メダカの稚魚(針子)のエサにゾウリムシが良く使われる。酵母などで培養すると、ドブのような強烈な悪臭がして不衛生。そこで、綺麗で清潔な培養ができる方法をご紹介する。
本来の培養方法
ゾウリムシを扱う研究の現場では、昔からレタスジュースや稲わらが培養に使われている[1]。文献1の稲わらレシピによると、5本程度を1Lの水で15分煮たものを使うとある。ここは創造の館流レシピをご紹介する。
1.煮汁を作る
稲わらの濃い煮汁を作る。写真は圧力なべで稲わらを煮る様子。稲わらを水面から隠れる程度入れ、圧力2で10分程度煮る。稲わらの量にもよるが、2回煮出しできる。保管場所が気になる人は煮詰めてしまってもよいだろう。
時間がかかるが、鍋で煮てもよい。
稲わらは通販やホームセンターで手に入る。手軽にやるならその辺に落ちている落ち葉でもOK。
2.希釈する
冷えたら煮汁原液をカルキ抜きした水道水などで20~30倍くらいに薄めてこれを培養液とする。これにゾウリムシの種を入れる。カルキ抜きは煮汁原液の方に入れておく。希釈して使うので大目に入れる。多く入れる分は問題ない[2]。煮汁原液は必ず冷蔵庫に保管する。
写真は煮汁原液を薄めた様子。濃くても薄くても繁殖が悪い。写真では稲わらが入っているが、煮汁を取った稲わらのカスは増殖に寄与しないので捨ててしまって構わない。
写真は落ち葉の煮汁を利用した例。
運用方法
バクテリアが繁殖してくると半透明の培養液が白濁し、これを餌にゾウリムシが増える。
ゾウリムシは上の方に集まるので、上部から使用して、減った分を水道水で継ぎ足す。培養液の色が薄くなって繁殖が悪くなってきたら原液を継ぎ足す。
5本くらい同じものを作ってローテーションすれば切れ目なくゾウリムシを収穫できる。
ペットボトルの蓋は少しひねって隙間を作る程度でよい。水を少な目して空気が容器の1/3あるようにすれば密閉しても問題ない。
繁殖が悪い場合は培養液が濃すぎる可能性がある。別の容器に継ぎ足して水道水で薄める。
評価
しばらく運用してみた結果は次の通り。
稲わら>腐葉土>落ち葉
この順番は、バクテリアによる分解のしやすさが関係しているとみられる。どれも順調に増えるが、落ち葉は数回水を入れ替えると分解が追い付かなかくなって水が透明になってしまう。
どれも水から異臭がすることはない。基本的に枯れ葉、稲わらの臭い。培養液を直接魚に与えても問題ない。
写真は落ち葉で増えたゾウリムシ。臭わないことはないが、ビール酵母のようなドブ臭はない。わりとマシな水と一緒にゾウリムシを稚魚に与えることが出来る。
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<参考文献>
1.ゾウリムシの培養法 慶応義塾大学自然科学研究教育センター