コーヒーメーカーを長持ちさせる

 「ホットプレートが錆びてボロボロ」「お湯が出ない」「水漏れする・・」 コーヒーメーカーはどれも買っても数年で調子が悪くなり買い替えになることが多いようだ。今回はそんなコーヒーメーカーを長持ちさせるコツをご紹介する。

 

保温プレートを錆びにくくする

保温プレートが傷んでしまったコーヒーメーカー ハリオV60 写真はハリオV60の1年過ぎた様子。保温プレートが痛んできた。下地が錆びてフッ素コートが浮き上がり剥がれている。

 コーヒーメーカーは保温プレートがウイークポイントの一つ。ほとんどが鉄にフッ素コートする形で作られていて、ボロボロになることで買い替え需要を喚起させる設計。

 

ハリオV60を分解して保温プレートを取り出した様子 写真は底面のカバーを外して保温プレートを取り出したところ。ヒーターとはシリコングリスで接していたのでプレートは簡単に外れた。この構造は熱によるストレスがかからない。安い商品ではヒーターがプレートにろう付けされており、大抵この部分で壊れる。

 底面カバーのビスは5箇所で、2箇所はグレーの足(ゴムブッシュ)を抜くと見える。プレートと本体との間にはシリコンのOリングが付いていて内部に水が入った形跡はない。

 

錆びた保温プレートをケレン(錆び落とし)したところ プレートの表面をケレン(サビ取り)したところ。サビが酷かったので酸洗いした。

 

保温プレートに亜鉛メッキ塗料を塗ったところ 右は亜鉛メッキ塗装(ローバルがお勧め)1回目の様子。2回塗り重ねて乾燥したら元通りシリコングリス(放熱・高温用)を塗って組み立てる。

 

ボタンの隙間に詰まったゴミを清掃しているところ ついでに調子悪くなったボタンもメンテ。ボタンのパーツは手前からツメで嵌っているだけなので本体上カバーを外して内張りはがしを使い押し出す。

 

電源ボタンの隙間に不乾性パテを詰めて防水を強化している様子 上カバーのビスは湯口周辺4箇所、注水口両隣2箇所(メクラカバーに隠れている)。 V60はほとんどの部品がパーツ単位でバラバラにできるのでメンテしやすい。

 ボタンの不調は穴に油のようなものが詰まって固まっていただけだった。清掃してRational003を塗布。ついでに電源ボタンとLEDに不乾性パテ(ネオシールB-3)を巻いて防水強化。

 

メンテナンスが終わったハリオV60

 修理が終わったV60。本体もリボスのカルデッド(黒)で塗装。見違えるように綺麗になった。

 亜鉛メッキの塗膜はまる1日養生が必要。通電して塗装に膨れが出来る場合は養生が足りない。亜鉛メッキの塗膜は当初綺麗に見えるが、次第に酸化して汚く色ムラが目立つ時期がある。これを超えると全体が落ち着いたグレーになり、硬い堅牢な皮膜が完成する。

 


保温プレートをステンレスに換装 2017年3月

 

ハリオV60の保温プレートに焼き付いてしまった汚れ ローバルで亜鉛メッキしたプレートの様子。亜鉛めっきのおかげで錆にくくなったが、汚れが焼きついて落ちない。結局汚く見えることについて、改善できなかった。

 そこでステンレスプレートに交換することにした。

 

 

 最近では個人向けの注文を受ける機械加工業者が多くある。この程度のプレートはレーザーカットでサクッと作ってくれる。送料込みで1500円もかからない。

 プレートのサイズはφ118-1T だが、以前バラしたところ直径が小さく、パッキンがエッジからはみ出さないよう組立てるのが難しかった。そこで今回、SUS304 φ119-1Tで作ってみた。

 

