複数のアンプやスピーカを持つとスピーカセレクタが欲しくなることがある。ところが一番重要な「接触抵抗」が不明。銅の抵抗が17 mΩmm2/mだから、接触抵抗が17mΩあると電線を1m長くしたのと同じことになってしまう。
電流容量も不明なスピーカーセレクタ
スピーカーセレクタでは、接触抵抗が可能な限り小さく、かつ安定することが重要なスペックになる。接触抵抗が不明な場合は電流容量に注目する。なぜなら、接触抵抗が小さいほど電流容量が大きいと考えられるためだ。
しかし、市販されているスピーカセレクタの多くは接触抵抗はおろか、電流容量も不明なものがほとんど。これでは選べない。
唯一オーディオデザインに数mΩの商品があるがとても高価である。
コネクタで代替する
市販のスピーカーセレクタを使わずにコネクタで代替手段を検討してみた。
つまりオスメスの「プラグ」「ソケット」のセットにする。すると、電流容量が明確な市販品で構成できる。以下にいくつかの方法をご紹介する。
方法1.JIS接地3P引掛防水コネクタ
材料
容量は250V20A。 JIS C8303に規格があり信頼性が高い※。
2.電線は2~3.5スケアの4芯キャブタイヤケーブル、もしくはカナレ4S11が適合する。
3.スズメッキ圧着端子(R2-4)
実例
図1 JIS接地3P引掛防水コネクタを使ったスピーカセレクタの構成例
露出した電極のショートを防ぐため、アンプ側をメスにする。図では2極ずつパラに使って接触抵抗を下げているが、コネクタは4極あるので1つでLR同時切り替え可能。この場合1つのプラグから2本の2芯ケーブルを出すことになるので配線に少し工夫がいる。
ラバーで被覆されているので、少々乱暴に扱っても問題ない。
※ JIS C8303によると、接触抵抗は50mΩ以下となっている。パラで使うとこれが半分以下になり、実質十分低くできると考えられる。コンタクトオイルを併用すれば接触抵抗を安定化できる。
方法2.スピコン
スピコンとはプロオーディオの世界で普及しているスピーカーケーブル接続専用のコネクタ。ノイトリックNL4FXはカタログ上、DC40A、AC(50%デューティ)で50A流せるとされ、スペック上十分。
メスのソケットがないので中継アダプターを挟んでスピコンのプラグ(オス)同士をつなぐ。余計な接点が増えてしまう欠点がある。
方法3.バナナ
簡単に、手軽に切り替える方法の一つ。ツインバナナを使えばそれほど面倒ではない。これで妥協するのも手。パナナプラグの選び方は、関連記事1を参照。
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