「油でベタベタ」「かき揚げがバラバラ」「エビがまるくなる」揚げ物のコツなる情報はネットや動画にあるが、素人が真似てもうまくいかない。なぜ失敗するのか。本質は何か。これを解明し、だれでも簡単に失敗なく作れる揚げ物のコツを発見したので紹介する。
材料
・野菜(タマネギ、キノコなど)
2人前の分量の目安は、タマネギを中サイズの半分以下。想像よりずっと少ないことに注意。お好みでニンジン、ジャガイモ、キノコなどを加える。
・粉
天ぷら粉:水=1:1.5( 買った袋の説明を参照)
粉は市販の天ぷら粉を使う。天ぷら粉は薄力粉+片栗粉+重曹で作れるが、買った方が早い。薄力粉だけではうまくいかない。卵は入れんでいい。
・ネタ(えび)
殻付きの冷凍でも良いが、大きめの冷凍むきエビが安くて調理が楽。
仕込み
・野菜
火の通りが同じになるよう、厚みをそろえて切る。
・エビ
腹に切り込みを入れるが、何処でもいいというわけではない。すべての節に、太さに対し40%~50%の切り込みを入れる。節というのは「くびれ」のことで、指の関節に相当するところ。
写真の赤い筋がえびの節。ここを無視して別のところに刃を入れるても丸まってしまう。見ずらい場合は少し擦るとよい。
節に切り込みを入れたら、背中を上にして平な面に置き、身に沿って背中をしっかり押していく。写真は節の位置に切り込みを入れて背中を伸ばしたエビ。このあとお酒を振りかけておくと臭みが取れる。
・衣
天ぷら粉と水を所定の分量比で混ぜる。完全に混ぜ切らずに、すこしダマが残る程度にしておく。
プロの動画では、水を冷蔵庫で冷やす、粉をふるいにかける、といった作業を見るが、結果に大差ない。
作り方
1.上記の混合比で衣を作る。
2.油を180℃に加温する。
天ぷら用温度計(SATO 1720-00)の表示部。
衣を垂らして泡の出方で温度を見る、という方法は素人には無理。油の温度は、必ず温度計で管理する。
3.作った衣に野菜をブチ込む、ではなく、野菜をボウルに入れ、衣を追加しながら混ぜる。このとき、
①野菜に隙間ができること
②ボウルの底に余った衣溜まりができないこと
に注意する。衣の量は少ないとバラバラになり、多いと隙間が塞がって重い仕上がりになる。
4.野菜のかき揚げから作る。お玉に乗せてそっと滑らすように入れる。
5.温度に注意して火力を調整する。
160℃を下回らないよう温度管理する。ネタを入れすぎて温度が下がってしまった場合は、そのまま火を強めて揚げ続けず一度ネタを取り出して油の温度をあげてから再投入する。
途中温度が160℃を下回る場合はネタの入れすぎ。写真の油の量だと、かき揚げ1回1玉、エビは4本が限度。天ぷら用温度計は必須アイテム。温度管理なしでうまく揚げるのは難しい。ぜひ用意しておきたい。
出来上がったエビ天。下のように丸まってしまう場合は、腹の切り込みか、背中の「押し」が足りない。
かき揚げリングを使う
上記のレシピはシビアで品質が安定しない場合が多い。ミスるとバラバラになったり、塊になる。この問題をカバーしてくれるのがこれ。
写真はかき揚げリングφ85,φ100。φ85は厚みのあるかき揚げを作るのに適している。衣は水が多めでもよい。バラバラにならず、ちゃんとくっついたものが出来上がる。
かき揚げリングを使う場合の天ぷら鍋は深型を使う。写真の商品は、φ20×深さ9cmのモデルでちょうどよいサイズ。油の水深は写真くらいでよい。
ネタを入れたところ。泡が上端部まであがってきて、ひっくり返さなくても全体に火が通る。
このレシピのポイント
簡単そうに見えて難しい。粉と水の比率、衣と野菜の比率、揚げる温度の3つが揚げ物の品質を大きく左右する。
「冷水」「グルテン」「打ち粉」などは考えなくていい。素人がプロの真似をしてもうまくいかないし、こだわっても結果に大差ない。
とにかく、①粉と水の量の比率、②揚げる温度 の2点を押さえるだけで、揚げ物は80点とれる。
かき揚げリングを使うと品質が安定し、調理が劇的に楽になる。ぜひ検討してほしい。
調理の例
下の写真は海苔[2]とレタスを付けたもの。レタスの揚げ物が意外に美味しいのでぜひ試してほしい。
下の写真はエビ、ゴーヤ、なすを付けたもの。
<参考購入先>
天ぷら用温度計
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