ホーンのデッドニング~ホーンスピーカーの音を改善する

 「ホーン臭い」音の原因はデッドニング不足が原因といわれる。安価なホーンスピーカーやSR用スピーカーはコストの関係で十分なデッドニング(制振処理)が施されていないことが多い。DIYでデッドニングするための材料と方法をご紹介する。

 

デッドニングの必要性の判断

 ホーンを柔らかい樹脂の棒や指の関節などで軽く叩いてみて、カンカン響く場合はデッドニングが必要である。

 樹脂製ホーンで鳴きが問題になることは少ないが、多少の共振や低音が透過があるので、対策すれば多少の音質アップが期待できる。

 

制振効果は何で決まるか

 制振方法は、柔らかいパテ状のものを貼るタイプと、剛性の高い拘束板を貼るタイプがある。曲面の多いホーンの場合は施工性の面から、前者がよいと考えられる。

 前者の制振効果は、施工した「面積」、面積当たりの「重さ」と、材料の「減衰」の3つで決まる。この中で一番わかりにくいのが「減衰」だが、減衰は変形させて復元するときの速さでわかる。ゆっくり戻るものほど減衰が高い[1]

 材料の減衰には以下の関係がある。まったく復元しない粘土状の「パテ」は高い減衰を持つ材料である。

 

不乾性パテ > 制振材、鉛テープ > ブチルゴム > 天然ゴム > コンクリート

 

 デッドニングでコンクリートが使われることがあるが、これは面積当たりの重さが大きいだけで減衰がほとんどない。コンクリートを塗っても共振点が高い周波数に移動するだけ。それはそれで対策になるが、デッドニングに必ずしも適しているとはいえない材料だ。

 

デッドニングに適した材料

 上記の「重さ」「減衰」の2つがバランスした材料が、デッドニングに適した材料になる。実際に使う場合は「コスト」「施工性」も問題になる。

 不乾性パテには当館で良く使うネオシールB-3のほか、エアコン配管用パテがある。

 制振材粘着付き鉛テープ(0.3t)はPCケースやクルマ用にいろいろな商品が市販されているが、曲面に沿って自由に曲がらないものはホーンに使いにくい。

 この中でお勧めは不乾性パテ(ネオシールB-3)。施工は5mm~10mmくらいの厚みでペタペタ貼るだけ。剥がすのも簡単。比重が高く(2.05)、同じ制振効果を得るための厚みがブチルゴムの半分以下で済む。まずはこのパテを使ってみて欲しい。

制振に使う不乾性パテの例 写真右はネオシールB-3。柔らかく柔軟で施工しやすい。次候補はエアコン配管用パテ。安くて沢山使いやすいが比重が軽く、乾きやすい欠点がある。

 パテのベタ付きと乾燥はサランラップで被覆することで改善する。パテの汚れは灯油(ペイント薄め液)で除去できる。

 

 

デッドニングはすればするほど良いか

 Hi-Fiを目的とした場合、デッドニングはすればするほど良いが、鑑賞の観点からすると、トランペットなどの管楽器の音をよく響かせるよう若干響きを残す。このあたりの味付けは調整次第。パテはこのような調整がしやすい。

 どの程度のデッドニングが適当かは、聴感で決める。これは楽器のチューニングと同じだ。

 

 

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