日本の景観と室内インテリアの問題

 トランスフォーマー ダークサイドムーンに、オフィスの調和を乱している赤いコップを回収させるシーンがある。コップのような小さなものでも、調和のとれた室内では十分な破壊力がある。

 

色を統一することで調和が生まれる

 家を建てるとき、床、壁、造作物にいろんな色を選べる。ここは基本的に白~ベージュ~茶系で統一するのがベストである。人は肌と同系色に囲まれることで安心と安らぎを得るとみられる(遺伝子の記憶[3])。

 家具やカーテン、カーペット、小物類もこれに準じた色にするのが基本となる。壁紙やカーテンには多くの種類があるが、実際に使えるのはごく一部である。

 赤、青、黄、水色、紫、ピンクなどの彩度の高い色はインテリアとマッチが難しい色なので、原則使わないのがよい。

 インテリアの色を統一しても、日用品や家電が調和を乱すことがある。色鮮やかな日用品の多くは店頭で目立つことを優先して計画されたもので、室内に置いたときの調和は考えてない。これらは別のケースに詰め替えたり、扉の中に隠蔽して使うことになる。家電はできるだけ無彩色のものを選ぶ。

 

インテリアをベージュとブラウンで統一したリビング

 我が家のリビング。カーテン、壁紙、床、サッシ枠などベージュとブラウンで統一。

 机の上のティッシュはインテリア破壊アイテムなので木目調の箱に収納。

 

 

和風洋風の建物が混在するワケのわからない住宅街

 新しい造成地ができると、皆思い思いに家を建てる。外壁の色は白、赤茶色、黒など様々。デザインも洋風、和風、ヨーロピアンなど混在。こうして無国籍ランダム色の景観が出来上がる。自宅前に駐車されるクルマもブルーやピンクを選んでしまって、もう無茶苦茶。

 皆が色や形をある程度合わせれば「景観の価値」が生まれるが、残念なことに、そういうことについて意識する人は少ない。

 景観を重視する地域では、景観に関する条例や規制がある[1]。高級住宅街では、低収入の人が貧素な家を建ててしまうのを防ぐため独自のルールを設けているところが多いようだ[2]

 皆が調和について少しでも意識するようになれば、日本の製品のデザインや景観は良くなるかもしれない。

 

お隣に合わせて設置した敷地境界のフェンス

 隣地境界に設置したフェンス。お隣とまったく同じものを指定。もし違うものにしたら、見た目に問題を生じただろう。

 

 

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<参考文献>
1.しゃれ街条例 日本建築学会論文集 第79巻 第695号 147-154
2.成城憲章