オーディオ用に普及している信号コネクタにはRCAのほかにXLRがある。XLRの原理的なメリットと、商品を選ぶ際の注意点をご紹介する。
最大のメリットはバランス伝送
XLRケーブルはバランス伝送を前提に作られている。バランス伝送とは2本の信号線でお互い逆位相の信号を送り出し、受け側で差動増幅することで同相ノイズを除去する方法。
これに対し、RCA接続などのバランス伝送続ではないものを「アンバランス伝送」もしくは「シングルエンド」という。
同相ノイズの最も大きな要因に、100V電源周波数の誘導ノイズがある。 ケーブルを数十メートルで使うとこれが乗りやすく、マイクロフォンから得た微小信号を大きく増幅する場合に問題になる。
そのためコンサート会場のマイクロフォンの信号伝送では、必ずと言っていいほどバランス伝送が使われる。
シングルエンドのXLR接続に注意
バランス伝送では、送り出し側と受け側の両方がバランス伝送に対応している必要がある。しかしXLR接続できる機器の全てがバランス伝送しているわけではない。
それほどノイズにシビアでない機器では、XLRの2ピンだけしか使わない場合がある。この見た目はXLRだが、中身はシングルエンド。
伝送はRCA接続と同じだが、XLRコネクタを使うのでRCAより信頼性の高い接続になる。
XLRコネクタの金メッキ品は避ける
XLRコネクタを作るメーカーはITTキャノンとノイトリックが有名。どちらも信頼性の高い商品を作るが、コンタクトが金メッキの商品はメッキが非常に薄い(ノイトリックは0.2ミクロンしかない[2])。
一方、銀メッキの厚みは2ミクロンある。昔から高い信頼性で評価を得ているのは銀メッキの方なので、通常はこちらを選んで欲しい。
ノイトリックプラグ(NC3MXX-B)の付いたXLRケーブルの例(カナレEC03-B)。
金メッキされているが、Rational003のようなコンタクトオイルを併用すれば問題ない。
合理性を求めるとカナレに行きつく
ケーブルで大事なことは、以前ご紹介したように、「軽くてしなやか」「接触の信頼性」「耐ノイズ」の3つだけ[1]。
この点に注目して探すとカナレが目に留まる。カナレのXLRケーブルは、同社のL-4E6SにITTキャノンかノイトリックのコネクタを付けたもので、「軽くてしなやか」「接触の信頼性」「耐ノイズ」の条件を3つ共満たす。
XLRケーブルの結論
(1)ITTキャノン(XLR3-11)を使ったカナレのXLRケーブル。
国産アセンブリで信頼性の高い一品。XLRはこれ一択。他は忘れていい。
(2)金メッキ品(ノイトリック)コンタクトはメッキが薄い。
金メッキは銀メッキに劣るが、コンタクトオイルの併用でカバーできる[3]。
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カナレのケーブル カナレは合理的なケーブルを作るメーカ。お勧めです
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<改訂履歴>
2018/2/10 カナレEC03-Bの写真を追加しました。