保温プレートを外注したステンレス製プレートに交換している様子

 写真左はステンレスプレートに交換したところ。底面カバーを外すだけで交換できる。底面カバーのビスは5箇所で、2箇所はグレーの足(ゴムブッシュ)を抜くと見える。

 φ119は予想通り、ピッタリだった。鉄とSUSでは膨張係数が違うがプレートがはまる窪みはφ120以上あるので問題ない。

 それから、厚み1Tだと押さえがやや甘い。元々フッ素コートされていたのでこの厚みを考慮すると1.2Tがちょうど良いかもしれない。

 

 

保温プレートの温度を測っている様子  ヒーターとの当たり面に放熱用のシリコングリスが塗ってあるので塗りなおす必要がある。

   写真左はプレートを交換後、温度を測っている様子。プレート表面は135℃に達する。CPU用の放熱グリスは一般に120℃までなので、CPU用ではなく、高温用が適している。

 

 

ステンレス製のV60メタルドリッパーをセットした様子

 保温プレートをステンレスに変えておけば、この部分は機器の寿命を超えて長持ちする。

 ドリッパーも樹脂製で消耗部品の一つ。写真は以前紹介したステンレス製のV60メタルドリッパー。台座はシリコンなので、この部分も十分長持ちしそうだ。

 

 

 デロンギ(COX750J、ICMI011J、CM300J 、CMB5Tなど)では保温プレートが最初からステンレスになっている(メーカーで確認)。このような商品を選べば、保温プレートが傷むことがないだろう。

 


クエン酸、アルカリ洗浄 2018年6月

 「お湯が出ない」「水漏れする・・」などの原因は内部に溜まったカルシウムが原因の可能性が高い。これはクエン酸洗浄で改善することがある。詳しいやり方は説明書に記載されている。

 長いこと洗浄してない場合は、クエン酸洗浄で逆に調子悪くなる場合がある。これは洗浄することで大量の汚れカスが出たことが原因とみられる。

 クエン酸洗浄して改善しない場合は、ハイターや炭酸ナトリウムを使ったアルカリ洗浄を併用する。ハイターはカビの洗浄にも効果がある。

 酸洗い、アルカリ洗浄、酸洗い・・と繰り返すことで、かなりきれいになる。

 酸もアルカリも、アルミ部品を腐食するので、やりすぎると故障の原因になる。上記の繰り返し洗浄は、調子が悪くなった時の非常手段と考えたい。

 


 

ハリオV60にとうとうお迎えが・・2018年8月

 騙し騙し使ってきたV60にとうとうお迎えが来てしまった。故障モードは、抽出をスタートできなくなったこと。こうなるとどうしようもない。使えた期間はちょうど4年。いろいろ延命措置をとってきたが、このあたりが限界なのかもしれない。

 

保温プレートがステンレスになっているデロンギCM300J 次に購入したのはデロンギCM300J。デロンギの中では安価な部類だが、保温プレートがステンレスになっている。

 上蓋をあけると全高50cm。カップボードに置くと天井につかえてしまう。幅が小さくコンパクトに見えるが、奥行きと高さがあって置き場所を選ぶ。

 

 

汚れの付いたデロンギのペーパーレスフィルター ペーパーレスフィルター。一度使っただけでこのように汚れる。洗剤くらいでは落ちない。これがにおいを放ち、コーヒーの香りを損ねる大きな要因。ここはやはり、使い捨てのペーパーフィルターがいいだろう。

 

ジャグをひっくり返したときに残ってしまう水の様子 ネットで話題になっているガラスジャグの水切り問題。写真はひっくり返して底の方から見たところ。確かに少しのこるが、そうめくじら立てる問題ではない。

 

デロンギCM300Jの水量表示(目盛線)

 ネットに写真が少ない水量表示(目盛線)。この機種はいろいろシンプルにできていて、部品点数が少なく、消耗品が安く買える。

 抽出完了のブザーもつかないので、頃合いをみてコーヒーを取りに行く。

 

 

 抽出スタートするといちいち蒸らしなどせず、ダバダバお湯を注いであっという間に終わる。とってもスピーディ。このあたり、こだわる人には不満が残る点かもしれない。

 

 

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