初めてオープンカーに乗ってわかったこと~NBロードスター Vスペシャル GF-NB8C 詳細レビュー

 所有期間 1998/6~2000/9。4気筒1800ccレギュラーガソリン仕様。軽い車体に排気量の大きなエンジンを組合せたおかげでキビキビ思い通りに走れる感覚があった。オープンの宿命でボディ剛性が弱く不快なスカットルシェイクがある。また操作系が重いせいで疲れるクルマだった。

 

外観

 色はグレースグリーンマイカ。ボディには躍動感がある。ホイールはエイトスポークMAGを装着。

 

GF-NB8C マツダ・ロードスター Vスペシャル 外観

 

追加オプション

  • マッドフラップ(フロント・リア)
  • ドアエッジモール
  • サイドマーカーメッキカバー(側面のウインカーランプの枠)
  • タワーバー(マツダスピード)
  • インダッシュMDチェンジャー(3ディスクチェンジ)
  • ウッド調パネル
  • パーキングブレーキレバーブーツ
  • フロアマットB

 装備の選択にはこれまでの経験が生かされている。特にエアロパーツは付けなかった。これは見た目だけで空力改善効果はほとんどないし、逆に重量増になり、ボディと擦れることがある。

 

GF-NB8C マツダ・ロードスター Vスペシャル フロントビュー GF-NB8C マツダ・ロードスター Vスペシャル リアビュー GF-NB8C マツダ・ロードスター Vスペシャル 運転席

 

 


 

内装

ステアリングフィール

 ステアリングの位置調整機構が一切付いていないのには驚いた。
 ハンドルに対するタイヤの切れは結構クイックな設定になっているようだ。
 パワステはやや重め。ステアリングが重いと疲労につながるのでもう少し軽いほうがよい。
 直進安定は相当よく、そこからハンドルを切り出すととたんに重くなる。どうも、頑としてセンターを保持するような感覚がある。蛇角に対する重さはノンリニアで、切り始めが非常に重く、終わりの方でまた軽くなる。そのため、少しだけ切るといった操作でハンドルの操舵角が足りなくなり、あわててしまう。このせいで特にコーナリングの最中の微妙なハンドル操作がしずらい。

シフトフィール

 最初固く感じた6速MTは3日目になりだんだん角がとれてきて、よく使う1~4のフィールが良くなってきた。5や5から6に入れるには右に倒さないといけないが、バネが少し強すぎる。

ペダルのフィール

 トウ&ヒールが非常にしやすい配置になっており、かかとを軸にしてアクセル、ブレーキというようにいい加減な踏みかたをしていると、ブレーキを踏んだときアクセルに足が引っかかってしまうことがある。
 クラッチやアクセルを踏んだときにカチリとかいう小さなきしみ音がでる。他社のスポーツカーから乗り換えた人は気になるかもしれない。これはマツダ車のクオリティであるかロードスタークラスでは対策がされないのかわからないが、この車種ではそういうものらしい。

ドア

 静かに締めれば「ズン!」だが、ちょっと強めに締めると「ベ~ン」という情けない音になる。減衰が悪く音が尾を引くのは、ダメな閉まり音である。

シート

 革張りのシートはホールド感がなくとにかく滑りやすい。お尻の下にクッション等はおけないし、体を固定できない。走り込むならシートを交換した方がよいだろう。

排気音

 今回サウンドチューニングが見直された排気音は官能的で、オープンカーには排気音も重要な要素であることを実感した。

 幌の材質は軟質塩化ビニールらしく、耐候性はよい。真夏の炎天下に窓を閉め切っておいても、室内がさほど熱くならない。
幌は張力をかけて設置されているらしく、キシキシ言う変わりに高速でのばたつきが全然ない。キシキシいうときは一旦オープンにしてまた閉めると収まることがある。

ヘッドライト

 配光がよく光が広く分散して明るい。これならキセノンもいらないように感じる。

サウンドシステム

 さすがにボーズだけあって、排気音にマスキングされない十分な低音を確保しており、中高域とのバランスもいい。ただ、低音のひずみは少々大きく汚い。
 人間の聴感特性にあわせてラウドネスを調整し、小音量でも良い音で聞けるボーズお得意のなんとかという機能が入っている模様。
 バランスは低域中心で、過剰なほど低音に量感がある。このバランスはどうも排気音に低音がマスクされないようにするためらしい。実際、オープンにすると音楽がちょうど良いバランスになり、ゴキゲンなサウンドを聴かせる。普通のオーディオだとオープンにしたとき音楽の低音が聞こえなくなって甲高いバランスになるだろう。

