これはひどい!新築マイホームの実態

 私は家を新築した。竣工したのは2008年。工事中から竣工後にかけて、当初まったく考えも及ばなかった、いろんな問題を経験した。今回はその中身をご紹介したい。

 

キャッチコピーに注意

 住宅展示場に行くといろんなキャッチコピーを目にする。

「木は鉄よりも強い」「資産価値の高い住まい」「ロングライフ住宅」

 木が鉄よりも強いと言うのは、強度を重さで割った「比強度」の話[1]。「重さの割に強いんですよ」というのが本当だ。資産価値が高いというのなら、売ったらいくらになるのか、金額を出して他社と比較すべきだろう。ロングライフも、高額な維持費用と引き替えでは意味が無い[2]

 「ウチは、地震に強いんですよ」

地震の被害が相次いだせいか、これも良く聞かれるセールストーク。どのメーカも地震に強いことをアピールしているが、今時、地震に強いことは当たり前。地震に強いんですよ、ではなく、「震度7が10回来ても強度を90%維持できます」のように、数字で示したものがほしい。

 私はいろんな建築業者の営業と話をしたが、ハウスメーカの若い営業は全く相手にならなかった。彼らが口にする言葉は、自らの経験ではなく、教育されたものにすぎないから説得力がない。

 私は住宅展示場のほかにも設計事務所を訪ね歩いた。そこには「建築家」と呼ばれる人がいるが、彼らはプランニングが得意だが、住宅性能に関わる工学的な知識はあまり詳しくないようだった。

 

 

新しい工法に注意

 ハウスメーカの中には新しい工法を開発したといって、それを売りにしているところがある。二重通気だとか、木造なのに外断熱というものなど様々。

 新しい工法は実験棟を建て、何年もかけて測定データをとり、検証していくもの。そういうデータがないものは、思い付きに過ぎない可能性が高い。

 私はそんな工法を一通り検討して、結局、普通のヒノキ木造軸組+吹付発泡ウレタン断熱とした。それが最も合理的で柔軟で、長持ちすると考えた。吹付発泡ウレタンは、断熱欠損を防ぐための、最もよい手段に思えた。

 次点は2×4(ツーバイフォー)で、中身がグラスウールではなく発泡ウレタン断熱。強度の高い家を作れるが、使う材質が腐朽しやすい欠点がある。日本国内でどのくらいもつかデータがないことが気になった。

 丈夫さでは軽量鉄骨がベスト。但し住宅メーカーの規格品であり、断熱がグラスウールになってしまう。吹付発泡ウレタンができないこともないが、規格から外れて違うことをすると高くなることが問題だった。

 

 

建築業者の選択と契約の決め手

 私が契約したのは、地域密着型の中堅工務店。住宅展示場の中で見つけたその工務店では「お客様の第一主義」を掲げていた。契約の決め手は、「社長の人柄」。実際に会ってみて、この人なら信頼できる、そう思った。

 私は新築を機にリスニングルームを計画した[3]が、工務店に雇わている設計士には、それを実現する力がないように見えた。そこで、建築施工と設計を分離し、設計を私のプランに興味を持ってくれた「建築家」と契約した。

 

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最低レベルの施工品質

 実際工事が始まると、いろんなトラブルが生じた。

 建設現場では「施工品質」が重要になるが、私が家を建てて感じたのは、住宅工事に関わる業者にこれを求めることは困難なことだった。以下は実際にあった問題の一部である。

 

・発泡ウレタンの断熱材にブスブス穴をあけてそのまま

 高気密を求めて吹付発泡ウレタンをやったが、あとから電気屋さんが断熱材に穴をあけまくり、そのまま。これではせっかくの高気密が台無し。スイッチボックスからスースー外気が侵入していることで気づいた。

 

・壁クロスにボコボコ凹みが

 クロスを貼る前に下地をフラットにする作業が必要だが、これを手抜きされた。クレーターのように目立つ窪みのひどいところ(3ヵ所)について張替えを依頼したところ、

 「ライトを当てたら目立つにきまってる」「こんなところ、フラットにできるわけないだろ」と逆切れする有様だった。

 

・サッシ枠が歪みまくる

 サッシを閉めても風がスースー。見ると1センチも隙間がある。なぜこんなに隙間があるのか。聞くと天然木(ヒノキ)の柱は建築後しばらくの間歪み、落ち着くまで数年かかるという。木材の「乾燥不良」ではないだろうか。

 天然木ではなく、EW(エンジニアリングウッド)か、軽量鉄骨で組めば、たぶんこういうトラブルは起きない。

 写真のサッシは閉めた状態で取手付近に1センチ隙間がある。程度の差はあれ、すべてのサッシが似たような状態。ひどい場所は3センチあった。

 1センチくらいの隙間はサッシ枠の方に詰め物を入れ、無理やりサッシのフレームを湾曲させて収めていた。3センチの場所は外壁を壊して枠の付け直しになった。

 

