塩酸処理済み大磯砂はこうして作られる

 次の図は、創造の館が導き出した、塩酸処理済み大磯砂の製作工程。自作の参考にして欲しい。ST,HGとはグレードを表し、それぞれ「スタンダード」「ハイグレード」を意味する。

 

基本工程

makesuna

 カルシウムの溶解には強塩酸を使う。使う量の比率は次が目安。

砂(kg):水(L):強塩酸=10(kg):4(L):0.2(L)

 工程では塩酸処理を2回やるので、上記の量を半分ずつ2回に分けて使う。1度で処理するより溶け残りが少なく品質の高いものができる。

 カルシウムと塩酸が反応すると水が出来て塩酸の濃度が薄くなるので、水の初期量は砂の表面と水面が一致する程度でいい。

 砂の品質にはばらつきがある。いつまで経っても溶解が完了しない場合は塩酸を追加する。

 

 塩酸を入れたら、12時間置きに攪拌し、泡抜きを行う。これは、砂の中で貝殻の周囲を泡が覆ってしまい、溶解効率が落ちるのを防ぐ為。

 処理の完了は、12時間後の攪拌時に泡が出てこないことをもって確認する。溶解が完了したら、処理溶液と砂を振るい分けし、砂はよく洗浄し、廃液は中和して破棄する。

 中和にはいろんな方法があるが、水酸化ナトリウムを使うと少量で効率よく中和が出来て便利。

 最後に砂を洗浄するので、最初の予備洗浄は省略してもかまわない。しかし、予備洗浄して置いた方が、溶解処理の確認がしやすくなる。

 ST(スタンダード)の場合はこれで終わり。HG(ハイグレード)では、ここからさらに残留する塩化水素を抜く作業を行う。

 

 

HG(ハイグレード)にするための追加工程

 処理した砂を水に漬け置きしながらPHの低下を観察し、PHが落ち着いた時点で全ての水を入れ替える。これを、PHが規定値になるまで繰り返す。砂に対して出来る限り多くの水を使う方が、換水の回数が少なくて済む。

 このプロセスで水酸化ナトリウムを使うと換水の回数を減らすことが出来る。砂を水に浸したら、水酸化ナトリウムの水溶液を加えてPHを10に調整する。定期的に攪拌をおこない、PHを測定して7を下回ったら水酸化ナトリウム溶液を追加し、2回目以降はPHを8に調整する。

 PHの変動がほとんどなくなったら最後に水を入れ替えて1日漬け置きすれば完了。

 

 最後のダメ押しに煮沸処理を実施する。これも、砂に対して可能な限り大量の水を使うことで品質のよいものができる。煮沸は長時間グツグツ煮る必要はなく、一度沸騰させればOK。

 煮沸処理で塩酸は除去できないが、煮沸することで漬け置きではなかなか抜けない残留塩化水素を煮出すことができる。早く処理を完了したい人は、漬け置きのプロセスを煮沸の繰り返しに置き換えてしまってもよい。

 煮沸処理が完了したら、煮汁のPHをチェックして、既定値をクリアしていることを確認する。最後に水洗いして煮汁を除去し、完成。

 

 

 

ST(スタンダード)の残留塩化水素の影響について

   残留塩化水素を除去していない大磯砂が水をどの程度酸性に傾けるか、計算してみた。

 14kgの塩酸処理した大磯砂には、おおよそ1.3gの塩化水素が残留する。これを60cm水槽に入れて水を満たすと、水のPHは3.2まで下降する。

 実際にはすべての塩化水素が一度に溶け出すことはないので、ここまでいきなり下がることはない。丈夫なパイロットフィッシュを使って上手に換水していけば、問題なく乗り切れるだろう。

 既に魚がいて、ろ過が完成している水槽の場合は危険。HGのレシピで処理することをお勧めしたい。

※:砂に含まれる炭酸カルシウム(CaCO3)は、重量比1%、細目大磯砂の吸水率は約3%Wb(実測値)として計算。処理に必要な塩酸の量からして、砂に含まれる炭酸カルシウムの量は、これまでの実績から1%以下と推定。

 

 

最後に

 大磯砂をアクアリウムに利用する場合は塩酸を使って酸処理しなければならない。大磯砂にこだわりがないなら、塩酸処理が必須でない砂(田砂など)をお勧めする。

 

 

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