2013年のデジタルカメラ~進化したフォーサーズの画質

 わが家にはニコンFE-2がある。銀塩時代のカメラだ。

 ほとんどのパーツが金属の削り出しでできていているから、触ってみると、ひんやりとした金属の質感、ずっしりした重みがある。

 ファインダーを覗くと油の「匂い」が鼻から入ってくる。シャッターを切れば、心地よい音と振動を得る。触っているだけで楽しい。

 

 このカメラに大口径のレンズを付けると、自分のウデ前とは無関係に創作意欲が沸いてくる。1台買えば一生モノで、親から子供へ受け継いで使っていける。カメラとは、そういうものだった。

 

プラスチッキーなボディ、トレットペーパの芯のようなレンズ

 現代のデジカメは数年で陳腐化し、5年で価値がなくなる使い捨てのオモチャ。機能・性能は劇的に進歩したが、逆にモノとしての価値はこれ以上落ちようがないところまで退化した。もはや、ただ記録するだけの道具でしかない。

 私は銀塩時代のカメラを知っているから、今のカメラにもモノとしての価値を求めてしまうが、プラスチッキーなボディ、トレットペーパの芯のようなレンズを見ると、もう諦めた方がよい様に思えてきた。

 

曲がり角にきたAPS-C

 銀塩時代のフォーマットを引きずるAPS-Cセンサ一眼は、曲がり角にきている。フォーサーズのセンサノイズが改善され、画質が十分になってきたからだ。

 皆がデカくて重いAPS-C一眼を我慢して使うのは、そちらにまだ画質の面でアドバンテージがあったからだろう。画質が大差ないのなら、フォーサーズで十分と考える人が増えるに違いない。

 

乱立するミラーレスのマウント

 近年ミラーレスの独自マウントが乱立している。どれも将来性に不安がある。フォーサーズを提唱したオリンパスは初期の苦しい時期をよく乗り越えたと思う。いまやレンズも増え、パナの協賛を得て、安心できるフォーマットになった。

 いまフォーサーズで候補になる機種は、オリンパスOM-D,E-PL5,パナソニックGH3,G5の4機種。これらはいずれも画質が十分なレベルに改善されたカメラだ。

 オリンパスは相変わらずデザインのリファインが足りない。E-PL5は今やコンデジにも付く電子水準器が無いし、どちらもストロボ別付け。パナは家電メーカらしく動画性能に優れ、機能的にネガの無い商品企画が魅力。ただし手振れ補正はレンズ側。ここでいつも引っかかってしまうのである。

 

APS-Cで小型化を追求したソニーNEX

 遅れて参入してきたソニーのミラーレスがこれ。NEXはAPS-Cセンサを使って小型化を追求したカメラだ。

 ソニーはフォーサーズには協賛せず独自の規格を打ち出した。ソニーは決して他人のフンドシを借りて商売しないメーカ。どちらかといえば、フンドシを作って与える方である。

 狭いところへ部品を詰め込んで小型化するのはソニーの得意技。NEXはいかにもソニーらしい商品である。しかし、フォーサーズより大きなセンサーを使ってフォーサーズより本体を小さく作ってしまった。そのためいろいろ無理が生じている。具体的には、次の問題が見られる。

 

・収差や周辺減光などの光学的な問題

 ボディ側の画像処理で大きな補正をかけて、目立たなくしているようだ。

・見た目のバランスが悪い

 ボディは小さく出来てもレンズが小さくならないから、レンズばかりが大きく目立ち、見た目のバランスが悪い。

 「世界最小、最軽量」にこだわるあまり、モノとしてバランスの悪いものになってしまった。もう少し寸法に余裕を見れば、ストロボや手ぶれ補正機構も内蔵できてスッキリ収まったのではないか。

・レンズの将来性が「?」

 レンズ交換式カメラの魅力はレンズにあり、カメラ好きユーザーのハートを掴むには、創作意欲をかき立てるレンズの存在が不可欠である。
 「明るさ」はその一要素だが、明るさを求めるとサイズがますます大きくなってしまう。ボディとのバランスを考えると、ラインナップは必然的に暗めのレンズが中心になってしまう。

 

 ソニーはこのまま、Eマウント路線を進んでいくのだろうか。規格の将来や合理性の点は明らかにフォーサーズの方が有利。後発の強み、ソニーならではの独自性が見当たらない。カメラをウオークマンなどと同じように考えているようにも見える。

 いずれにせよ、NEXは「世界最小、最軽量」にこだわりすぎて、商品企画を誤ったように見える。こういう無理な設計の商品は、いずれ廃れる気がする。

 

パナソニックとオリンパスのレンズ互換の問題

 パナソニックのカメラにオリンパスのレンズを付けると手振れ補正が利かない。逆に、オリンパスのカメラにパナソニックのレンズを付けるとレンズ内臓の手振れ補正機構が無駄になる。

 同じフォーマットを使いながら別々のモノづくりしており、相乗効果を生まない残念なマーケティングをしている。

 

裏面センサーで性能が向上したハイエンドコンデジ

 カメラを旅行のスナップ、記念用に割り切ってしまえば、小型軽量、防塵防滴のコンデジが魅力的に見えてくる。高価なレンズはそれ1本でコンデジが何台も買えてしまう。コンデジの画質が悪いといっても、良好な撮影条件の下では、一眼と変わらない。

 それに、近年裏面センサーが普及したおかげでハイエンドコンデジの性能がだいぶ向上した。

 ハイエンドコンデジとフォーサーズはノイズ性能には、露出2段くらいの差があるが、F2未満の明るいレンズならフォーサーズのズームキットに対し実質1段の差しかない(レンズが1段明るければ、ISOの感度を1段上げずに済むため、その分ノイズが減る)。

 センサーサイズを大きくすると、レンズが大きくなり、重くなり、高価になる。高価なレンズを見ていると、コンデジを買ってお金を別の楽しみに回したほうが良いように思えてくる。

 フォーサーズでもデカいと思う人にとって、ハイエンドコンデジは有力候補になりそうだ。

 

 

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