FMラジオ

 ロッドアンテナの入力感度は非常に高く、ダーバーシティのガラスプリントアンテナとは比較にならない。地下駐車場でもちゃんとラジオが入るのには驚いた。

小物の収納

 収納スペースがとにかく少ないため、スカイラインの装備をロードスターに乗せ変えたらクルマが荷物でいっぱいになってしまった。バイザー取り付け小物入れ、フロアマットなどは市販品は大きすぎてはみ出てしまう。
 しかしよく見ると細かなスペースがあちらこちらにある。たとえば、ドアノブの下部付け根にくぼみがあり、底の部分にフェルトが貼ってある。おそらくサングラス置きだろう。

トランク

 開閉時の音がなかなかよい。
 トランクルームランプはライトと連動のもよう。
 開閉時に左のアームと内張りが少し干渉していてこすれる。ほかの展示車も同じ様子だったので単純な設計ミスだろう。

空調

 旧型より小さくなったといわれるエアコンのON/OFFによる振動や音の差はまだ大きく感じる。気になるぎりぎりくらい。
ファンを最大にしてもルーバーからの風切り音はさほど大きくならない。

室内装備の使い勝手

 ドアノブ、センターコンソールのロック、パワーウインドウスイッチなどは変な位置にあって使い勝手があまりよくない。シートベルトも締める度に腰のストレッチ運動になる。
シフトノブはよい位置にあるが、ハンドブレーキはスカイラインのようにドライバー側に欲しい。

 

 


 

走り

 やはりクルマが軽いことを実感する。クラッチをつないた瞬間スッとクルマが動き出す。バックで車庫入れするときもクルマの重さを感じない。

 クルマが軽いせいもあって加速もよく、低速トルクもあり動力性能は申し分ない。坂道も低回転でスルスルとあがっていく。

 路面からの音や振動伝達は結構大きい。サスのバネも固い。もう少し柔らかい設定が望まれるが、車高を落としているので地面との擦れを考えるとこれが限界なのだろう。

 幌と骨が振動でこすれてキシキシいうがその他の異音はない。

 明らかにボディが足回りに負けている。段差を越えるとブルブルというスカットルシェイクを感じ、そこで速度が速いとドタバタする。ロードスターはモデルチェンジのたびにボディ剛性を改善しているが、明らかに足の硬さに対してボディの剛性が負けている。このあたりはオープンカーという構造の宿命。

 ブレーキの剛性感やタッチは今ひとつ。ハンドブレーキのフィーリングも然り。

 6MTといっても全体にギヤ比が低く、エンドの6速でも100km/hで3000rpmに達する。

 エアロボードの効果は極端ではないにしろ確かに後方からの風の巻き込みを押さえる効果がある。オープンのまま120km/hでもそれほど不快な感じはなく走れた。

 山岳地帯を流すだけなら4or5速に入れっぱなしで十分だった。のぼり勾配でへたるようなことはなく、極端な勾配以外は6速でも走れてしまう。まだ慣らしなので3000rpmまでで運転していたが、高回転まで駆使できるとなると相当パワフルに走れそう。

 標準でついてくるアドバンのタイヤ(185 60R14)横剛性が不足しており、ワインディングを走っているとややたよりなさを感じる。走り込むなら15インチ(195 50R15)にした方が良いだろう。

 

乗り心地

 先代のSスペに比較するとずいぶん良いが、路面の振動をよく拾い、ロードノイズはかなり大きい。オープンにすると排気音も大きく聞こえるため、乗り心地はどちらかというと悪い部類に入ると思う。VSならもう少し改善したいと思う。

 現状で乗り心地を改善するには、車体を重くするか、バネを柔らかくするしかない。助手席に1人乗せると乗り心地も改善されるが、僅か。

 シートベルトの締め付けは強め。長時間付けていると疲れやすく鎖骨のあたりが痛くなる。やはりテンションリデューサーが欲しいところ。

 

 


 

ドレスアップ

 

2000/3/16 アルミホイールの交換を検討

 ロードスターの純正14インチアルミは斜めから見ると力強く躍動感があるが、側面ビューは今一つだ。そこでホイール交換&インチアップを検討した。
 ホイールのデザインはクルマに合ったものを選ぶのが原則だが、これがなかなか難しいようだ。雑誌やホイールのカタログを見ると、クルマにマッチしているとは思えない組み合わせが多い。カーショップの駐車場や雑誌のマイカー紹介欄を見ると、ホイール交換でドレスダウンしたクルマを結構見かける。これはクルマのデザインを無視してホイールの見た目だけで選んだ結果だろう。

