1980年代、レンタルレコードがあった。学生だった私はここでレコードをレンタルしてカセットテープにダビングしていた。テープの収録時間は決まっている。時間を考えながら曲の構成に頭を悩ませていた。レコードにもテープにも「頭出し」という神経を使う作業が必要だった。
1990年代に入るとMDが登場した。レンタルもCDが主流になり、ダビング作業がかなり楽になった。しかしダビングは依然実時間であり、タイトルやアルバム名の記入は手書きだった。
2000年代にiPodが登場し、CDをリッピングしてICプレーヤーで聴く形が生まれた。iTunesなどの優秀な管理ソフトによってダビング作業が大幅に高速&省力化された。
タイトルやアルバム名もCDDB(ネットによる音楽CDの情報サービス)によって自動入力されるようになり、後から手で入れる作業がなくなった。
現代では、手持ちのCDを全部HDDにリッピングしておき、聴きたい音楽を選んでICプレーヤーにコピーするだけで、いつでも好きな音楽が聴ける。ダビングや編集の苦労は過去の物になった。
ピュアオーディオ再生環境の未来像
パソコンのHDDに音楽ソースをリッピングしてしまえば、フルデジタルアンプと組み合わせてピュアオーディオの再生環境を構築できる。例えば、次のような図式が考えられる。
パソコンには「音楽管理ソフト」を導入しておく。音楽管理ソフトには、iTunes、BeatJam、SonicStage(フリー)などがある。
この構成では入り口から出口までデジタルだから、音質劣化はなく、アナログハイエンドに匹敵する高音質が期待できる。
インターネットを見ながら、音楽を聴く
パソコンで音楽を管理し、再生するシステムに違和感をもつ人がいるかもしれない。
椅子に座ってグラス片手に目をつぶり、音楽だけ聞く人はどれほどいるだろう。大抵の人は、何かを見ながら、あるいは何かをしながら音楽を聴いているのではないか。今後は、「インターネットを見ながら、音楽を聴く」というスタイルが増えるに違いない。
高すぎるミュージックストア
インターネットのミュージックストアが音楽ソースの新たな入手源として注目されている。
しかし1曲200円前後(2006年現在)という値付けは高すぎないか。コピーフリーでなく流通コストもかからないものがどうしてCDの曲単価とおなじくらいなのか理解不能。この状況では、音楽ソースは当面レンタルCDが主になりそうだ。
プチノイズ対策
パソコンのデジタル再生環境では「プチ」というノイズに悩まされることがある。
これは常駐ソフトや割り込み処理、波形の飽和など様々な原因がある。波形の飽和については、ボリウムコントロールの中の、BassBoostなどのイコライジング機能を無効にすることで改善する。
どうしても改善しない場合は、マザーに搭載されているデジタル出力を使わず、光デジタル出力端子を搭載した外付けサウンドカードの導入を検討して欲しい。当方の環境では、Creativeのサウンドカードを導入して満足いく結果が得られた[4]。
ピュアオーディオの再生環境(2012年5月追記)
2012年にデジタルアンプ(ソニー TA-F501)を使ったシステムが完成した。これを次にご紹介する。
パソコンとデジタルアンプ(TA-F501)は15mの光ケーブルで接続されている。
光デジタル出力はマザーボードにも付くが、「プチノイズ」が入るため別途サウンドカードが必要だった。
再生ソフトはfoobar[1]+WASAPI[2]。音楽管理ソフトはソニーの「Sound Organizer」。圧縮形式はMP3。ソニーには「ATRAC」という自社製のフンドシがあったが廃れてしまい、MP3が主流になった。
私はSound Organizerを使って家にあるCDすべてをパソコンのHDDに収めた。圧縮レートは音質とサイズを検討した結果192kbpsで十分と判断した。
世の中には、手持ちの携帯プレーヤーをデジタルアンプに繋げたいというニーズもあるようだ。ところが、光デジタル出力の付いた携帯端末はほとんど存在しない[3]。
音楽配信の状況も変わってきた。amazonがMP3の音楽配信サービスを開始した。購入した曲は自由にコピーできるようだ。これからの音楽配信はこのMP3が主流になるかもしれない。
<参考購入先>
デジタルアンプ一覧
ソニーのデジタルアンプ TA-F501は現在中古のみ。
Creativeサウンドカード一覧
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