2005年、住宅業界では外断熱がブームになっている。ハウスメーカーの能書きをすべて鵜呑みにするのは危険だ。外断熱はRC(鉄筋コンクリート)に有効な工法。その理屈上確かなメリットとデメリットを明らかにする。
RCを外断熱にする最大のメリットは、RC自身を蓄熱体として活用できることから生まれる[1]。
RC外断熱のメリット
1.RCの寿命が伸びる
RC構造体を太陽光や酸性雨から遮蔽するので、コンクリートの中性化や風化の速度が遅い。すなわち、構造体としての寿命は野ざらしに対して大幅に伸びる。
2.RCが蓄熱体になる
熱容量が大きいので、1日の室内温度があまり変わらない。基礎が地面にアースされているので、洞窟の中にいるように、年中だいたい一定の温度にできる可能性がある。
夏は暑く、冬は体温を奪われるような寒さを感じる内断熱のRCと対照的だ。
RC外断熱のデメリット
1.コストが高い
施工、維持、解体共に高い。
RC構造体のさらに外側に外壁を貼るので、その分施工コストがアップする。
固定資産税は木造の1.6倍程度。
丈夫な分、家が要らなくなったときの解体費用も高い。
2.室内側にはクギ1本打てない
通常コンクリート打ちっぱなしになるためモノの固定がしにくい。エアコンを付けようとすると穴あけにお金がかかる。貫通穴やコンセントなど、必要なものは新築時に十分設置しておく必要がある。
木造の外断熱とは何か
外断ブームにあやかって木造なのに外断熱をPRするハウスメーカーがある。木造の外貼断熱は単に断熱材が外壁側にくっついただけ。「外貼り断熱」ともいう。
木造を外断熱にすると、断熱層に十分な厚みが取れず、結露しやすくなる場合がある[2]。蓄熱体を持たない木造を外断熱にするメリットはほとんどないと考える。
結論
快適さの裏返しはやはりコスト。一般庶民はやっぱり木造がいいと個人的に思う。
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