 ロードスターの純正ホイールは市販されている一般のホイールよりかなり軽量に出来ている。純正ホイールのスペックは次の通り。

名称 サイズ ホール数 P.C.D. オフセット 公称重量(Kg)
純正14インチ 14*6JJ 4 100 40 5.1
純正15インチ 15*6JJ 4 100 40 6.0

この重量はアルミエイトスポークよりも軽く、鍛造BBSに匹敵する。オフセットは見た目を優先されがちだが、いろんな情報を総合すると、38mmまでが適合範囲、35mmあたりが限界らしい。

 次に、ホイール径をいくつにするかだが、インチアップによる慣性モーメントの増加を知っておきたい。純正14インチホイールを基準とした慣性モーメントと等価質量の計算結果を次に示す。

リムサイズ(inch) リム幅(inch) 慣性モーメントの増加(倍) 必要軽量化率(%) 等価質量(Kg)
15 6~7 1.23 13.8 4.4
16 7 1.50 23.8 3.9

(リムを円筒としてリムのみの慣性モーメントで計算。リム厚さは4mm一定とした)

上の計算にはタイヤのことが考慮されていないので概算になる。等価質量は慣性モーメントを純正から増やさないために要求される減量の目安になる。これを条件にすると次の候補がある。

RSワタナベ マグ エイトスポーク(4.5~4.8Kg)
マツダスピード MS-01S
リーガマスター EVO(3.8Kg)

 エイトスポークはクラシカルなデザインが特徴。マグネシウム合金製だが、鋳造品なため他の2つに比べるとやや重い。
 MS-01SとEVOはスポーティな特徴を引き立てることが出来る。MS-01Sに比べるとEVOの方がスポークが平面的であり、レーシングカーに近い印象になる。
 タン色の幌や濃色系のボディには、MS-01Sのブロンズやマグ エイトスポークのブラウンが良く合う。ブロンズやブラウンのホイールを選んだ場合は、ナットとホイールキャップをブラックにする。
 EVOのシルバー色は質感がいまひとつ。ニューカラーのBrightはキラキラしすぎてやや下品な印象を受ける。EVOを選択するとしたらホワイトしかない。ただ、ホワイトのホイールはホワイトのボディにしかマッチしないので注意。
 MS-01Sはインチサイズの大きな写真しか見ることができず、重量も不明である。鍛造だし外観はEVOと似ているので、15インチのそれもEVOに近いのではないかと思うが、確証はない。

 

2000/3/18 マグ エイトスポークを発注

結局私が選んだのは、

マグ エイトスポーク 15*60 F8FS 35(ブラウンニッシュ)
純正ナット(ブラック)とセンターキャップ(ブラック)
ヨコハマ ASPEC db 195 50 R15

の組み合わせ。ホイール幅は欲張らず重さを最優先に考えてタイヤの標準適合サイズである6インチにした。タイヤはストリートをメインに考えてとにかく静かなものという条件でセレクトしてみた。ワタナベの純正ナットは高価だが、テーパーカラーが付いていて締めるときにホイールの穴をキズつけることがない。

 

2000/5/2 納品&取り付け完了

 マグは受注生産品ということもあってえらい待たされたが、ようやく取り付けることができた。

 詳しいレビュー⇒マグネシウム軽量ホイール~RSワタナベ エイトスポークマグ(MAG)を買ってみた

 

 

 


 

劣化状況

 

2年後の劣化状況(走行1万5千)

  • 雨が降るとまれに雨漏りする。ウエザーストリップのあたりを拭いてやると直るので、汚れが原因だろう。
  • ステアリングがややなめらかになった。とはいっても、ノンリニアな特性に変わりはない。
  • 路面からの突き上げが減り、乗り心地が良くなってきた。ちょっとフワフワした感じも出てきたので、おそらくショックが抜けてきたのだろう。
  • エンジンにアタリがついてきのか、フィールが若干良くなった。また、エンジンの回転がなめらかになり、騒音震動も若干少なくなった。ロードスターもマイナーチェンジし、ネガに思っていた部分がかなり改善されたようだ。

雑誌等にはよく、ダイレクト感に富む、応答が早いとかいう評価を見るが、実際乗ってみると、反応がニブイ、ステアフィールが悪い、ボディがワナワナ震動し、乗り心地が悪いなど、走りに関してはレベルが低くネガな部分が多いように思う。

