植木鉢で美味しいご飯が炊けるのか~アイリスRC-IL30

トラ印の炊飯器( JKO-G550-T)を買って7年になる。保温制御のズレがひどくなり、どうにも不便になったので新しい炊飯器を導入した。

アイリスIH炊飯器

 

 

次第に味が落ちる炊飯器の謎

炊飯器を買うと、最初は美味しいが徐々に味が落ちて食うに堪えなくなる[1]。そこで新しい炊飯器を買うと、美味しい!となる。

炊飯器の味が落ちる原因は以前書いた通り、炊きあがり後に余計な保温を続けるせい。最初はうまく制御できているが、次第にセンサーのタイミングがズレて味が落ちてく。

それまで使っていたトラ印 JKO-G550-Tは7年過ぎて30分もズレが生じた。例えば、7時にご飯が食べたかったら、7時30分に予約しなければならない。 

炊飯器をいくつか買ってきたが、皆同じ症状。買い替え需要を喚起するために意図的にそういうプログラムが組み込まれている可能性もある。

今回は昔から有名なトラ印や象印ではなく、新しい選択肢のアイリスを買ってみた。

 

アイリスRC-IL30の作り

操作部は上にある。正面からいろいろ操作できていた炊飯器から買い替えると違和感を感じる。今時の炊飯器はステンレスの板で覆われているが、これは艶消しの樹脂。見た目は植木鉢の様。ホワイト色はベージュに近いホワイトで、落ち着いた感じがある。スイッチはやや硬いが、慣れれば問題ない。

銘柄選択のほか、「お好み炊き」で炊きあがりの品質「かたさ」「食感」を設定できる。

炊きあがりのカスタマイズ

お好み炊きボタンを押してメニューを進めると、「カレー」「丼」「すし飯」などの選択が出来るが、こちらは予約炊飯ができない。これは結局、かたさと食感を組み合わせているだけのメニューなので、内容を公開してもらいたいところ。

その他、温度管理が難しい低温調理の機能が付いている。むね肉などを手軽に低温調理可能。

計量カップは、白米用と無洗米用がついている。白米は1カップ180cc、無洗米は171cc。5%無洗米の容量が小さい。

付属の軽量カップ

 

窯には親切にいろんな目盛りが書いてある。

アイリス炊飯器の目盛り

 

蓋の裏にセンサーがついてる。これはトラ印にはなかった装備。複数のセンサーを使って細かい炊き分けを可能にしている模様。

炊飯器蓋裏のセンサー

 

銘柄の炊き分けは何をしているのか

 アイリスの炊飯器は銘柄炊き分けが可能、これは「かたさ」と「食感」の2つのパラメーターを銘柄に応じて最適なものを選ぶ仕組みの様。下の図は、タイガーのHPから引用したもの。

銘柄炊き分けのマトリックス図

銘柄炊き分けの図 出典:タイガーHP

 最近お米はアマゾンで無洗米の一番安いものを買っている。いちいち銘柄を設定するのは面倒、とりあえず標準で炊いてみて、「お好み炊き」で「かたさ」と「食感」をカスタマイズすればいいだろう。

 

やっぱり余計な保温をしている、が・・

無洗米1.5合を炊いた結果。ツヤツヤでお米が立っている。カニ穴は見えないが、まあまあの仕上がりに見える。問題は、味。

炊きあがりの様子

上手に炊けたかどうかは、フタを開けた瞬間の匂いを嗅ぐとわかる。長時間保温した時の臭いがする場合は、余計な保温をやっていることになるが、この商品はあまり臭わない。その代わり、出来上がったご飯の温度が低い。

この炊飯器は、有難いことに炊飯中に上からセンサーを入れることが出来る。このおかげで、いままで見えなかったいろんなことが見える。

内部の温度を測っている様子

炊飯の様子を見ると、炊きあがり30分前に蒸気が出なくなり、その後自然冷却のような蒸らしを30分やっている。最終的には70度を下回るご飯が出来上がる。

 

結論~まあまあか

 この炊飯器は、炊きあがり後30分自然冷却することで、味を劣化させない「蒸らし」をやっている。そのため、他社と違った「熱くない」が「劣化がほぼ無い」ご飯ができ上がる。炊飯量が少ないとかなり温度が下がり、冬は冷えた食感になる。

 アツアツでないことに不満を感じるかもしれないが、高温で30分キープする虎印よりはるかにマシ。子供などが食べやすいメリットがある。

 正しい炊飯シーケンスは、蒸気がなくなってから火を止めて10分~15分[3]。少量炊飯では5分[2]。蒸らし時間30分は長すぎる。冷えたご飯がイヤな人は、20分〜15分前に打ち切って茶碗によそってしまえばよいだろう。

 

<参考購入先>
アイリス RC-IL30

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