ヘッドホン分配アンプ ベリンガーHA400をアップグレードする

ヘッドホンを同時に複数使いたい、そんな要求を満たすヘッドホンアンプの一つにベリンガーHA400がある。作りがいい上に安いことから改造してる人を結構見かける。特性を測ったところ、可聴域の低音が減衰していることがわかった。この問題を改善してみる。

 

 ネットに公開されている回路図からフィルターのカットオフを計算してみると、入力に16Hz、出力には25Hz(16Ω負荷)のDCカットが入ってる。つまりこのアンプを通すと、20Hz付近に2段のハイパスが入る。実際測ってみるとその様子がうかがえる。

HA400改造前周波数特性

HA400 22Ω抵抗負荷の特性

  図は22Ωの抵抗負荷で駆動した結果。100Hzあたりから下がり始めて20Hzで6dB減衰している。

 その他特性は、出力インピーダンス46Ω(実測)、ギャングエラー全チャンネル0.5dB以下(ボリウム中間位置)と結構優秀。低音の減衰さえ改善すれば、本格的に使えるアイテムになる。

 

改善方法

 フィルターの容量を1桁アップさせる。具体的には入力カップリングコンデンサー(C7,C8)を0.1uF→1uF、出力カップリングコンデンサー(C1,C2,C3,C5)を100uF16V→1000uF16Vに改造する[1]

 コンデンサーの容量が一桁上がるので、部品のサイズが大きくなるが、ケースに入らないことはない。以下は交換した結果。

HA400改造後基盤表側

 C1,C2,C3,C5は1000uF(φ10)に換装。この状態でケースに収まる。C5は線を延長して接続。

HA400改造後基盤裏側

 C7,C8はチップコン。ここに1uFの無極性電解コン(φ5)をパラに接続する。ケースとの隙間がだいたい6mmあるので収まる。緑の絶縁を突き破ってパターンとショートしないよう注意。わずかに浮かすか、絶縁テープを挿しておくと安全。

 C6は1/2Vccのノイズフィルター。ここに6.8uFのタンタルコンデンサをパラに接続してノイズ除去効果を強化した。

 

改造結果

HA400改造後周波数特性

HA400改造後 22Ω抵抗負荷の特性

 全ch、下までフラットになった。とりあえずこれだけやっておけば十分。

 ネットの改造記事を見ると、電源の電解コンを替えたり、電源スイッチをつけたり、オペアンプを変えたりしてるが、あとはお好み。

 無負荷の消費電力は測ってみると0.5W以下と微々たるもの。付けっぱなしが気になる人は、スイッチ付きのACタップを使うか、パソコン連動タップを使うといいだろう。

 入力端子のインピーダンスは100kΩあるので、ケーブルはシールド線を使うのが無難。

 

光デジタルで接続して高音質化

光toアナログコンバーターD03K

 せっかくなので、光デジタル→DAコンバーター(FiiO D03K)を使ってPCからデジタルで音楽信号を送る。サウンドデバイスのアナログ出力から続ぐより高音質にできる。アマゾンに似たようなモノが多くあるが、良質なDACを搭載した数少ない機種の一つ(一度安い商品を買って失敗した)。

 本機の性能は、実測で20kHz +0.6dB、20Hz -1.7dB、左右レベル偏差0.1dB以下、ノイズレベル-110dB以下。分解能は-110dB止まりのようだがスペック的には十分。

 16bitで送り出すと小音量時に高調波ひずみが出る(耳には聞こえない)。気になる人は、24bitで送り出せば問題ない。

 

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<参考文献>
1.メモ帳:BEHRINGER MICROAMP HA400 – livedoor Blog(ブログ)