 

1年後の劣化状況

  • ブレーキのタッチがスポンジーになってきた。以前ファミリアを所有したときもそうだったが、これはマツダ車の宿命か。
  • フロントウインドウとダッシュボードの境に挟んである黒いスポンジがはがれてきた。
  • 走り出してすぐハンドルをある角度にすると油圧系がウオーンと振動する。
  • ホイールキャップの塗装が薄くなってきた。

とまあこのくらい。異音発生もなく細かいことばかりでいまのところ気になるようなことはない。
 ロードスターの欠点は次の2点だと思う。

(1)ノーマルシートのホールドが今ひとつ
 体をしっかりホールドすることはスポーツドライブをする上で非常に重要だ。シートが悪いと、6速MT、理想的重量配分、ライトウエイトスポーツといったステイタスを十分味わうことができない。
(2)ステアリングフィールが悪い
 ノンリニアなステアフィールは微妙なライン取りに支障をきたす。タイヤを変えても基本的なフィールはあまり変わらなかった。

 

 


 

購入後のトラブル

新車時

MDチェンジャーの音飛び

 オプションで付けたインダッシュMDチェンジャーは音飛びするようになり、レンズクリーナをかけても直らない。結局新品交換となった。このMDチェンジャー、取り外しには特殊な専用工具がいる。(U字型のやつとは違う)これはMDチェンジャーに付属してくる。取り付けた人はかならずこれをチェックし入手しておいたほうがよい。

スピーカのひずみ

 雨がふったり洗車をするとスピーカに水がかかり、音がひずむトラブルがあったためスピーカを交換した。ドアトリムを外し現行スピーカをみると防水カバーがついていない。取り寄せた新しいスピーカには大型のカバーがついていた。たぶんトラブル多発によりメーカが対策したのだろう。

ステアリングからの異音

 ハンドルを操作しているときキュという小さな音が時々出るようになった。またエンジン回転数に共振してステアリング付近から小さなビリ付き音が出る。(これは運転席から聞いていると音が反射して右側ウインドウ付近から聞こえる。) これはステアリングエアバックの後ろにあるプラスチック製の回転カップリング接点から出ている。気になる人はこれを交換するといい。基本的には改善されないが、音の出方が変わる。 

1999/11/21 ステアリングから新たな異音

 ステアリングを右にちょっと回して手を離すとポコというような音が出るようになった。ディーラで見てもらったら、ステアリングのギアボックスのガタだろうという話だった。詳細はメーカに問い合わせて調べてもらっている。

1999/11/28 ステアリングから新たな異音(その後)

 ディーラで症状を見てもらってからもう2週間になる。1週間たったとき連絡してみたところ、「メーカに問い合わせて返答待ちです」という話だったので待ってみたのだが、どうも、お客に対する対応意識が低いようだ。

 対応してもらったアンフィニ店のサービスマンはチャパツ&ピアス装着のにいちゃんだったのであまり期待していなかったが、やっぱりだったという感じ。

 マツダのクルマを所有するのは2回目、いろんなマツダディーラーを見てきたが、ニッサンやトヨタに比較すると営業もサービスも印象があまり良くない。

 サービスが作業服を着ずにTシャツ1枚で仕事をしているところもあるし、頭髪やピアスにしろ、そういう気のゆるみを許すようでは良いサービスは期待できない。

2000/1/19 ステアリングから新たな異音(結末)

 何度催促しても「メーカに問い合わせ中です」だったため、「一度預かってよくみて欲しい」といって無理矢理クルマを押しつけてみたところ、ようやく「ギアボックスを交換します」に変わった。

 そして今日、やっとクルマが修理されてきた。問題の不具合は、ギアボックスを交換したことで直ってしまった。最初に症状をみてもらってから、実に2ヶ月以上が経過している。

 

 


 

メンテナンス

 

1999/11 タワーバーを撤廃

 ステアリングフィールが不自然なのは、新車時に取り付けたアルミタワーバー(写真)のせいではないか?と思って取っ払ってみたが、変わらない様子だった。RSグレードでは標準で付いているので問題ないと思っていたのだが。スカイラインの時もそうだったが、後付の補強部材はスポット溶接の剥がれなど予期せぬトラブルを引き起こす場合がる。

タイヤ交換

 ノンリニアなステアリングフィールが我慢ならなくなり、タイヤをGRIDIIに交換した。操舵感が多少は良くなったような気がする。

 

<参考購入先>
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ロードスターのすべて

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