炊飯器の選び方~調理家電はIoTで進化する

DSC01390a 写真は奥からナショナルSR-DG10F(2005年)、タイガーJKC-W100(2008年)。 タイガーの内釜はW銅入り5層。どちらも機能的なは支障はなく、内臓リチウム電池もまだ生きている。

 ナショナルは10年前の機種だが、現行機と味に差はない。以前の調査で分かった、最も重要な「水加減」について調べたところ、どちらの内釜も1合目盛の水量はまったく同じで、水加減は 米:水=1:1.2 (容積比)だった。

 

DSC01386a ナショナルの内釜は銅釜、タイガーの内釜はW銅入り5層で厚みがある。後者は洗い桶代わりにされたせいでフッ素コートがかなり痛んでいる。味に支障はないが、毎回ご飯がくっついて手入れが激しく面倒。

 内釜は単品で購入できる。値段は機種にもよるが、5千円~2万円の幅がある。W銅入り5層(JKC1750)は1万円。少しお金を足せば新しい炊飯器が買えてしまう。

 

 

 

多層釜、土鍋、豪熱・・炊飯器の機能は味に寄与しない

 

 炊飯器のカタログには様々な能書きが見られ、消費者は判断に迷う。整理すると次のようになる。

表1 炊飯器のセールスポイントと味への寄与度

  メリット デメリット 味への寄与度 備考

内釜の銅入り、多層構造

熱伝導の向上
(炊きムラ防止)

コストアップ なし

いまどき炊きムラが問題になる商品はない

竈、土鍋※ 炊き上がり後の保温性向上 熱伝導の悪化
コストアップ
電気のムダが多い
マイナス

IHと陶磁器の組み合わせ自体が不適当

豪熱、大火力、おどり炊き なし なし なし  必要な火力は水の量で決まるもの。意味無し
多段IH※ なし コストアップ なし

 

圧力炊飯 炊き上がりが早い。
山岳部など気圧の低い場所で使える。

コストアップ
複雑な構造による消耗品の増加と故障リスク

なし

常圧下では意味無し(1気圧100℃で十分おいしく炊けることは実証済)
 スチーム  なし  なし  なし  炊飯時に自然に出るものを追加する意味が不明

 

 この表から、実際には何のメリットも無く、イメージに訴えるだけの能書きが多いように見える。

 炊飯器を選ぶとき「おいしく炊けるものを」と誰もが思う。その点は大差ない(どれも同じ)と考えていい。

 以前書いたように、ご飯の味は水加減(同じ炊き上がりを得るために要する水の量)で決まる。電気炊飯器はどのメーカーのどの機種も、判を押したように 米:水=1:1.2 の割合で炊けるよう制御されている。ここが変わらない限り、味に差が出ることは無い。

 

 

電気炊飯器は、日本的な家電の代表だ

 

 ところで、なぜメーカーは1:1.2の水加減を変えないのか。水の割合を増やすと味がガスに近づくが、炊飯に必要な電気代が増えるうえ、同じ釜で炊ける炊飯量が減ってしまう。5合炊きが4合炊きに「スペックダウン」してしまう。「そんな商品は売れない」そう考えているのかもしれない。

 「こんなに小さなサイズと少ない消費電力で、5号も炊ける」 今の炊飯器はいかにも日本的な家電だ。この制約の中で実現可能な手段は研究し尽くされており、改善の余地が無い。味が横並びになってしまった今、竈や土鍋といった「イメージ」に訴えて差別化するしか無くなっているのは仕方ないのかもしれない。

 

DSC01387a 高価なIH炊飯器には過剰スペックの内釜が付属することが多い。

 内釜の価値は熱伝導と熱容量で決まる。
 熱伝導の違いは同時に加熱して上端の温度測ればわかる。左の結果はナショナル銅釜の勝ちだったが、炊きムラが起こらない限り気にする必要は無い。

 

 

 

結論~電気炊飯器を選ぶポイントはこれだ

 

 結局、電気炊飯器を選ぶポイントは、圧力式を避けて1~2万円程度のシンプルなごく普通のIH式を選ぶことだ。このことは、昔も今も変わっていない。

 ネットには沢山のレビューやクチコミがあるが、使うお米や炊く量など条件が不明なものは参考にならない。高い機種をフンパツしても味は同じ。より美味しいご飯を食べたいと思うなら、水加減を増やして自分で炊くしかないのかもしれない。

 

 

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 電気炊飯器に付属の内釜を使い、ガスコンロで炊いた実験結果(2005年)。量はわずか0.5合。蓋を取るとブワっと立ち昇る水蒸気、立ちまくるお米、カニ穴、壁面に張り付く大量のオネバ。電気炊飯器では決して見ることのない光景。

 炊飯火力は終始弱火以下。この違いはなんなのか?この疑問を追及したことが、新たな知見を得ることに繋がった。詳細は下記の関連記事をみて欲しい。

 

 

差別化の余地がなくなった調理家電はIoTで進化する

 

 電気炊飯器や電子レンジには沢山の調理メニューがあるが、役に立たないものが多い。調理家電は無線LANでスマホやパソコンにつなげて加熱プログラムを自由に作れる形にすると新しい商品ができるのではないか。
 炊飯器なら、水と米の比率をプログラムして自分の好きな味を追求できるようになるだろう。ユーザーが作った調理プログラムはネットで共有され、ダウンロードして利用できる。人気投票の機能を付けたり、メーカー主催でコンテストを開くのも面白そうだ。これはIoTを活用した調理家電の進化形の一つといえるだろう(PAT.Pend)。

 

 写真はタイガー炊きたてミニ JKO-G550-T。なぜか5合炊きの商品が多いが、4人家族で3合以上炊くことは滅多にない(我が家では、年に1度もない)から、3号炊きで十分。このクラスには圧力など余計な機能が付いていないこともうれしい。

 

 

<参考購入先>
3合炊きのIH炊飯器 圧力や余分な能書きの付かない普通のIH。このあたりから選べば失敗ありません

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DSC01391a裏側の吸気口はメンテナンスで見落としやすい部分。年に1度は埃をとっておきたい。

 

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