ガス機器を作るメーカーの営業の話によると、新築でガス給湯設備を導入する場合、ほとんどが24号の全自動1台だという。これは最も非経済的なプランだ。
ガス給湯器を1台で賄うとどうなるか
次の問題が発生する。
1.必要以上に熱いお湯を作る
台所や普段手洗いに使うお湯は、「冷たくない程度の水」もしくは、「ぬるま湯」で十分なはず。そのためには、冬場でも2号程度の火力があれば十分。ところが24号の給湯器は能力を最小にしても35℃を超えるお湯を作ってしまう。
2.捨て水が多い
給湯器が1カ所だと離れた場所の配管が長くなる。配管が5メートルもあると、冬場の朝一はなかなかお湯が出てこない。ちょっと使うためだけに多くの燃料を使ってたくさんのお湯を作り、そのほとんどが利用されないで終わる。
3.給湯設備のコストが高い
複数の場所で同時に十分な給湯能力を1台で確保しようとすると、24号の給湯器が必用。これは必要最小限の能力の給湯器を分散配置した場合より高くなる。
ガス給湯器は複数分散配置がベスト
上記の問題は高圧型の電気温水器にすれば改善する。どーしてもガスを使いたい人は、お湯の生産を必要な場所に分散配置する、つまり、「必要な場所毎に、必要最小限の能力を持つ給湯器を分散配置する」とよい。
例えば台所と洗面所に5号の先止め式の瞬間湯沸かし器を1台ずつ、お風呂場にフルオートの16号を1台とする。5号は能力を最小に絞って2.5号相当で使う。
この方法は24号を1台設置するより安く済み、捨て水や無駄なガスの消費を最小にできる。どこでもすぐお湯が出て、燃料の無駄がない。誰かが使っているとき、お湯が少なくなってストレスを感じることもない。
瞬間湯沸かし器のリファインが望まれる
新築のシステムキッチンに瞬間湯沸かし器を置く。ガス会社の営業にこのアイデアを話したところ、「そんなことする人は聞いたことない」そうだ。
システムキッチンのデザインにマッチする瞬間湯沸かし器がない。どれもこれも、ジッポライターのような形をしている。分散配置用に外置きの5号タイプが欲しいが、それもない。新商品の登場が望まれる分野だ。
温水器、エコキュートはガスよりおトクなのか
お湯を作るための機器は、ガスのほかに電気温水器、エコキュート、石油機器、太陽熱温水器などがある。これらのランニングコストは、機器の値段、補助金、燃料代などが時代と共に変わるため正確な数字が出せない。
太陽熱温水器やエコキュートどは日々のコストが安くても機器が高額なので、導入コストを寿命で割った金額を加算すると決しておトクとはいえないことが多い。
電気温水器はオール電化とセットにして初めてメリットが出る。ところが、後からオール電化に変えるのは難しい。これを導入するチャンスは新築するときだ。
新築のとき設備機器をローンに含めてはならない
新築の時に高価な設備機器を住宅ローンに含めてしまうと、寿命が過ぎてそれを撤去した後もその金利を支払い続けることになるので注意したい。金利を含めてしまうと大抵はおトクといえなくなる。
結論~できればガス以外の選択を
我が家の場合、以上のことを一通り考えて、
オール電化+電気温水器(高圧型)
とした。電気温水器は、できるだけシンプルなものを選ぶことで10年を超える寿命が期待できるようになり、設備代のコストが十分安くなる[1]。今のところ、これが一番おトクなパターンだと考えている。
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