ソルダーレスは音を悪くする~オーディオ用バナナプラグの選び方

 アンプやスピーカーの端子にバナナプラグが挿せる商品が多くなった。これはもともと、計測用途などで脱着しやすい接続で使うもの。間違った構造のものを選ぶと、かえって音を悪くすることがある。

 

スピーカーターミナルの接続はどれがベストか

 スピーカーターミナルと電線の接続では「接触抵抗」を最優先に考える[1]。ここに注目して各種接続方法を並べると次の順番になる。

 

丸形、Y形圧着端子 > 棒形圧着端子 > バナナプラグ >> メッキケーブル > 一般ケーブル > メッキケーブル+ソルダーレスプラグ > 一般ケーブル+ソルダーレスプラグ

 

 並びをみてわかるように、バナナプラグは最適な接続方法ではない。できるなら、より上位の接続方法を採用するのがよい。どの場合も、接触抵抗を低い状態で安定させるためにコンタクトオイルを塗って使うことが望ましい[2]

 「>>」から右側は、選ばない方がよい選択肢。素線をねじ込みで使うと接触が不安定になりやすい[3]

 「メッキケーブル」は素線がスズ、銀、ニッケルなどでメッキされたものをいう。裸の銅線より腐食しにくいのでその分良い。

 

なぜソルダーレスがダメなのか

 バナナプラグやYラグには、被覆を剥いた電線をねじ込止めするソルダーレスタイプがある。

 この部分は被覆を剥いた電線をスピーカーターミナルに固定する場合と同じ、接触が安定しない不安定な接続になってしまう[3]。それをさらに、スピーカーターミナルに繋ぐことで接点が増えてしまう。

 つまりこれは、不安定なねじ込み接点の数を増やすだけの最悪の結合法。ソルダーレスでも「ハンダ付け」すれば左側の同タイプに等しくできる。圧着はハンダ付けと等しい。従い、バナナプラグを使う場合は必ずハンダ付けにする必要がある。

 

バナナプラグの選ぶときのポイント

 

1.電線のハンダ付けが可能である

 接触の信頼性を高めるために、電線はハンダ付けでなければならない。バナナに電線をネジ止めするソルダーレスは、上記の通りSP端子に直接裸電線を付ける場合に比べ接点が増える分、劣る。

2.外周がプラスチック製である

 ハウジングの材料はプラスチックに限る。ショートの危険がなく、軽量で端子に有害なストレスをかけない。

3.IECなどの規格に準拠しているか、電流容量が明確になっている

 規格も容量も不明な「オーディオ専用」バナナのほとんどはガラクタに等しい。

4.コンタクトがワンピース構造になっている(できれば)

 バナナのコンタクトにはりいろんなものがある。薄板を風車のように成型して巻いたもの(下の写真で左の2つ)は、多数のエッジでポストの穴を傷つけるほか、スプリングと本体との間に第二の接点ができてしまう。

5.コンタクトがベリリウム銅で出来ている(できれば)

 ベリリウム銅は耐疲労性と導電性に優れたバネ合金。バナナのプラグにとって理想的な材料。

6.ツイン(できれば)

 バナナは単体のもの(シングル)と、1対を一体形にした(ツイン)の2種類がある。ツインの方が相対位置が拘束される分、安定した接触を実現できるばかりでなくショートの危険がない。ターミナルの間隔が約19mmであればツインに対応している。

 


 

実例

 

いろいろなバナナプラグ いろいろなバナナプラグ。形状がマチマチで、電流容量や接触抵抗について不明なものがほとんど。粗悪な商品もかなりある。

 一番右(TJ-560)以外はすべてソルダーレス。

 

 

ツインバナナにSPケーブルをハンダ付けした様子 ソルダーレスのツインバナナ(CLASSIC PRO BN20)のボルトを抜いて、電線を通し直接ハンダ付けしたもの。

 プラグが軽量化し、ハンダ付けによって接点の接触抵抗をゼロにできる。

 

 


 

バナナプラグの結論

 上記の条件を満たす良質なバナナプラグを作るメーカーは少ない。広く探した結果、サトーパーツ、Pomona、 ELECTRO PJPくらいだった。この中から選ぶ。

 

サトーパーツ TJ-560

  Max3A。本体がワンピース一体型で信頼性が高い。抜き差しもなめらか。金メッキのSA-2000-560 もある。

Pomona 5170

 Max15A 2スケアまで。スプリングがベリリウム銅。TOKIWA ELENET.JPから通販で購入できる。

ELECTRO PJP 1010-I

 Max36A。スプリングがベリリウム銅。しっかした差し込みの感触があり、簡単に抜けない。TOKIWA ELENET.JPから通販で購入できる。

CLASSIC PRO BN20(ツインバナナ)

 後ろから電線を挿してハンダ付けできる。

 

バナナプラグをスピーカーターミナルに挿したところ

 バナナプラグ(ELECTRO PJP 1010-I)にカナレ4S6 をハンダ付けして作ったSPケーブルの例。被覆を剥いたところ熱収縮チューブで処理してある。

 これを作るには、はんだごて、ヒートガン、熱収縮チューブ、ワイヤーストリッパーなどが要る[4]。品質の良いケーブルは良い工具がないと作れない。お金をかけるところは、プラグやケーブル本体ではなく、工具になる。

 

 

<参考購入先>
TJ-560 定番のバナナプラグです
ネット通販TOKIWA ELENET.JP Pomona,ELECTRO PJP商品取扱。アマゾンにない商品を買う時よく利用してます

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<改訂履歴>
2019/3/18 ソルダーレスの見解を追加、写真を追加しました。