アンプのボリウム精度を検証する

 以前、アンプの価値はボリウムの性能・品質で決まると書いた。音像定位、音場密度はよく話題になるが、それはあくまで、L,Rの音量がキッチリ等しい(ギャングエラーがない)前提で成り立つ話だ。たとえば、L,Rの音量差が3%あると、センターに定位するはずのボーカルがスピーカ間隔に対し約3%偏る。5%も違っていると、全体に音場が偏って聞こえ、音量が低いチャンネルの音場が希薄になる。無論、視聴位置の方がズレても同様の現象が起こるし、スピーカのセンターに座って聴かない人には関係のない話である。数パーセントの誤差が問題になるのは、Hi-Fiアンプとして見た場合だ。

 市販のアンプのボリウムはどのような特性、誤差があるのだろう。測定は簡単で、1kHzの正弦波が記録されたCD(DENON AUDIO TECHNICAL CD 38C39-7147)などを使ってSP出力電圧をデジタルテスタで測ればいい。このCDにはいろんなテスト信号が記録されており、1枚あると何かと便利だ。
 手持ちの機器を利用してボリウムのカーブと誤差について測定したでデータを示す。横軸のボリウム位置は、アンプ本体に表示の出る物はその値を、表示の無い物は時計の時針位置で示した。

 注:テストCDの中には、アナログ信号を録音したものがある。今回のような微妙な比較をするケースでは、デジタル波形の数値データをそのままCDに記録したもの(上記DENON製など)が適している。

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グラフは誤差が大きい順にべてある。以下、上から順に考察する。

  • 最初のグラフは定価58万円の海外製高級アンプ(マッキントッシュMA-6800)だが、ボリウムはお粗末で、誤差が大きい上に位置によって大きくブレている。こういうアンプは音質云々する以前にまともなステレオ再生が期待できない。
  • 2番目のミニコンポは可変抵抗器を使いながら健闘している。Hi-Fiオーディオが廃れた今、ミニコンポといえど醜い手抜きは無くなっている。
  • SG40はパワー部がデジタルでプリ部はアナログだ。そのボリウムコントロールはおそらくデジタルポテンションメータ(デジタル指令で抵抗の大きさを切り替るIC)だろう。このICも中身は抵抗アレイなので誤差が避けられない。
  • C-275はさすがに高級機、なめらかなカーブを持ち、誤差も少ない。ボリウム位置1以下は測定限界以下で不明。
  • ケンウッドはフルデジタルアンプだけあってさすがには誤差は少ない。僅かな誤差はDA変換部分に非直線な部分があるせいか。コスト的な制約で高品質の部品が使えないのかも知れない。
  • 最後のソニーもフルデジタルアンプでありこちらは誤差がほとんど無い。ヘッドホン出力もこれと同様ほとんど誤差がなく優秀だ。
     

海外製アンプは超高級機でも粗悪なボリウムが使われていることがあり要注意だ。上記の機種も何となくボーカルがズレるのは解っていたが、スピーカの感度か部屋のせいだと思っていた。また、アンプの価格が高いだけに、

「アンプに問題があるはずがない」

 

という先入観もあった。そんなこともあって、気が付かないで使っているケースは相当あると思う。これまで、こうした測定データをほとんど見たことがないからだ。

アンプの価値はボリウムの性能・品質で決まる。これがいい加減な機器は、音以前に使い物にならない。アンプの出口で左右のゲインが揃っていることは、Hi-Fiオーディオ機器の大前提とえいる。この特性が正確な機器には「信頼感」があり、問題解決を容易にする。たとえば、定位や音場がおかしければ、SPもしくは部屋が原因だ。

 

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