24時間換気のエアフィルターをノーメンテナンスにする

 24時間換気の吸気レジスタにはフィルターが付いている。このフィルターはすぐに目詰まりするため、清掃や交換の頻度が高い。今回は、この問題を本質的に改善する方法をご紹介したい。

 

リボンで捕集する

 フィルターがすく目詰まりしてしまうのは、目の細かいフィルターを薄く使っている為。これをステンレスのたわしに置き換える。

 「たわしのような目を粗いフィルターでは、捕集に効果がないのでは?」と思うかもしれない。通常フィルターの目より細かい粒子は通り抜ける。

 ステンレスのたわしは、細かい粒子の捕集に効果があることを独自の実験で検証している。これはリボン状の線をカールさせた構造にあるようだ。

 フィルターとたわしでは、捕集の仕組みが違う。網目で構成されたフィルターは網目より大きな粒子を「通さない」ことで空気をきれいにする。しかしステンレスたわしは、リボンに粒子を引っかけることで空気を綺麗にする。

 とはいえ、引っかからなかった粒子は通り抜けてしまう。そこで、リボンの層を厚く使う。これによって、リボンに引っかかる確率を上げることできる。つまり厚く使うことで捕集確率を改善し、フィルターと同程度の捕集効果が得られるようにしたものだ。

 

メンテナンスフリーにできる

 リボン状のフィルターを厚く使うと、捕集した粒子が広く分散されるため、目詰まりしにくくなる(風上から風下にかけて、徐々に粒子が減る形で分散する)。薄く目の細かいフィルターはすぐ目詰まりしてしまうのに対し、捕集効率の悪いフィルターを厚く使ったこのシステムは、目詰まりするまでに長い時間がかかる。つまり、ほぼメンテナンスフリーにできる。

 それと、パイプの中にステンレスたわしを詰めると、風の強い日にパイプの中で発生する不快な気流音が軽減するという副次的な効果もある。

 


 

実例

 

施工(2009年) 

 直径100mmのパイプに対し、台所用の金属たわし(ステンレスのリボンをカールさせたもの)25g~50g使う。自然吸気の場所は25g、ファン付きのところは50g使う。

 重さを測りながら切断して、いろんな方向から引張って入れるパイプより少し大きめのサイズ膨らませる。

ステンレスたわしを引張って膨らませた様子 ステンレスたわしを引張って膨らませたもの。たわしを引っ張る際は、軍手をはめて作業する(指を切る危険があります)。

 リボン状の線をカールさせた構造のため微粒子の捕集にあなどれない効果がある。

 厚く使うことで、クルマの排気ガスに含まれるカーボン微粒子を捕集できることを検証済み。

 

 

パイプダクトの奥にステンレスたわしを詰めた例 パイプダクトの奥に詰めた例。パイプの奥ではなく吸気フィルターのところにそのまま配置する形もありうる。お使いの吸気レジスタにあわせて取付を検討してほしい。

 

自然吸気レジスタのフィルターをステンレスたわしに替えたところ 自然吸気のレジスタ。空気は抵抗の少ない所を通るので、外の光が見えているところは素通りする。できるだけ光漏れがないよう施工する。

 外周は隙間が出来やすいので、飛び出し防止を兼ねて入口の外周に隙間テープを貼っておくとよい。

 

 


 

メンテナンス(2018年5月5日)

 

ステンレスたわしをメンテナンスのため外している様子 自然吸気のレジスタに付けたステンレスたわしをメンテナンスのため外している様子。施工から9年になる。

 周辺の窓をあけておき、埃が飛散しないようビニールをかぶせて中のたわしを取り出す。

 

フィルターとして9年間使ったたわしの様子 9年間使ったたわしの様子。これは7カ所あるうちの最も換気量の多い場所のもので、かなりの埃を含んでいる。

 外側はだいぶ汚れているが、室内側は綺麗なまま。厚みが足りていることを確認できる。

 

ステンレスたわしに付いた埃をシャワーで水洗いした結果 シャワーで水洗いした結果、簡単に汚れが落ちてピカピカ。これをまた元に戻せばメンテナンス完了。

 

 

 

<参考購入先>
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