこれなのかもしれない。

 6MTの検証はできていないが、5-6間が大きく開いており6速は完全に高速巡航用である。

 アクセルに連動したサウンド制御は不自然。スポーツフィールを損ねる余計な機能。撤廃を願う。

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