 

・ガラスが指定と違う

 Low-E複層を指定したのに低グレードのものが付けられていた。竣工後に気づいて指摘したところ、「それはいけませんね」で全部交換となった。

 

・換気ファンを石膏ボードに直接ビス止め

 喚起口が脱落しかかっているのを見て不思議に思い、ネジを締めたら空回り。石膏ボードにビスは立たないのにねじ込んである。

 見た目についているだけで固定されていない。原因は取付業者がボードアンカーを省略したため。

 

・浴室の排気パイプが内側で脱落

 写真はユニットバスの点検口から排気パイプ接続部を見たところ。パイプが外れている。気づくまでお風呂の排気は全部屋内に吹きこんでいた。おかげで周辺が黒カビだらけ。

 見ると同径のパイプ同士を突き合わせてテープで巻いただけだった。テープでは粘着が湿気で劣化しすぐに外れてしまう。ここは継手部材を使うべきところだが、なぜか省略。

 

・換気口から雨水が侵入

 台風の日、換気口からポタポタ水が垂れてくる。換気部材を外してみたら、パイプに水勾配を付けていなかった。規定では、屋外側に向けて勾配がないといけないもの。それが室内側に傾斜していたのが原因。

 

・換気パイプが壁まで届いていない

 外してみて気づく。24時間換気の排気の一部が漏れ、胴縁の中に入り込んでいた。

 

・床下に潜ると断熱材の脱落、床を支える支柱未固定、配管水漏れ・・

 床下にもぐってみると、いろいろ問題が見つかる。

 写真は青い配管を通したとき断熱材が脱落してそのままのところ。

 

 写真はプラ束と呼ばれる床を支える支柱。高さ調整したらナットを回して固定しないといけないはず。しかし触ってみると全部ゆるゆる。

 洗濯機の排水継ぎ手から水漏れしているもの見つかった。

 

 

・玄関階段を1段省略

 図面通りやらない外構工事。階段が1段足りない。後で1段追加したら、継ぎ目のところで泣き別れ。階段は建物側の基礎と一体なのに、追加した階段は駐車場の土間コンと一体にした為。

 

・雨漏り

 調査は外壁をむやみに剥がしてみただけで結局原因不明。こういうことが起こらないようにと思って付けたGEOの保証は役に立たなかった。

 

 

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不正のマンネリ化

 どこのハウスメーカーに注文しても実際の施工は下請がやる。長年同じ仕事を続けるうちに初心を忘れ、施工図を無視し、手抜きをし、都合の悪いことは隠し、面倒に思うことは省略する。

 下請の職人作業には第三者による検査が入らない。いい加減な作業を続けても仕事をくれるし金ももらえる。これが、このような不正が常態化してしまう原因になっているようだ。

 

 

現場監督な何をしていたのか

 家を建てる契約をすると現場監督が付く。その監督は、地鎮祭の時「私が担当になりました」といって挨拶に来ただけ。現場で顔を見ることは一度もなかった。

 彼らの関心事は工程を進めることであり、図面通りモノを作ることについては関心がない。毎日現場に足を運び、図面と照らして一々チェックなどしない。この部分は下請に丸投げ。建物が完成すると「できました」といってノーチェックで引き渡される。どこに頼んでも、似たような対応になると思う。

 設計を頼んだ建築家には、引き続き施工管理の契約もしたが、ほとんど現場を見に来なかった。

 結局、毎晩懐中電灯と図面を持って現場に足を運び、自分でチェックすることになった。

 

 

トラブルを防ぐために、どうしたらよいのか

 下請け業者には誠実なところもある。しかし顧客からはそれが見えないし、第三者の信頼できる評価もない。実際に仕事をやらせてみるまでわからないのが実態だ。そんな状況下でトラブルを防ぐには、次の対策が考えられる。

1.工場で大方作ったものを組立てるだけにする

 いわゆる「プレハブ住宅」。大部分が工場品質になり、雑な作業をする下請けが入り込む余地が少ない。但し仕様が標準化されているので、アレコレ注文を付けることが難しい。

2.建売を買う

 現物を見て判断できる。チェックするところは室内ではなく、床下、天井裏、壁の内側。いろいろ外したり開けてみる必要がある。マンションを買う時も同じだが、初めて家を買う人が問題を見抜くのは難しい。

 どちらにせよ、リスニングルームを作りたいとか、注文をつけるのは難しい。今度家を建てときはどうしようか。今も解決策を見つけられていない。

 

 

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