倒れやすいポット苗と土砂災害

木は地面を境に地上と地下の発達がほぼ対称になるという。それは種から育った「実生」の場合で、ポット苗の場合そうはならない。実生ではまず地下に向けて直根が発達するが、ポット苗は根張りがポットの空間で抑制されるため根がループし「 とぐろ」を巻いたようになる。このような苗を植えても図のように地表付近を側根が発達するだけで、栄養の少ない地下に向けて直根が伸びていくことはない。[1]

木の構造

庭で大きく成長した木を何度か掘り返したことがあるが、ポット苗の根はとぐろを巻いた苗木ときの形を保ったまま大きくなっており、地下に向けて直根が発達する様子はなかった。そのため成長したあとでもスコップひとつで植え替えすることができる。

このことは植林や街路樹で問題になっているようだ。右のような根張りの山林は大雨によって表土ごと崩落する危険があり、街路樹は風で倒れやすく、 洪水でも来れば綺麗サッパリ流されてしまうだろう。たとえ無事に成長を続けても数十年後に根詰まりで枯死する場合もあるようだ[2]。山林の木々が左の形で岩盤まで直根が伸びていれば大雨に対し相当強い斜面になるはずだ。

 

家庭園芸は趣味なので、大きく成長しても自分で植え替えしやすいポット苗の方が商品として良いのかもしれない。 それに適度に枯れたり倒れた方が、生産者にとって都合が良い。

風水害でびくともしない丈夫な木に育てたいと考えるなら、麻布で根巻きされた成長済の木ではなく、幼苗から始めることが必要だ。種から育った「実生苗」が望ましいが、幼苗なら挿し木でもよいらしい。挿し木は直根が無いが、2年以内の幼苗なら直下に根を下ろすようだ[3]

DSC001593左はトキワマンサクの実生を引き抜いて集めてみたもの。直根が発達するため30cmくらいに成長してしまうと手で引き抜くことが困難になる。実生の樹形は自然なためシンボルツリーに適する。

 

DSCN76003 左は庭に植えたトキワマンサクのポット苗。2008年7月。80cm間隔に植えて目隠し(ゆるく視線を遮る程度の生垣)とした。魚の骨のように真っ直ぐ伸びた苗木は間違いなく挿し木によるもの。庭に並べて生垣とする場合は挿し木樹形のほうが整えやすい。

 4年目に計画通りのものが完成したが全部が無事育ったわけではない。病害虫や風による折損などで4割を植え替えている。完成後も油断ならない。1本1本樹勢が異なるため、剪定を怠ると樹勢の強い木に弱い木が覆われて枯れ込むことがある。

小さな苗木は全部が無事に育つとは限らない。最初から間をあけて等間隔で植えてしまうと一部がダメになった場合、補てんしなければならない。最初から幼苗を2~3倍の密度で植えて間引きした方が良かったかも。

 

 トキワマンサクは大きく成長すると補てんそのものが難しくなる。大きい木の入手が困難になるためだ。この場合、枝の一部を自分で「取り木」したり、挿し木を利用した方がいいかもしれない。

 

DSC000761 苗を買う人のほとんどが根の品質まで気にしない。そのためポットで大きく育った商品にはロクなものがない。左は2014年 楽天で購入した樹高2mのトキワマンサクの根。コブのようになって締まっている。

 DSC001641林業ではポット苗をコンテナ苗やブロック苗に替える取り組みが始まっているが家庭園芸は残念ながらポット苗が主流。時間がかかるが実生か、2年未満の幼苗から始めるしかなさそう。

 左は地面に散在する実生の苗木を集めて既存の木の間に植え直したところ。2014年10月。実生なので直根が発達する。大きくなったら世代交代させる予定。

 

<関連商品>
苗木一覧 幼苗から始めると根張りが良好で風水害に強い木に育ちます

<参考文献>
[1]ポット苗と実生苗の根系の違い
[2]コンテナ苗について
[3]苗木の根切りが生長に及ぼす影響について

 

倒れやすいポット苗と土砂災害」への2件のフィードバック

  1. TK-One

    初めてカキコします。
    ポット苗の根の問題ですが盆栽の分野では根接ぎをよくやっていますよね。若苗を根接ぎすれば直根は下に伸びるのではないでしょうか。

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    1. 創造の館 管理人 投稿作成者

      根接ぎという方法は知りませんでした。根張りの悪い樹木を復活させるためにやることもあるみたいですね。

      返信

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