試乗日:2010/3/18
ボディ・内装
最近のホンダに共通するアグレッシブなデザインで内装もそれに準じる。未来をイメージするものだが個性の強いメータ周りも含めアニメチックにならず、うまくまとめている。
内装も上質感がありスイッチなど操作系に高質感がある。しかし天井パネル内側は空洞らしくバイザーをあげるとボン付く。全体的に操作系の質感が高い中にこういう所があると気になる。
ナビ一体オーディオもまずまず、音質はラウドなどイコライザをかけずフラット指向にまとめている。低域はスピーカの制約からほとんど出ないが、同時に高域のレンジも控えめのため、バランスの良い音が出る。
エアコンの空調も内外気の切り替えで音量差がなく、風量MAXでも煩くならないレベルに仕上げられている。
シートベルトが取りにくい問題がある。これは肩の上から取らず、腰のところから引っ張り出すようにすれば対処できそうだった。
走り
エンジンフィールは4気筒として普通、排気音は専用チューンしているロードスターに較べると今一歩に感じる。
発進はタイムラグを伴いガクンとくるため、ギクシャクしてしまう。トルクの立ち上がりも不自然でいきなりクラッチを繋いだときの挙動に近い。このあたりは改善の余地がある。いったん走り出せばモーターアシストにより力強い加速が得られ1.5Lからイメージする非力さはない。
CVTに搭載のマニュアルシフトは応答が速くて使える。今までのマニュアルシフトがオマケ程度だったのに対し、やっとまともなものが出来たと感じた。
ステアリングフィールは軽いボディと相まって鋭敏。BMWに近い感覚がある。パワステの重さも適度で、キビキビしたハンドリングを得ている。
乗り心地は固すぎず、ロードノイズもこのクラス普通のレベル。これらについて不満が出ることはなさそう。
総合
このクルマは「ハイブリッドスポーツ」だという。エコとスポーツを両立させようという無茶な目論見で計画された、ホンダらしいクルマに見える。
1トン少々の軽いボディに鋭いハンドリング、快適性能をバランスさせたこのクルマには、十年来見なかった「スポーツカー」を感じる。
スポーツカーとしての良さを存分に味わうにはCVTよりMTが良いが、残念なことに6MTになっている。ここが5MTだったら、よりバランスの取れた仕上がりになったはず。
値段はハイブリッドのせいで少々高い。1.5L+ロープレッシャーターボでエコを目指すという選択肢もあったのではないか。FF+NA はホンダの縛りだが、最近はステアリングジオメトリの設計が進歩してFFとFRのフィーリングに差がなくなってきた。
ハイブリッドでもう一つ気になるのが電池交換費用。交換したらいままで節約してきた燃料代が吹き飛んでしまうのでは、経済性のメリットがあるとはいえない。
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