ハイポ中和は不完全だった!~自家製コントラコロラインの作り方

 カルキ抜き(塩素中和剤)ではコントラコロラインという商品が有名。この中身はチオ硫酸ナトリウム(通称ハイポ)。個体のハイポよりずっと使いやすいが濃度がわからない。そこで水道水の塩素中和に必要な濃度を調べてみた。

 

コントラの中身とハイポの価格

 チオ硫酸ナトリウムにヨウ素(ヨードチンキ)を混ぜると、褐色音色が消えることが知られている。コントラコロライン(以後コントラと称する)にヨウ素を入れたら、同じように色が消えた。このことから、コントラの主成分はチオ硫酸ナトリウム(通称ハイポ)である。

 チオ硫酸ナトリウム(通称ハイポ)は写真の現像に使われていた薬剤。昔から水の塩素中和用にも売られていて、今も安く入手できる(1キロ千円未満)。塩素の中和に使う量はごく微量だから、1キロ買うとおそらく一生使いきれない。

 

カルキぬき ハイポ 写真はハイポの例。30g 80円程度で小売りされている。

 商品説明によると60リットルで5~6粒とあるが、これだとハイポの濃度が13ppm前後になって後述する実際に必要な量の10倍に相当する。水道に含まれる塩素は地域や季節によって違うといっても、かなり安全目の量。

 

 

 

ハイポの欠点

 ハイポを使うとコントラがタダ同然に作れるが、コントラに比べると使いにくい。次の欠点がある。

・使う量が少なすぎて量の調節がしずらい(粒の大きさもマチマチなのでカウントしずらい)
・すぐに溶けてくれない
・湿気で溶けて粒同士がくっついてしまう(たくさん買ったものが全部ダメに・・)

 

保管中に湿気を吸って固まってしったハイポの例

 写真は保管中に湿気を吸って固まってしまったハイポ。

 1980代はこのように密封度の低いプラスチックの丸ケースに入って売られていた。開封後半年くらいで底の方まで全部固まってしまい、使えなくなることが多かった。

 

 初心者にはやはり量の調整がしやすいコントラが良いのではないだろうか。コントラを初めてみたときは「便利なものが出来た」と思った。

 

 コントラで問題に思えるのは価格だけ。元々タダ同然の中身にしては、値段が高すぎる。アクア用の塩素中和剤はハイポのほかいろんな添加物を入れて高く売られている商品が多い。

 

 

塩素中和に必要な量を調べる

 ハイポを水に溶かすだけでコントラと同じものが作れる。問題は、どのくらいの量を溶かすか。これは次のように計算できる。

必要なハイポの重量をx(g)とすると、

x = Q ・ α・ c

 ここで、Q:作る中和液(L) α:希釈倍率 c:塩素の中和に必要なハイポの重量(g/L)。

 Qは保存する容器の容量で決める。例えばコントラの容器(500ml)と同じ容器を使うなら、0.5。希釈倍率はコントラに合わせるとすると、5000 (10Lに対して2ml)。

 c は水道水の残留塩素濃度を1mg/Lとすると、必要なハイポの量は塩素の1.19倍[1]だから 1.19×10-3 g/L である。水道水に含まれる残留塩素濃度は地域によって異なるが、上限目標として1mg/Lがある[4]

 この条件で計算すると、x=0.5×5000×1.19×10-3 =2.98g つまり500mlの水に2.98gのハイポを溶かせよい。

 ところで2.98gはハイポ何粒に相当するのだろう。

 xをハイポ結晶の平均重量mで割れば、入れるべきハイポの個数Nが求まる。mは市販の商品(GX-30 最初の写真)に入っている結晶粒を精密に測定したところ、0.137g~0.185gの範囲でばらつきがあり、平均は0.138g。すると

 2.98 / 0.138=22粒(切り上げ)

となる。

DPD試薬を使って塩素濃度を調べた様子 このようにして作った中和液を用いて、実際に中和実験した結果が写真。左が水道水、右がこれを中和したものである。塩素の検出には、DPD試薬を使っており、塩素に反応するとピンク色に着色する。

 

 

副産物(硫酸+塩酸)の中和

 ハイポで塩素を中和すると塩酸と硫酸が生成されることが知られている。この中和に炭酸ナトリウムが有効。これによって完全無害化できる。

 炭酸ナトリウムの必要量は計算上ハイポの1.7倍である[5]。全部が中和に作用するとは限らず、余る心配もある。ハイポと等量にしておくのが無難と考えている。

 

自家製コントラコロラインの作り方

 現在の暫定レシピは次の通り。

 水500ml+ハイポ3g(22粒)+炭酸ナトリウム3g

 これを10Lに対し2mlの割合で使う。これはコントラと全く同じように使える。使う水は水道水でよい。

 ペットボトルのキャップがほぼ5mlなので、キャップ1杯で25L中和可能 。60cm水槽(50L)ではキャップ2杯で良いことになる。

 液が無色透明で計量しにくい場合、コントラと同じように色素(例えばメチレンブルーなど)で着色しておくと使いやすい。

 

自家製コントラの保管について

 自家製コントラは塩素を含まないため変質しやすい。透明なペットボトルに入れておくと藻類が繁殖することが多い。

 コントラと同じように、不透明な容器に入れてメチレンブルーで着色しておくか、10倍の濃い溶液を作って冷蔵庫に保管し、使うときに10倍に薄めて使うが簡単。

 

ハイポ中和の限界(2020/7/15)

 水道水に含まれる有毒物は、ハイポだけでは十分中和できないことがわかってきた。

 残留塩素の種類には遊離残留塩素と結合残留塩素(モノクロラミン、ジクロラミン、トリクロラミン)[3]があり、後者の一部がハイポで中和できていない可能性がある。

 これについては続きの記事を書いた。関連記事5を参照。

 

余ったハイポの保管方法

 余ったハイポを密封せずに放置しておくと湿気を吸ってダメになる。開封したら小分けして密封保存するか、冷蔵庫に入れておくことをお勧めする。0.1㎜以上の厚いポリ袋に入れて空気を抜き、シーラーでシールするのが簡単。

 ポリ袋は水分を僅かに透過する。数年保存したい場合は金属か、ガラスの瓶にいれて密栓するとよい[2]

 

 

<参考購入先>
ハイポ 沢山買った場合は小分け密封保存してください
DPD試薬DPD-TL-1 全残留塩素(遊離+結合)を測れる試薬です

<関連記事>
2.防湿庫でレンズを保管するとバルサム切れする?~防湿庫の選び方
5.水替えで魚が死ぬのはなぜか~実は不完全だったハイポのカルキ(塩素)抜き

<参考文献>
1.処理対象物1(kg)に対するチオ硫酸ソーダの必要理論量(kg)大東化学株式会社
3.遊離残留塩素と結合残留塩素
4.水道水の有害物質と水質基準
残留塩素測定試薬 DPD試薬 Kasahara

(2017/1/15 更新)
水道水1ppmの中和に必要なハイポの量を文献を参考に修正しました。