BRZ,GT-R・・実はつまらなかった本格(風)スポーツカー

 86・BRZとGT-Rが新しくなるという。変更点はいろいろあるが、要するに見た目を変えてちょこっとパワーアップするという、お決まりのパターン。その目的は明らか。販売のテコ入れだ。

 

 私は、こういったスポーツカーと称するクルマがあまり売れない原因は、メーカーがスポーツカーを作ってこなかった事にあるとみている。「スポーツカーなら昔から沢山あるじゃないか」と思うかもしれないが、それは違う。

 確かに「スポーツカー」と称して売られている(売られてきた)クルマは沢山ある。しかし、そのほとんどは加速が凄いだけのハイパワー車か、スポーツ風の外観を持つラグジュアリーカーだった。

 

 スポーツカーとして成立するために必要な最も重要な条件に、パワーと重量の比率がある。これについては、パワーウェイトレシオが知られているが、基準が無いためか、あまり活用されていない。そこで作ったのが、以前公開した下のグラフだ。

carweight 車重1.3トン、排気量2000ccを超えると慣性が大きくなり、パワーでカバーできなくなる(応答が落ちてしまう)ことから、2Lを上限の目安とした。

 

グラフ1:走りが楽しく感じられる車重の限界(経験則)

 塗りつぶしの領域に入るクルマは、一番大切な、基本的な部分でスポーツカーの素質を持っている。こういうクルマはサスペンションや操作系フィールなど、他の条件(後述のリンク参照)が揃うと、まるで手足の延長に強力な動力が追加されたかのようなイメージで、思い通りに操れるクルマになる。それがスポーツカーだ。

 領域から出たところにあるクルマは、スポーツカーになれない。カッコいい外観や大径ホイール、6MTを与えても、それはスポーツ風の普通のクルマだ。

※:グラフの左端(軽自動車)のNAの領域に入るクルマに「軽トラック」がある。峠で煽られた人もいるだろう。これもスポーツカーの素質を持っつクルマの一つだ。

 

 スポーツカーはよく「レーシングカー」と混同される。両者の区別が曖昧な人も多い。レーシングカーは速く走ることを目的に作られたクルマであって、スポーツカーではない。スポーツカーにとって、速度やタイムは重要ではない。「ゼロヨンの加速が何秒」といったことは、どうでも良いスペックになる。クルマ雑誌を読みすぎるとスポーツカーとレーシングカーを混同しやすくなるので注意したい。

 優れたスポーツカーは、渋滞でゴーストップを繰り返すときでも、コンビニの駐車場にバックで停めるときでも、十分その良さ(主に応答の速さ)を実感できる。

 

 GT-Rや86・BRZといった、スポーツ風のクルマを買った人は今頃どう思っているだろう。おそらく

「スポーツカーってこんなもんだったのか・・」

という感想で「次も同じ車を買おう」と考える人は少ないのではないか。

 メーカーは長いこと、スポーツカーのような外観と装備を与えた、乗り心地と燃費の悪い車を「スポーツカー」と称して売ってきた。そんなクルマが消費者を満足させるはずがない。こういうことを続けていると、スポーツカーの市場は消えてしてしまうかもしれない。

 

 GT-Rが最も輝いていたのはR32の前期型だった。スペック以上の実馬力と4WDのおかげで直線だけは非日常を体感できるクルマだった。その後どんどん車重が増加し、今ではクラウンより重い怪物になっている。

 86・BRZのNA2L、1.2トンというスペックは、上記グラフの領域をはみ出している。AE86の軽快な走りを期待して買った人は、がっかりしたに違いない。もし86・BRZにターボが与えられていたら・・まったく違った評価が得られていたに違いない。

 

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