家を新築して庭木を植えることがある。しかし無計画に植えると統一感がなくなる。高価な園芸品種に手を出して後悔することもある。私はこれまで多くの失敗を重ねてきた。そんな経験から導き出した、失敗のない庭木の選び方をご紹介したい。
コンセプトを考える
庭木は何か植えれば良いというものではない。建物の外観、外壁の色とマッチするものを選ぶことが重要。例えば、洋風の建物にラカンマキ、和風の家にゴールドライダーはどう考えても合わない。
建物の外観は、和風、洋風、モダンなどに分けられるので、それぞれ適合する樹種を選ぶ。花が咲く樹種では、その花の色を外壁に合わせる。
どこに植えるか
次の場所に適切な樹種を植える。
・玄関先のシンボルツリー
・目隠し(南側、南側以外)
・その他:アプローチ(土間の溝)、坪庭など、必要に応じて。
庭木の候補
樹木にはとても沢山の種類があるが、見た目のほかにも病害虫のつきにくさ、育てやすさ、手入れの容易さなどから絞ると候補は限られる。
まず、ご近所を観察することをお勧めしたい。近所に植えてあるものなら、選んでも問題ない。
「他人とちょっと違ものを植えたい」そういう気持ちもわかるが、あまり見かけないものや、高価な園芸種を選ぶと失敗することがある。
お勧めの度合いを★の数で示す。
玄関先のシンボルツリー
・シマトネリコ
植えているのをよく見る人気の樹種。洋風、モダンな建物にマッチする。値段が安い、成長が速い特徴がある。我が家では40cmくらいの株立ちを買ってきて植えたが、4年目から後で紹介するように手入れに苦労するようになってきた。
とても成長が早く、年に2回剪定が必要。後始末が重労働で、手では追い付かず、ガーデンシュレッダーを導入した[2]。
2022年、剪定が危なくなってきたので棚受けを使って足場を設置した[4]。
・アカマツ、クロマツ
和風の建物にマッチする定番。仕立てにオーナーの感性が現れる。
目隠し(南側)
・コニファ(ゴールドライダー)
円錐形なので下の方は目隠しに役立ち、上に行くに従い隙間ができるので日が入りやすい。洋風の建物によく合う。
・トキワマンサク★
我が家で採用した樹種。赤と白があるので外壁の色に合わせて選ぶ。
市販のポット苗は台風などで倒れたことがあった。幼苗か、できれば実生からはじめたい[1]。80cm間隔で植えて、3年目に半分に間引く。目隠しに役立つまで成長するのは4年以降。和風、洋風、モダンなど、どのような建物にもマッチする。
春先に花が咲いて素晴らしい景観を楽しめる。
手入れは結構厄介。成長が速いので年1~2回剪定が必要。切ると樹皮から細かい粉が飛散し、葉に細かい毛が生えている為、服や軍手にくっつくと取れない。皮膚に樹皮の粉が付くと痒くなる。アレルギー性がある。
・ラカンマキ
刈込みすることで密な緑の壁を作れる。和風の建物によく合う。
目隠し(南側以外)
半日蔭に耐える常緑樹が適している。ラカンマキはここでも候補になる。
・サザンカ★★
丈夫で成長が遅く手がかからない。日の当たらない半日陰で育つ。我が家では朝倉の白を東側の隣家との間の目隠しに使用。
いろんな種類・色があるが、ピンクまたは白などのシンプルなものがお勧め。毛虫がつきやすい欠点がある。木が小さいうちは注意が必要。
その他(アプローチ)
アプローチの溝に植えたタマリュウ★。シート状の塊で売っている。これをバラバラにほぐして適当に植えておくと密に茂る。乾燥に弱いので水が染み出すホースを溝に沿って埋めた潅水システム[3]を作った。
2018年、食害されてボロボロになってしまった。ネット調べると犯人は「ヒョウタンゾウムシ」らしい。オルトランをたっぷり撒いて対策した。
2020年、再び食害発生。犯人はダンゴムシ。ダンゴムシ用の殺虫剤を撒いて対策。前回もダンゴムシだった可能性がある。
坪庭
北側に作った和風の坪庭。北側なので夏以外ほとんど日が当たらない。
いろいろ試行錯誤して、最終的にはヤマモミジ★★、クロチク★★、アオキ★★に落ち着いた。
クロチクは根張り拡大の対策に苦心した。アクリル板を深さ40cm埋めたが、僅かな継ぎ目の隙間から根が外に出た。
継ぎ目はステンレステープできっちり塞ぐ必要があった。
1年中、日の当たらない場所で育つアオキ。成長が遅く、ほとんど手がかからない。見ていると春に少し伸びるだけ。
植えて失敗した樹種
・チャノキ
東側の目隠しに選んだが、いくら駆除してもすぐケムシに食害されまともに育たなかった。サザンカにチェンジ。
・モミジ(青鴫立沢)
美しい葉を付ける園芸品種。坪庭に植えて数年様子を見たが、ほとんど成長しなかった。野生種のヤマモミジにチェンジ。
・トキワマンサク(樹高1m~)
ポットで育った庭木を植えても台風などですぐに倒れてしまう。これは直根(地面の下に伸びていく根)が存在しないため。皆伐して実生からやり直した[1]。
・アジサイ(星の桜)
とても美しいアジサイだが園芸品種のため、放っておいても勝手に育つ一般種に比べ難しい。1年で根腐れ、うどんこ病にやられ、半枯れ状態になって撤去した。
・シマトネリコ
枝の途中から生えてくる小枝を丁寧に落とし、葉を先端に集中させると涼やかなイメージに仕立てることが出来る。
成長の早いのが欠点。写真上は剪定後(2022/4)。「これで少しは楽ができる」と思ってほとんどボウズにしたが、僅か4か月で2枚目(2022/8)の状態に復活。毎年たいへんな労力がかかっている。
検証中の植物
・白ヒメジャガ(2018年8月~)
坪庭の一角にグランドカバーを作る目的で植えた。地下茎で増えていくため根域制限に樹脂板を埋めてある。
・ウサギゴケ(2018年8月~)
最近人気急上昇中の食虫植物。外観がウサギそっくりでとてもかわいらしい。乾燥に弱く、水を切らすとすぐ枯れてしまう。
生育条件不明。常時腰水で育てるのが無難だが、通気性の良い土を使わないと根腐れしてしまう。サボテンの培養土、パーライト、くん炭に植えてテスト中。
最後に~品種を選ぶ際の注意
高価な園芸品種を購入してもうまく育たなかった・・ 10年間の間、そんな経験を何度かした。
モミジ、ツバキ、サザンカ、アジサイ、バラなどには、園芸品種がとても多い。これらは見た目の美しさを主眼において人為的な交配を繰り返して作られたもの。野生種より弱く育てにくい品種があるので注意したい。
弱く育てにくい品種は値段をみれば想像つく。値段が高いということは、容易に増やせないことの裏返し。いくら綺麗でも、このような品種は手を出さないのが無難といえる。
逆に、安く大量に売られている品種は、育てやすく失敗しにくいことを意味している。庭木はこのような品種から選ぶことをお勧めしたい。
<参考購入先>
ヤマモミジ 改良品種より原種の方が丈夫です
トキワマンサク 生垣にイチオシの植木です
マルチング 苗木のうちは水分保持に役立ち雑草も防止できますます
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