「B-CASのデータを書き換えるれば衛星放送がタダ見できる」そんな話が広まったのは去年のこと。放送事業者は「事業の根幹にかかわる重大問題」と捉えているようだが、そうだろうか。
私はソフト作者でもあるので、クラックやパスワードの漏洩を過去何度も経験した。最初のうちは「重大な問題」「大きな損害を蒙った」などと思い対策に躍起になったが、事態が収束してみると結果は悪くなかった。
むしろそれまで関心がなかった多くの人に自分のソフトを知ってもらう機会を得て、その後の売り上げも順調だったのである。クラックがなかったら、その人たちの購入機会は永久に無かっただろう。
不正カードを使ってタダ見している人はその放送事業者に損害を与えているのだろうか。多くの人は安い(タダだから)見ているのであって、カードが使えなくなれば見なくなるだけである。
放送事業者が損害を蒙るのは、いままで有料契約していた人がタダ見カードを手にして解約してきた場合だ。すると、タダ見対策で重要なのは、「早急な対策の実施」ではなくて、「対策を約束する」ことでいいことがわかる。
現在、数百万枚の対策カードをウン十億円かけて配布することを検討しているらしい。なかなか実行されないところを見ると、自信がもてないのだろう。壁は作るよりも壊すほうがずっと容易だし、絶対に突破されない壁をつくることは不可能に近いことだ。
それならば、見つかりにくい壁をたくさん仕込めばいいのではないか。
私は過去、自分が作ったソフトのパスワードが解析されて対策に苦労したことがある。そこやった最終的な対策は、最初の認証を突破されても新たな壁が次々に出現するシカケを作ったことだった[1]。
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<参考記事>
1.パスワード解析との戦い~多重化で解析困難にする
<参考文献>
作る意味などなかった B-CASカード、改造事件を考察してみよう