オーディオという趣味が廃れたのはなぜか

 コンポーネントの売れ筋がミニコンポに移り、フルサイズのコンポが売れなくなった。その市場も海外製品に押されて虫の息。国産コンポの魅力がここまで落ち込んだのはなぜだろう。

 

 ピュアオーディオ全盛の時代、オーディオ製品のモデルチェンジサイクルは短かかった。6万円前後の売れ筋商品は半年ごとにモデルチェンジされ、買ってもすぐに陳腐化した。

 6万円というと決して安くない金額である。オーディオ製品は一度買ったら長く使うもの。よく考えて作られたものを長く使いたい、それが消費者の本音ではないか。

 メーカが頻繁にモデルチェンジするのは、買い換え需要を喚起するため。そういう売り方が通用したのは1990年代まで。それ以降は中途半端な即席コンポを喜んで買い換える人がいなくなったように思う。携帯電話やネットの普及と連動して、オーディオの市場は急速にシュリンクしていった。

 

週間FM 1979年6月号 スピーカーランキング

出典:週間FM 1979年6月号

 写真は1979年のオーディオ雑誌のスピーカー人気ランキング。オーディオコンポーネントの中で最も音創りが難しいのがスピーカー。その昔、どのメーカもヤマハNS-1000Mを横目で見て3ウェイの中型ブックシェルフを作っていた時代があった。

 半年というモデルチェンジサイクルでは、音創りに十分時間をかけれない。結局中途半端な商品が多かったように思う。

 

 あれほど多種多様な商品が生まれながら、記憶に残る国産の機種は数えるほどしかない。オーディオ回顧録[1]は、過去のユニークな国産製品をまとめた貴重なサイトである。

 国産でお勧めの高級オーディオメーカにアキュフェーズがある。素人騙しをせず基本に忠実で堅実な作りに好感が持てる。どの商品もよく考えて作られており、修理対応がしっかりしている。
 少々高価だが、一度買えば長く使える。そんな商品を求める人にお勧めできるメーカーだ。

 

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<参考文献>
1.オーディオ回顧録