ジャガイモが煮崩れてグチャグチャ、肉が硬い・・市販のルウを使ったカレーは簡単だが箱書き通りではうまくいかない。今回は、市販のルウを使った、美味しいカレーの作り方をご紹介したい。
ルウを使ったカレーの課題
カレールウの箱書きレシピには、最初に具材を炒めて20分煮たあと、ルウを入れて5分煮ろ、とある。このレシピ通りに作ると肉が硬く、とろみが多い割に味が薄いカレーが出来上がる。
なぜこうなってしまうのか。それは、肉、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンでそれぞれ煮込みに耐えられる時間が違うため。
通常、ジャガイモとタマネギは10分超えると煮崩れはじめる。肉は30分以上煮ないと柔らかくならない。つまり、ジャガイモが煮崩れてとろみが増え、肉が硬いままになる。
この課題を改善するには、煮込みを2段階に分けるしかない。
写真は子供の自由研究でやった豚肉の最適煮込み時間を調べる実験の様子。
常圧(100℃)下の肉は30分すぎたあたりから次第に繊維が崩れて柔らかくなり、同時に豚肉の味が薄れていく。1時間で箸でバラバラにできる柔らかさになるが、肉の味はだいぶ薄れている。
2時間煮ると味のない繊維カス。もはや豚肉とは言いがたい。肉は長く煮ればよいというわけではない。
実験の結果、豚肉の最適な煮込み時間は30~60時間であることがわかった。豚肉の味を重視するなら30~45分。カレーでは柔らかさを重視して45~60分煮るのがベストである。しかし普通はそんな長時間煮ていられない。そこで圧力鍋を利用して時間短縮する。
圧力鍋を使うメリットは時間短縮以外に結果が安定することがある。長時間煮込では水の蒸発量が毎回違って濃さが変わる。圧力がベストである。
材料(3~4人前)
ルウ(4ブロック)
タマネギ、ジャガイモ、ニンジン、なす(option)
肉(鶏肉あるいは角切りした豚肉)
水 550cc
ご飯(水加減10%少なくして炊く)
ルウのお勧めはフォンドボーディナーカレー コクがありスパイスの香りがいい。この味ならカレー粉を自作する必要はないと感じる人がいるかもしれない。
圧力鍋は2段階(低圧、高圧)調整付が便利。
作り方
1.圧力なべで肉を下茹でする
肉とニンジン、水を入れ、強火で沸騰させ、浮いてくるアクをすくい取る(最初に炒める必要はない)。
蓋をして「高圧」にセットし、蒸気が出てきたら弱火にして10分煮込む。
時間が経ったら火を切って5分放置(余熱調理)し、圧力を抜いて蓋を開ける。
この15分は、常圧換算50分の煮込みに相当する[1]。
(Option なすを焼く)
サラダ油大さじ2を良く加熱し、輪切りしたなすを入れ、中火で両面に焦げ目をつける。フッ素コートは過熱で傷むことがある。鉄のフライパン[2]がお勧め。
2.野菜を追加して煮る
ジャガイモとタマネギを入れ、再び蓋をして高圧にセットし、蒸気が出てきたらすぐ火を切って5分余熱調理する。これが約10分の煮込みに相当する[1]。肉の煮込み時間は、下茹での時間と合計して60分になる。
野菜を入れたとき水面から出ていないことに注意。出る場合は、野菜の入れすぎ。
圧力を抜いて蓋をあけ、ルウを溶かす。しゃもじで直線的に動かす感じ。底の方に塊が残らないよう注意。Optionのなすはこの時点で入れる。
時間があればこのままいったん常温まで冷やし、弱火でゆっくりあたため直す※。カレーが野菜に染み込んで、よりおいしくなる。
※:一度カレーを溶かすと熱伝導率が悪くなるので、中火以上で温めると焦げ付く。
最後に
2段階煮込みによって柔らかい肉と、ジャガイモの共存を実現。圧量鍋を使うことで、調理時間が短くて済む。この品質のカレーが、毎回安定して作れる。
ちなみに、シチューもほとんど同じようにして作れる。この場合、カレールウがシチュールウに、なすがブロッコリー(冷凍)に変わる。
<参考購入先>
フォンドボーディナーカレー お勧めのルウです
<関連記事>
1.圧力鍋を使うと調理時間がどのくらい短くなるのか
2.IHで鉄のフライパンを使う