常識ではありえない!究極のふわとろ親子丼を作る

親子丼の例 

何度作ってもうまくいかない・・親子丼のような卵料理は簡単に見えて難しい。現行メニューの課題を考え抜いて行きついた、誰でも簡単に「ふわとろ」親子丼を作る究極の方法をご紹介する。

 

ネットの親子丼レシピ

 ネットで親子丼のレシピを見ると、大抵は次のようなことが書かれている。

親子丼(1人前)

卵2、だし汁140ml、しょうゆ大さじ1、みりん大さじ1、他、砂糖、鶏肉、玉ねぎなど。

作り方

 まず具材を煮て、肉に火が通ったら溶き卵を入れて、煮て完成。

 

 このレシピで第一に問題なのは、割下(だし汁、しょうゆ、みりん)の量。これは明らかに多すぎ。それと卵が多すぎる。これだけ入れてしまうと、均一に火が通らない。

 これでは何度作っても、固まった卵に、ご飯が汁でベタベタの仕上がりになってしまうだろう。

 


 

従来法のレシピ

 一般家庭で作れる普通のレシピは次の通り。

材料(3~4人前)

A 具材(たまねぎ、鶏肉など)
B 割下 つゆのもと(2倍濃縮):水=3:1 溶液
C 卵4~5個 常温に戻しておく

 調味料の量は鍋に入れたときの水深で決める。A+Bで割下の水深が5mm程度になるよう、全体の量を調整する。卵はMサイズとする。

 鶏肉は事前に2cm前後のサイズに切って塩コショウで下味を付けておく。

 

作り方

1.少量の油を敷き、A,Bをフライパンに入れて中火で加熱を開始する。どのような器具を使うにせよ、割下水深5mmで調理する。

親子鍋で煮ている様子
2.卵をボウルに入れ、箸で切るように軽く混ぜる。混ぜすぎないこと。
3.割下が沸騰したら鶏肉をひっくり返して半分火を通す。
4.溶き卵を低い位置から静かに回し入れる。
 卵を入れたらゆすったり動かしてはならない
5.蓋をして余熱で卵に火を通す(5~6分)途中で蓋をあけないこと。
6.1人前ずつ平らなもので掬ってご飯の上に乗せる。

フライパンで作った親子丼

 出来た親子丼を掬う道具は、大きいヘラを2枚使うと容易。ご飯に乗せた後、三つ葉やカイワレなどの緑を加添えると香りと彩りが良くなる。

 

 

作り方のコツ

・割下の水深を深くし過ぎない。

・卵を入れすぎない。
 卵の層厚が増すと火の通りにムラができる。これは熱伝導が悪いせい。二度入れが必要になってしまい、レシピが複雑になる。

・卵は低温(余熱だけ)で時間をかけて火を通す。
 途中で蓋をあけると高温の蒸気が逃げてしまい、火の通りにムラができる。

 親子丼の卵をふわふわ半熟に仕上げることが出来ればできれば勝ったも同然。だが、それがそう簡単にいかないのが、この料理の難しいところ。

 

従来法の課題

 卵を半熟にすると鍋からお椀に移すときバラバラになってしまう。それに、黄身と白身で固まる温度が違う(黄身の方が10℃低い)ので、半熟に仕上げようとすると、黄身が固まって半熟にできない。

 黄身と白身の混合物を少し残しておいて、後から回し掛けると多少改善するが、白身が生っぽい状態で黄身が固まってしまうため本質的に改善しない。つまり従来法で綺麗な半熟に仕上げることは困難である。

 


 

改良レシピ~至高の品質へ!

 出来ないはずの、ふわとろに仕上がった卵の親子丼を出す店がある(例:豊田上郷SA下り あかつき食堂 名古屋コーチン親子丼)。これは、今までのやり方では出来ない品質。

 写真がその現物だが、半熟の黄身が色鮮やかなふわとろ。いったいどうやったらこうなるのか。

 

あかつき食堂の親子丼

 

作り方

卵は、水様性卵白を取り除いたものを用意する。水様性卵白はだし汁が濁る要因。茶こしを使って取り除く[3]

水溶卵白を分離している様子

出汁に、つゆのもと2倍濃縮40ccを原液のまま使う。

鶏肉に火が通ったら軽く混ぜた卵(1.5~2個分)を入れ、弱火で加熱。卵を入れた後は肉に火が通らない点に注意。

底が固まり出したら、親子鍋を傾けて固まっていないところを広げる。

まだ固まっていないタイミングで火を切り、余熱で半熟に仕上げる。

出来上がった親子丼

 

ポイントは次の点。

①水様性卵白を除いた卵を使う[3]

②出汁を少ない量で使う
 つゆのもと2倍濃縮でよい。

③蓋をしない。
 蓋をすると上から固まってしまうので、蓋をしないこと。

 

 卵の量、調理なべのサイズにより加熱時間などの調理条件が異なる。これは手持ちの道具を使って、何度もトライして最適解を見つけるしかない。

 その他、鶏肉を出汁に入れて加熱すると出汁が濁る。鶏肉を事前に熱湯に通してから入れると出汁が濁らず、より品質の良いものが出来る。

 

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親子鍋 1個で1人前しか作れませんが、少人数ならこれがベスト

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