私は子供の頃、自家製の梅干しを食べてきたので本物の味を知っている。現在の梅干しは不味くて食えない。もうちょっとマシな梅干しはないものか・・いろいろ買ってみたが、どれも違う。そこで自分で作ることにした。
梅干しのレシピ
ネットを検索すると沢山レシピが出てくるが、どれも似たり寄ったり。これらは結局、他人のコピーであり自分で試したものではない。自分の家でどうしていたのか、親に聞いたら結構テキトー。そこで、次のように決めた。
塩分濃度(梅の量に対して)
大粒:15% 、小粒:12%
(10%未満にする場合は、ホワイトリカーを3%加える)
材料
梅:黄色く変色して柔らかくなったものを使う 1ロット=2kg
もみしそ:1袋(500g=2kg分)
粒のサイズで塩を変えているのは乾燥が違うため。小粒は乾燥しやすいので少なめにしないと塩分が濃縮されて塩辛くなる。好みで減らしてもいいが、10%を切ると浸漬時にカビや雑菌が繁殖しやすい。ホワイトリカーなどを入れてアルコール濃度1%にすると菌の繁殖を抑えられる。
梅は変色して柔らかくなったものを使う。硬い青梅を使うと触感が悪い梅干しになる。市販の梅は1kg単位だが、1ロット=2kgで作る。これは、もみしそが1袋2kg単位で売られているため。
紫蘇から「もみしそ」を作る手もあるが、面倒なうえ紫蘇そのものが高い。ここは市販の「もみしそ」を使う。もみしその塩分濃度は20%くらいなので、最終的にできる梅干しの塩分濃度は2%程度高くなる。
時期
初夏(5月)にスーパーに梅が並ぶので、これを買うのが良いタイミング。通販で買うと高くつく。市販の梅干し(完成品)は2,700円/kg程度、乾燥前の梅に換算すると2,000円/kgくらいだから、材料費込みでこれを超えないよう注意したい。
青梅しかない場合は、やわらかくなるまでしばらく放置するとよい。梅雨明け頃になると売れ残りの変色した梅や、ワケアリ品が安く手に入ることがある。
作り方
①仕込み
容器に梅、塩、もみしそを適当に分散して入れ、重石を乗せる。これだけ。梅の汚れが気になる場合は、水で適当に洗えばよい。
表面の菌は塩分で死滅するので、消毒は必要ない。ヘタを取ると食べやすくなるが、どうせ種がでるのだから面倒なことはやらんでいい。
写真の容器は漬物器だが、大量に作る場合は漬物樽を使う。写真の梅はまだ硬く、漬けるのが早かった。
②浸漬
粒の大きさにもよるが、芯まで色が付くのに1ヵ月はかかる。梅から出るドリップ(梅酢)で全体が浸かったら重石は必要ない。奥のビンは梅酒。中の梅は梅干しに転用する(後述)。
③乾燥
ザルや段ボールに広げて、太陽光を当てて乾燥させる。2~3日と言われるが、表面がある程度乾いたらOK。
その後、室内に戻しても表面の塩分に水分が吸い寄せられてどんどん縮んでいく。これは、ナメクジに塩をかけると水分を吸って縮む原理と同じ。
完成した梅干し。左は小粒、右は大粒。小粒は中までカラカラ。
保存
自家製の梅干しは常温保存できる。年月とともに黒褐色に変わり、複雑な味になる。ただし、塩分濃度を上記レシピより下げた場合は、冷蔵庫が無難。
梅酢はペットボトルに入れて保存する。翌年これを使って「もみしそ」を作ってみるのもよいだろう。
なまぬるい玉露と自家製梅干し。最高の贅沢。表面がサラサラに乾いていて、中しっとり。手にもって食べることができる。
ポイント
梅干し作りに難しいことは何もない。決めないといけない重要なことは、塩分濃度だけである。
梅酢は料理に使ったり、夏は麦茶に少しだけ混ぜて飲んでもよい。実家では干した梅干しを梅酢に戻していたが、これはこれで、しっとりした味になる。良い使い道があったら公開したい。
番外編
梅酒用に漬けた青梅を取り出して、梅酢に漬けて梅干しを作る。普通とは違った、風味ある梅干しができる。写真左は普通の梅干し、右は梅酒に漬けた青梅で作った梅干し。非常に柔らかくなっている。
梅酒用に漬けた青梅は、そのまま放り込んでおくのではなく、2~3か月くらいで梅干しに転用して消費するのが良さそう。
レシピでは梅干しの防腐にホワイトリカーを使った※が、この代わりに梅酒やワイン、ウイスキーを加える※と、これまでにない風味の梅干しができる。機会があれば検証していきたい。
<参考購入先>
梅 黄色く変色して柔らかくなったものを使います
紫蘇
梅酢
梅干し 作るのが面倒な人はこれ
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