外食チェーンが衰退期を迎えている理由

 2013年、牛丼の値下げ合戦が再燃している。価格しか差別化するものが無くなったら終わりに近い。牛丼屋はあくまで「牛丼の味」で勝負すべきで、それを「適正価格」で提供するのが牛丼屋として正しいビジネスのはず。そういった基本を忘れコストや収益を追求すれば、安いこと以外、価値のない商品になってしまう。

 

ベーシックメニューは存在するか

 赤字を計上する外食チェーンには共通する特徴がある。「ベーシックメニュー」に魅力が無いことだ。

 ベーシックメニューは発展の基礎であり、ツリーの原点に位置する。ファーストフードでいえば単品の「ハンバーガー」、牛丼なら「牛丼並盛り」がこれに該当するだろう。ラーメン店の場合は単なる「ラーメン」が基礎にあって、そこからスープを変えたり、チャーシューを乗せたりするもの。

 問題は、他のメニューを全部廃止してベーシックメニュー1点だけで商売が成り立つかどうかにある。

 べーシックメニューは本来、お客様がメニューを開いたとき左上の一番目立つところに掲載され、それが一番売れていなければいけないもの。それが隅に追いやられ、単品ハンバーガのように探さないと見つけられないような扱いをしているとしたらそこが最大の課題だ。

 

原点に立ち返る

 過去に作った原点が現状にマッチしなくなったら一度そこに立ち返って見直す必要がある。それをやらずに収益を改善することはきわめて難しい。ダメなものをベースに発展を考えてもダメなものが出来るだけ。甘辛いタレを挟んだり卵やネギを入れてどうにかなるものではない。

 値下げ合戦を続けるうち、お客様の満足を目指すべきものがいつの間にか収益が第一になっている。客単価をあげたいとか、回転をあげたいとかいう話を聞くと、お客を何だと思っているのか疑問に思えてくる。収益の改善や客単価の向上は「あのお店美味しかった」「また行きたいね」といった、お客様を十分満足させたあとで考えてよいことだ。

 

メガポテトの魂胆

 外食チェーンでは販売をテコ入れするため時々新商品を展開するが、その中には眉をしかめるものがある。マックのメガポテトがその最たるもので、これは利益率の高いポテトを増量したメニューを作ってひと儲けしようという魂胆がミエミエだ。

 

毎日食べれば欠点が見えてくる

 新商品のアイデアは自分が自分で提供する商品しか食べれらい状況を考えれば自ずと見えてくる。

 朝から晩まで毎日、自分の店の商品だけを食べたとして、健康で長生きできるだろうか。毎日の食事に満足できるだろうか。そこに足らないものが新しい商品の候補に違いない。

 

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この記事はアゴラ 言論プラットフォームにも掲載されました。
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