究極のスピーカーケーブルを作る

 スピーカーケーブルで最も重要なスペックは電線の抵抗だった[1]。基本的に「太く短く」を意識して選ぶのが正解だが、SPターミナルに入らないほど太い電線は扱いにくい。太すぎる電線の重みでターミナルに有害なストレスをかけてしまうこともある。

 今回は、このような問題が起こらず、かつ究極的に抵抗を小さくできるスピーカーケーブルの作り方をご紹介する。

 

基本構造

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 図は抵抗を小さくできるスピーカーケーブルの基本構造。

 主電線はもっとも長い部分に該当し、図の例では3本がパラになっている。圧着端子の一方がアンプ、他方がSPのターミナルに結合される。

 つまり、長い部分をたくさんパラにして十分抵抗値を下げ、両端に接合した短い引出線を使って機器に接続する。こうすれば、「太すぎてターミナルに入らない」「重さでストレスをかける」といった問題もなく、十分抵抗の小さなケーブルを作れる。

 このケーブルの太さや本数、長さを適切に設計するためのワークシートを用意した[2]。計算をもとに合理的に作った自分だけのカスタムケーブルは、市販のあらゆるケーブルを凌駕するだろう。

 

 

作り方

1.用意するもの

圧着端子

 アンプやスピーカのターミナルのサイズをよく観察して必要な物をそろえる。金メッキではなく電気工事で広く使われているスズメッキ品の方が接触抵抗を小さくできる。

 圧着端子はターミナルの形状ををよく観察して適合する物を用意する。図の端子は丸形だが、ターミナルのナットが外れない場合は、フォーク型にする。

 端子は一般に裸だが、必ず絶縁キャップを併用する。端子の根本で素線が切れたり、露出している銅線の腐食を防ぐ効果がある。

圧着工具

 ペンチのような簡易的なものは不可。ラチェット付きが必要。22スケ以上に対応している物もあるが、手作業で圧着出来るのはせいぜい14スケまで。これ以上のものは油圧工具を使わないと厳しく電線を切るのも大変。

 一般家庭では取り扱いや加工性から8スケが上限の目安。下限は1.25スケから対応できればよい。

はんだごて

 60W程度で十分な熱容量を持つものが必要。熱容量やワット数が低いと、電線に熱を吸われて先端がすぐに冷えてしまい、作業がうまくできない。先端がメッキされていて、温度調整機能が付いていればなおよい(先端が銅むき出しのものはすぐに酸化皮膜ができてうまく作業できない)。

主電線

 耐熱電線もしくは住電日立ケーブル。2.0sq、3.5sq (AWG14,12)あたりが使いやすい。構造や銅線の純度は気にしなくて良い。耐熱電線で太い商品は少ない。接合に端子台を使う場合(後述)、耐熱性は不要。

引出線

 長さ15~20cm程度。主電線と同じでよい。計算からわかるように、この線の影響は小さいので、無理に太くしたり、極端に切りつめる必要はない。

 

2.接合の仕方

 ハンダ付けと端子台を使う方法がある。端子台はすべての電線を端末処理してねじ止めする。

 主電線はバラバラにならないよう互いに撚りあわせたり、編組(四ツ編みなど)にするといい。時間をかけて美しく仕上げるのも、自作ならではの楽しみ。

 ハンダ付けは各線の皮をむき、バラバラにならないよう、少し撚りあわせた状態を作る。作業がしにくい場合は、細めのスズメッキ軟銅線(俗に言うジャンパー線)をクルクル巻いておく。はんだごてを使って素線を十分あたためながら、少しずつハンダを染みこませていく。

 ハンダ付けが終わったら、熱収縮チューブを使って絶縁被覆を作る。綺麗に仕上げる為にヒートガンがいる。屋外配線用の自己融着テープアセテート粘着テープでも代替できる。一般的なビニールテープは湿気を吸ってベタベタになるので長期保護には使えない。

 沢山の主電線を繋ぐ場合は、下図のように分岐を作ってハンダ付けする本数を減らすとよい。

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 圧着着工具やはんだごてなどの道具はケチらずに良い物を揃えて欲しい。

 

 

<参考購入先>
スピーカーケーブル一覧

<関連記事>
1.スピーカーケーブルの本質を探る
2.設計計算ワークシート
audiocal

 具体的な電線の選定と設計は、このワークシートを利用する。計算の判定基準としては、合成DFが30以上、Qの上昇率を3%以内を目安とした。この両方を満たしていれば、SPケーブルの影響は無視できる(聴感上知覚されない)と考えられる。

 上記の電線を自作する前に、現在お使いのケーブルの緒元を使ってQの上昇率を計算して欲しい(主線の本数を1本とし、引出線の長さを0にする)。既に上記の条件を満たしてれば、ケーブルを交換する必要はない。