「中がナマのまま」「油が抜けてカスカス」ハンバーグを焼いた人のほとんどが、このような経験をしていると思う。失敗の原因は、フライパンを使って火を通そうとしたことにあると思う。そこで、誰でも失敗なく完璧に焼く方法をご紹介する。
ハンバーグ調理の課題と解決策
厚みのあるハンバーグを上手に焼くのは難しい。熱伝導が悪いので、フライパンを使って加熱すると中がナマのままになりやすい。中までしっかり火を通すと今度は外が黒焦げ。中の油が抜けてカスカスの食感になる。
この課題は、蒸し調理で改善できる。以下に詳しく説明する。
作り方
下準備
挽肉350~400g、塩3.5~4g(肉の1%)、タマネギ1/2(みじん切り)、片栗粉大さじ1、粗びき黒コショウ、パン粉(肉の10%)、牛乳か酒50cc。スパイス類(検討中)
ヘルシーに仕上げたい人はパン粉の代わりにオートミールを加えてもいい。
タマネギはできるだけ細かく切る。
肉とパン粉の比率で食感がだいぶ変わる。肉だけだと固いが、パン粉を入れることでふんわりした食感が生まれる。このパン粉は、肉汁を内部にとどめる役割をしている。
こね方は仕上がりの密度に関係する。あまり念入りにこねない方が良い食感を得るが、こねが足りないとひび割れしてしたりボロボロ崩れる食感になる。
ハンバーグの素は万能ではない。いくつか試した感じだと、パン粉や塩コショウなどを追加した方が良いようだった。
厚み2cmに成形する。中心を数ミリ凹ませておく。これをやっておかないと中心が不自然に膨らんでしまう。
成形の注意点は、ヒビ割れを作らないこと。割れがあるとそこから肉汁が出てしまう。中心を押さえると外周が割れるので、先に凹ませて、後から外周を整える。
成形出来たらラップをかけて冷蔵庫に入れ、冷やしておく。
焼く
冷蔵庫から取り出したハンバーグを油なしのプライパンに乗せ、中火で片面2分ずつ焼いて焦げ目をつける。
ひっくり返すときは丁寧に。柔らかいので割れやすい。
フライパンで焼くのは、あくまで焦げ目をつけるのが目的。肉汁が出ないよう手早く焼き、さっさと引き上げる。
蒸す
事前に沸騰させておいた蒸し器に移動して4~5分蒸す。正確には、クッキング温度計[2]を使って中心温度が65℃になったところで止める。
蒸し器の必要火力は、容積で決まる。写真の容器(6L)の場合は中火より少し強めの火力が必要になる[1]。
野菜(厚み1cm)を蒸すには10分以上かかる。野菜を一緒に蒸す場合は、肉を焼いている間、野菜だけ事前に蒸しておく。
ソースを作る
蒸している間、肉の油が残ったフライパンにドレッシングを入れ、加熱しながら良く混ぜる。
写真のピエトロ和風しょうゆ味は肉料理にとてもよく合う。好みに応じて醤油や塩コショウ、コンソメ、ワインなどを追加する。
ソースに凝る人はいろいろやっていると思う。赤ワインを煮込んでゴチャゴチャやるより、ドレッシングをベースにして作る方が簡単で美味しいものができる。
盛付け
ボリウム満点で、ふっくら柔らか。完璧。レストランの直火焼きに負けない。一般家庭でこれだけ品質のものができれば、十分だと思う。
調理のポイント
調理のポイントは次の通り。
(1)焼きの工程と、蒸す工程を分離する
これにより、誰がやっても失敗少なく同じ品質のものができる。
(2)成形した肉を冷やしておく
これを省略したり、十分加熱しないフライパンで焼くと、火が通りすぎて肉汁が多く出てしまう。
(3)中心温度が65℃になるまで蒸す
蒸し調理なのでどんなに厚くても焦がさずに火を通すことができる。温度計で温度を管理すれば特厚ハンバーグも調理可能。
写真は厚み4cm以上あるハンバーグの試作品。蒸すのに12分かかっている。
これだけ時間がかかるとかえって肉汁の損失が多い。薄いハンバーグは、ハンバーガーに挟まったペラペラのパティと大差ない。厚みのベストは、2~2.5cmのようだ(焼く前の厚みで)。
<参考購入先>
蒸し器 いろんな調理に重宝する道具。私はGEO-25M (25cm、6L )を愛用してます
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1.中華まんの蒸し方~究極の蒸し方はこれだ!
2.クッキング温度計の選び方