若いころは通勤通学に便利な土地が必要だった[5]。自分が退職し子供が出払うと、これまでの利便が不便に変わる。人生は、まだ半分ある。「今の場所を売って、もっと環境の良いところに住み替えたい」そんな場合に有効な土地の見つけ方をご紹介する。
移動手段はどうなっていく?
歳をとると、若いころ想像も付かなかったことが自分の身に起こる。いま乗っているクルマも、いずれ乗れなくなるだろう。老化とともに、移動手段は次のように変わる。
昔は「乳母ぐるま」がカートの代わりだった。現代は星形の車輪がついたカートがあって、階段などの段差をクリアできる。これがないと「持ち上げ」なければならないから、カートを買うなら星形の車輪が付いたものがよい。
徒歩がダメになったら、介護の世話になり、家に介護する人がいなければ老人ホーム行きとなって、そこで生涯を終えるのが規定路線。つまり人生は、自分で移動できなくなった時点で終わりと考えてもよい。
立地で重視するもの
とりあえず、次の点を押さえておけば老後30年はいける。
スーパー、ドラッグストア
普段の生活で最も頻度が高いのが食料品や日用品の買い物。老人の足(徒歩)で行ける距離(500m)を基準に考える。
食糧調達の半分をネットスーパーに切り替えると楽。現在はイオンやアマゾンフレッシュ、コープ・生協(おうちコープ)などある。今はまだ不便だが※、近年ネットスーパーの市場が伸びているというから、そのうち便利になるだろう[4]。
※:コープ・生協の値段はスーパーに比べると若干割高。配達は週に1度きり、注文はその1週間前の締め切りだが、どんな僻地にも届ける。イオンの場合、値段は店舗と同じだがサービス範囲にムラがある。近隣は当日配達するが、僻地は1週間以上先になる場合も。アマゾンフレッシュは2022現在首都圏のみ。今後の成長に期待したい。
医者
眼科、内科、歯科が近隣にある事。ここには自分で行くしかないので、500m以内が理想。
市の医療センターもチェックしておく。救急車がすぐ来ても搬送先がはるか彼方では心もとない。山間部では学校にヘリを呼んで空輸なんてことに。天候などの事情で来れなければそこでおしまい。AEDの設置場所[1]もチェックすべきポイント。
騒音振動
交通量の多い道路沿いや、鉄道沿い、日中大きな音を出す工場の近辺は落ち着かない。100m離れれば関係ない。
自然災害
地域のハザードマップを見て、土砂災害、洪水、津波、浸水、液状化などの危険をチェックする。建物の被害は火災保険・地震保険でカバーできても、自分が逃げ遅れたらおしまい。
運動できる場所
足腰を長く使うために運動が欠かせない。散歩ができる公園、温水プールをチェックしておく。公園は、山や階段があるところがよい。
運動できる場所がない場合、室内でウオーキングマシンを使う手がある。写真はアルインコAFW5022 Youtubeを見ながら運動出来て飽きない。場所は取らないが商品が重いので注意。
未来を読む
20年後、ネットスーパーが発達し、移動手段は自動運転に変わって商業施設や医療機関から離れても問題なくなるかもしれない。すると、緑に囲まれた広い土地で、ゆったり過ごす、なんて贅沢な暮らしも夢ではない。
土地の探し方
不動産屋にいくと物件ごとの資料が置いてある。これを眺めると効率悪いので、次のようにする。
googleマップを開いて、「スーパー」で検索した状態でキャプチャ。文書ソフトに貼付けてPDF(A3)で印刷し、コンビニでA3白黒に出力。コンパスでスーパーを中心に半径500mの円を描く。下はその例。
PDFに出すとき、高解像度で印刷する。Wordの場合は、[ファイル][名前を付けて保存]で保存先を指定し、ファイルの種類をPDFにする。最適化を「標準」とし、オプションのボタンを押して「PDF/A 準拠」にチェック。「名前を付けて保存」ダイアログに戻り、右下の[ツール][図の圧縮]と進み、解像度を「高品質」にする。wordは格安で買える[6]
印刷が出来たら、医療センター、病院やショッピングモールなど、重視したい施設があればそれに「色」と許容半径を書いていく。出来たら、アットホーム[3]が提供する地図と見比べ、円の中に入る物件を見ていく。
不動産の検索サイトは他にいろいろあるが、重い、見ずらいなど、役に立たたないものが多い。今もファックスを使う会社が多く、この業界のデジタル化は、かなり遅れている。
通勤通学が関係なくなると対象エリアが広範囲になる。今度の土地選びに失敗は許されない。妥協は禁物。都合よく見つからない場合が多いので、退職する数年前から準備し、日頃からチェックするとよい。
距離より移動時間
クルマ移動では距離より時間が大切。施設が近くても特定の交差点を抜けるのに時間がかかれば遠いのと一緒。よさそうな物件が見つかったら、道路の混雑状況を確認しておきたい。
見守りの問題をどうするか
一人で倒れ、だれも気付いてくれず、おしまい。そんな最後もありうる。すぐ病院に運べば助かったのに・・と遺族が残念に思う。
現在、ヤマト運輸、セコム、ALSOKが見守り月額千円~2千円程度で見守りサービスを提供している。田舎では近所の繋がりが強く、それが互いの「見守り」として機能する。息子夫婦の近くだから大丈夫・・本当だろうか。
これらは、すぐに気付いてもらえないので意味ない。「ああ、死んだか」がすぐ分かるというだけ。そのうち、この問題に対処できるスマートデバイスが普及するだろう。
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<参考文献>
1.日本全国AEDマップ
2.地理院地図(標高MAP)
3.アットホーム 見やすい不動産マップが利用できます
4.「ネットスーパー」プラットフォームが拡大、流通事業者の新規参入が容易に(2021.10.15)