できるだけ早く処分したい切り株。ところが、これに関する有益な情報がネットにない。あるのは、植木職人・プロと称する人たちの経験談のみ。大抵は「穴を開けて除草剤を入れよ」でオシマイになっていて、最終処分までいつまでかかるのかが不明。そこで今回は、邪魔くさい切り株を早く処分可能にするための、化学的根拠に基づいた手法を紹介する。
写真はトキワマンサクの切り株。32cmある。巨大化して剪定の手間が外観に見合わなくなったため、根本から切ったもの。切り株の多くは、このようにしてできる。問題は後始末。これだけ大きいと抜根は無理。その場で何とかしなければならない。
木が朽ちるまでのプロセス
次は、切り株から朽木になるまでのプロセス。④までが目標。
①根本から切る→②木が枯れる(死ぬ)→③腐朽菌が分解→④腐ってボロボロになる(朽木になる)
切り株にしても木はすぐには死なない。根に蓄えた栄養を使って株や周辺の根から葉や枝が生えてくるので、光合成させないよう、見つけ次第切る。木は栄養を使い果たすと死んで枯れる。
木はリグニン、セルロースなどでできており、これを分解するのが腐朽菌。菌の活動には水分が必要。腐朽菌の分解が進むと腐って柔らかくなる。容易にバラバラにでき、抜根したり、その場に新しい木を植えることも可能。
この中で最も時間がかかるのが、腐朽菌による分解③であり、ここを早めるために、以下に紹介するやり方が有効である。
プロ植木職人・プロと称する人たちが穴を開けて除草剤を入れるのは、②を多少早くするだけ。一番時間がかかる③は早くならないことに注意。
やり方
切り株を作ったら、防草シートなどで覆い、腐葉土を詰めて放置するだけ。これで光合成を邪魔できて、乾燥を防ぎ、腐朽菌による分解を早くできる。写真は2024年11月の様子。
切り口に穴を開けているのは、キズを作って菌の侵入を良くするため。ノコで縦ミゾを作っても良い。分解の促進が期待できる。
腐葉土を投入したところ。
上を閉じてブロックで蓋をした様子。
幹が長い場合は防草シートを上に長く伸ばしてロープなどで縛るとよい。縛り口から適当に雨水が入り込み、湿った状態を維持できる。時々ほどいて中の様子を見ることも可能。下の方は縛るか、固定クギを打つ。石で押さえてもよい。
木を腐らせる腐朽菌は腐葉土の中に沢山いるが、枯れ葉などの剪定くずを集めたものでもよい。防草シートは、杉皮、麻布、不透明のビニール、タオル、古着などで代用できる。光が通りにくい厚手のものがよい。
切り株の水分を維持し、腐朽菌の働きを最大化する。これが、分解を早くする秘訣である。
以後、経過を追記していく。
上記のアイデアは最初の公開日の時点でネット上に類例がないことを確認済みです。内容の無断コピー、無断引用は固くお断りします。
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