カーシャンプーの主成分(合成界面活性剤)がボディに残留すると、塗装を浸食することがある[1]。そういうリスクが少ない洗剤の候補に、天然成分由来の「石けん」がある。
石けんも合成界面活性剤も、相手に吸着したり、界面を活性化させる働きは同じ。しかし石けんは希釈されると活性を失う(界面活性剤の作用が無くなる)ため残留物が悪さしない。
カーシャンプーの代わりに石けんを使えば、塗装を侵食する心配やトラブルを無くせるかもしれない。
石けんとカーシャンプーの洗浄力を比較する
石けんで代替する際、いままで使ってきたカーシャンプーと同じ洗浄力になる石けんの濃度を知る必要がある。そこで、実験してみた。
洗浄力のテスト
(水温21℃、手にサラダ油を塗って洗浄)
希釈率 | 20 | 40 | 80 | 160 | 320倍 |
液体石けん (台所用,DCM JPN) |
〇 | 〇 | △ | × | |
カーシャンプー(0.7円/cc) (ウイルソン) |
〇 | 〇 | △ | × | |
粉石けん(0.6円/cc) (スノール 0.8g/cc) |
〇 | 〇 | 〇 | △ | × |
表の判定は、手に付いた油汚れが完全に洗い流せて〇になる。
液体石けんの洗浄力が劣るのは、含まれる石けん成分が少ない(約70%が水分)ため。この実験でカーシャンプーが液体せっけんの原液と同程度であることがわかった。従い、液体石けんはカーシャンプーとまったく同じように使える。
粉石けん(スノール)はカーシャンプーの半分で済む。
カーシャンプーは水に薄めて使うのが普通で、説明書きによると4L/70ml(希釈率57倍)。粉石けんはこの半分、つまり0.8×70ml/2 = 28g(35cc) 。つまり、4Lの水に対し、おおさじ2杯程度。ランニングコストは約半分になる。
粉せっけんの溶かし方にはコツがある。関連記事2を参照してほしい。
ついでにカビと藻類を抑制する
青空駐車では藻類やカビが繁殖しやすいため、洗うだけでは不十分な場合が多い。
カビはバンパーやエアロパーツの継ぎ目によくみられる。黒っぽい汚れの大半はカビ。藻類は緑っぽく、下回りの継ぎ目などによく見られる。これらのカビや藻類は、ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)の追加で対処できる。
キッチンハイターは界面活性剤を含むので、ただの「ハイター」と書かれた商品がお勧め。
漂白用に売られているハイターの成分は、次亜塩素酸ナトリウムNaOClと水酸化ナトリウムNaOHの混合物。いずれも有機物と反応する性質があり、藻類やカビの細胞膜を破壊する。
ハイターを使う際には希釈倍率に注意したい。500~1000倍程度が適当(水1Lに対して1~2ml)。この程度の濃度であればウレタンのスポンジも痛めず、皮膚への刺激もほとんどない。
ハイターの残留物は水酸化ナトリウム。すすぎが不十分だとアルミパーツを腐食する場合があるので注意。
<参考購入先>
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ハイター 大 洗車用には界面活性剤を含まないこちらの商品がお勧め。
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