ご飯と味噌汁の作り方

 結婚したばかりの妻に食事について聞かれたことがある。私は「ご飯と味噌汁がおいしければそれでいい」と答えた。この2つは私にとって大切なメニューだが「そんなの簡単」「ダシとみそと豆腐を入れて煮るだけ」「あなた楽でいいわね」そう言われたのを覚えている。

完成したご飯と味噌汁

 

ご飯、味噌汁とはこんなもの

 幼少のころから毎日、空気や水のように接してきたメニューなので、いま食べているものに疑問を持たない人も多いと思う。

 現状に納得いかない主婦は、炊飯器を買い換えたり、ダシやみそを試行錯誤しているかもしれない。何か参考になる資料があればよいが、ご飯と味噌汁はベーシックすぎてネット上にあまり情報がない。

 そこで今回は、このメニューについて創造の館流のレシピをご紹介したい。現状と比べて、何か参考になることがあればうれしい。

 

ご飯の作り方

 ほとんどの人が電気炊飯器を使っていると思う。とても良くできた家電で、水加減さえ間違わなければ誰が使っても「まあまあ」の結果が得られる。

 この優れた全自動家電にもうまく出来ないことがある。それは、炊き上がり後の蒸らし。

 炊飯では本来、水がなくなってきた時点で火を止めて蒸らす必要がある。ところが家電では水がなくなったかどうかをうまく検出できないので、加熱しすぎるなどして味が劣化してしまう。そこで、この最後の蒸らし工程だけ手動でやる。

 具体的には、炊き上がり予約タイマーにセットした時間の30分前から時々様子を見て、蓋から蒸気がほぼ出なくなった時点で炊飯の電気を切る。そして5~10分経った時点で蓋をあけてほぐす[1]。保温機能は使わない。この操作によって、ご飯は劇的に美味しくなる。

 

電気炊飯の「蒸らし」を手動でやる

 本来の炊飯では水が無くなったら火を止めて5分蒸らすことになっている。電気炊飯器では、ここが30分高温を保つ形になっている。この仕組みが、せっかくの味と香りを台無しにしている[1]

 そこで、炊きあがり予約時間の30分前に蒸気がほぼ出なくなったのをみて、「取消」しボタンを押して炊飯を強制終了する。その後、そのまま5分蒸らして完成とする。蒸らしが終わったら、必ず蓋をあけてほぐす(蒸気を逃がして温度を下げる)のを忘れないで欲しい。温度を下げるのは酸化を遅らせるため。

電気炊飯器の予約時間30分前に蓋をあけてみたところ 写真はタイガーJKO-G。3合炊き。予約時間の30分前にあけてみたところ。素晴らしい状態。このまま蒸らしを成功させれば、美味しいご飯が完成する。炊飯器のどんな小細工を持ってきても、ここまで美味しくならない。

 普段使っている炊飯器が美味しく炊けない・・そう思ったら炊飯器を買い替える前に最後の蒸らしを手動でやってみてほしい。

 

 

 

味噌汁の作り方

材料

 みそ、ダシ、ワカメ、ネギ、豆腐、あぶらげ

 豆腐とあぶらげは麩で代用してもよいし、省略もできる。ワカメとネギは味に重要な役目を果たしている。

 みそはスーパーの市販品でよい。以前自家製を試したことがあったが、市販品に比べ特別美味しいということはなかった。市販品の完成度はとても高い。

 

 ダシは味の基礎を作る重要な材料。化学調味料にはロクなものがない。味を求めてイチからダシを取ろうとすると、高価で面倒なことになる。ここは以前検討して解決策を得ている。それは、ほんだし煮干し粉を混ぜたもの[2]

 

味噌汁の材料

 豆腐は木綿豆腐を1.5cm角を目安に切る。1回ずつ使い切りのパックが使いやすい。味の濃い高級豆腐は2cm角でカットするとその味が生きる。あまり小さく切ると豆腐の味がしない。

 ワカメは普通のもので良いが、子供の食いが悪い場合はフードプロセッサーで粉砕するといい。

 

 

 乾燥ワカメはお椀に入れ、そのうえに切った豆腐を乗せておく。豆腐を使う頃には、豆腐から出た水分でワカメを戻すことができる。

豆腐の水分でワカメを戻している様子

 

作り方

1.水、ダシ、わかめを入れて加熱する。
 水の量は、お椀1杯150ccくらい。目盛り付きの鍋を使うと毎回計量しなくて済み便利。みそもみそ用のマドラーを使って計量すると楽。ダシは味噌汁1杯あたり小さじ1(1.5g)。冬季は水と一緒に豆腐を入れて一緒に加熱することで冷めにくい味噌汁ができる。

2.一煮立ちしたら火を止めて豆腐(夏季)を入れる。

4.数分後、味噌を溶かす。ネギを入れて完成。

 

すぐに味噌を溶かず、おたまの中で待機させている様子

 豆腐を入れると水温が下がる。次にみそを入れるが、すぐに溶かさないのがコツ。

 沸騰から豆腐を入れて1分経つと水温が70℃程度まで下がる(夏季、450cc、豆腐1パック)ので、ここでみそを溶かす。これはみそ本来の香りを台無しにしないためのポイント。

 待つ間、別のこと(ご飯をよそうなど)をやるとよい。

 

 

味噌を溶かすときの最適温度はいくつか

 いろいろ試して出した結論が60℃。これ以上高温になると風味が失われる。温度は低いほど良いが、あまり低いとぬるくてまずい。60℃は風味と温度を満足するギリギリの境界。

一度沸騰して豆腐を入れた後、10分程度放置すると60℃くらいまで冷める。そこで味噌を溶かすと、味噌本来の風味を体験できる。10分待てない人は、少なめに作って最後に水を足すと良い。

 

完成品

完成したご飯と味噌汁

 ご飯は蒸らしを手動にしたことで、お米の香り、銘柄の違いまではっきりわかる完璧な炊き上がり。

 味噌汁は、みそ独特の発酵臭が生きているほか、ワカメと魚のダシの相乗効果でとても美味しい。ネギの辛味は重要なアクセント。

 

 梅干は種ぬきしそ漬梅干(くらし良好)。子供のころよく食べた、自家製の味(本物)に近い数少ない商品の一つ。

 

注意点

味噌を入れて沸騰させると台無し

 味噌を入れた後は決して沸騰させないこと。これをやってしまうと冷える過程で豆腐やわかめに味噌の色が付着して汚くなる。また、豆腐の中心が熱くなって食べにくい。後から加熱する場合は、味噌を溶かす前段階の状態にしておく。

上手な温めなおし

 冷めてしまった味噌汁を温め直すことがよくある。沸騰しないよう注意して火にかける必要がある。電子レンジを使うのが便利。どんなに上手に温めても、味噌汁は一度冷めてしまうと品質が落ちる。

味噌をおいしく保つ方法(2018/4/14)

 味噌が一番おいしいのは開封直後。その後はアルコール分が徐々に抜けて香りが薄くなっていく。開封後は少々面倒でも密封する工夫をしておきたい。

味噌の表面に購入時に付いてきたペーパーを被せた様子 パック味噌の中に入っている半透明のペーパーは、捨てずに使い続ける。蓋にラップを挟んで蓋をする。

 これで最後まで味噌汁を美味しく飲める。

 

 

 

<参考購入先>
みそ 我が家では無為自然というものを使ってます。ここはお好みでOK
フードプロセッサー なんでも粉砕できるパワーが重要。消費電力の大きいものを選んでください

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