ZERO AUDIOは安くて音のいい商品を展開するブランドとして人気がある。イヤホンなのに結構まともな音を出す。今回は売れ筋の3商品、カルボ テノーレ(ZH-DX200-CT)、 カルボバッソ(ZH-DX210-CB) 、CARBOi(ZH-DX240-CI)を入手して徹底比較してみた。
ZERO AUDIOは京都に本社を置く日本の企業。2010年からZERO AUDIOというブランドでイヤホンを売りだしている。イヤホン作りのノウハウをどこで養ったのか、難しい課題をどうやってクリアしたのか、謎は多いが、作る商品はいろいろ細かい私などが見ても、かなりまとも。
外観
DX200先端のスクリーン。耳孔内共鳴を防ぐための抵抗材として働くところ。化学繊維でできていて高域が減衰しにくい。
DX200後ろにある調圧バランス穴。このあたりの設計は3種で共通している。
イヤピースは3種類付属するが、標準サイズだとちょっと大きい。私の耳には小さいサイズがちょうどよかった。
インピーダンス特性
ヘッドホンやイヤホンはインピーダンス特性からその中身を伺うことができる。これを測ってみたのが次の結果。
3機種とも2.5kHz付近にf0とみられるピークが1つあるだけで、ほぼ平ら。共鳴らしい構成は見当たらず、ドライバーから出た音を素直に耳に届けている模様。3つとも口径が違うのに、f0はほとんど変わらない。
外から観察してわかるのはここまで。
音の違い
カルボ テノーレ(ZH-DX200-CT)
低音から高音までよく伸びていて、フラットに調整したスピーカーに最も近いサウンド。いったいどうやってこの音を実現しているのか謎だが、下手なヘッドホンやスピーカーで聞くよりよっぽどいい。
装着感も良好。調圧バランスも不自然な感じがない。
カルボバッソ(ZH-DX210-CB)
重低音モデル。DX200に超低域専用の大口径のサブウーファーを追加して、そのレベルを少し強調したような鳴り方をする。深く沈み込む低音が感じられる。
強調されているのは30Hz以下の超低域とみられるため、多くのソースで重低音の実感がない(音楽ソースの多くは30Hz以下をあまり含まない)。そのため低音スカスカと勘違いされやすい。
低音として感じやすい音域は50Hz~100Hz。この音域がよく聞こえることを期待して買った人はガッカリするかもしれない。少しユーザーニーズとズレているようだが、極端にバランスを崩すことをやらないのが、ZERO AUDIOの音作りかもしれない。
高域も若干強調して聞こえる。音域のバランスはDX200がフラットである。
CARBOi(ZH-DX240-C)
中高域よりのバランス。綺麗&爽やかな中高音を聞かせる。低音はしっかり下まで出ているが、相対的に中高域のレベルが高い。フラットとは違うが、これはこれで、魅力ある音。
装着感は上の2つに比べるとやや劣る。耳から少し抜けやすいうえ、調圧バランスに時間がかかるため装着すると鼓膜が圧迫される。
まとめ
フラットなモニター的な音を求める方にはテノーレ、重低音が好みの人はカルボバッソ、綺麗な高域を求める人にはCARBOi 。どれも特徴と魅力がある商品に感じた。もっと高い商品もあるが、この金額でこれだけの音が出れば、もう十分ではないかと思う。
<参考購入先>
カルボ テノーレ(ZH-DX200-CT)
カルボバッソ(ZH-DX210-CB)
CARBOi(ZH-DX240-C)
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<参考文献>
ZERO AUDIO メーカーHP