砂利の散乱防止~スライムと木工用ボンドで砂利を固定する

敷地に1センチ未満の小粒な砂利を敷いた様子 新築の外構工事で業者に砂利の選択を任せたら1センチ未満の小さい粒を敷き詰めた。歩くと散乱するうえ、足がめりこんで歩きにくい。

 これは施工ミスではないか。施工業者にこのことを指摘したら「適当な板を置いたらどうですか?」という。

 

砂利の上に枕木を設置した様子 駐車スペースの通路。歩くたびに石が散乱して駐車スペースに入り込み、掃除が大変。そこで「枕木」を設置した。

 枕木を歩く場所全体に敷くとお金がかかるので、砂利を固定する方法を考えてみた。

 

 

 

砂利の固定で求められること

 砂利を固定する場合、次のことを考えないといけない。

 

1.美観を損なわないこと(樹脂で固めるとツヤツヤになってしまうことが多い)
2.必要に応じて元の砂利に戻せること

 

 完全に固めて砂利に戻せないと、後で大量の廃棄物を生むことになる。

 

砂利を固定する方法

1.スーパー砂利っ固くん

 透明な樹脂接着剤。高価なため、広い面積の施工に向かない。ツヤが出てしまう欠点がある。代替品に錆止め用の水性エポキシ塗料(クリアー)がある。これも同じように使えるが、高価なことに変わりはない。

 

駐車スペースの溝に砂利を入水性エポキシ塗料を塗った様子

 駐車スペースの溝に水性エポキシ塗料を施工してみた。写真は10年後の様子。当初ツヤツヤだったが次第にエポキシが消失。代わりに細かいゴミが入り込み、結果的に散乱防止の目的が達成されている。

 

 

2.モルタル散布

 簡易的な固定方法として広い駐車場などで使われている。砂利の美観を損ねるうえ(砂利の表面にモルタルが付着して取れなくなる)、ヘタをすると大量の廃棄物ができてしまう。

 

3.脱色アスファルト

 自然な風合いが求められる道路舗装で使われている方法。最も高い耐久性が期待できる。これをDIYするのは無理。専門業者に依頼することになる。

 

4.土を混ぜ込む

砂利に園芸用の土を混ぜてみた様子 上記の駐車スペースの結果をヒントに、部分的に園芸用の土を混ぜ込んでみた。

 踏んでも足がめりこまず、散乱も少なくなったが、保水性が生まれて雑草が生えやすくなってしまった。

 

 

5.木工用ボンド

 広い面積を安価に固定する方法はないものか。いろんな樹脂を買ってきて試行したところ、木工用ボンド(酢酸ビニル樹脂をエマルジョンにしたもの)が使えることがわかった。施工方法は

1.施工したい面に水をまいて濡らす
2.木工用ボンド(3キロくらいのパック)を買ってきて水で1.5倍程度に希釈する。
3.ボンドを砂利の表面にまきながら、ゴム手袋をはめた手で砂利とボンドを混ぜる。
混ぜる深さは3~5cm位。

1の工程を省略すると石とボンドがなじまず、バラバラになってしまうので注意。

 

木工用ボンドを使った場合の特徴

1.雨が降ると接着が解けたり緩くなるが、このとき凹凸を修正でき、接着の取れた石も自己修復(再接着)する。
2.施工後数ヶ月は雨が降ると白くなるが、表面の接着剤が次第に溶けて無くなり自然石の風合いに戻る。
3.施工が簡単でコストが安い。3キロのボンドは数百円、キロあたり1m2くらいの施工が出来る。

 

 木工用ボンドは雨が降ると軟化し、多少の修正は効くし最終的に跡形も無く消える。家庭の砂利固定には、このほうが都合が良いかもしれない。

 <参考購入先>
木工用ボンド3kg

 

木工用ボンドの施工結果(2014/2/19追記)

 

 2009年に施工したボンドは1年で消失し、元の砂利の状態に戻ってしまった。施工してみてわかった課題は次の通り。

 

(1)雨が降ると表面が白っぽくなる。
 ボンドは乾燥しても白っぽいので、使い過ぎると仕上がりの見た目が悪くなる。

(2)表面を水平に整形するのが難しい。
 ボンドで固めると表面がフラットになるため傾斜が目立つ。左官仕事に近い技量が求められ素人施工では綺麗に収まらない。

 

 結論として、木工用ボンドを使った砂利の固定は屋外に向かず、水のかからない場所で有用なことがわかった。

 施工後、表面につやが出るが、水拭きすれば改善して自然石の風合いが得られる。破棄するときは外に放り出して雨ざらしにしておけば元の砂利に戻るので、再利用可能だ。

 


 

6.スライム(2014/2/19追記)

 

 雨に塗れる場所でも砂利を固定できる手段はないか。そう考え、スライムを使う方法を考案した。

 施工は極めて簡単で、砂利に洗濯糊(PVA)を混合した後、ホウ砂の飽和水溶液をジョウロで撒いてシャカシャカなじませるだけだ。材料費は木工用ボンドと同じくらいで1m2あたり150円前後(市販の洗濯糊1本分)。

 下の写真は実験的に少量を固めてみたもの。

実験的にスライムで砂利を固定したところ

 洗濯糊は水溶性なので雨で消失するが、スライム(ゲル化)にすると溶けにくくなる。同時に粘着性が生まれて砂利同士を緩く結合した状態を作ることができるのでこれを固定に利用する。

 スライムというとネットリしそうなイメージがあるがほぼ1日で乾燥硬化する。雨が降るとまたゲルに戻って取れた石が接着する自己修復作用がある。

 

 

 洗濯糊を主原料としたスライムは環境にも優しく生分解して自然消滅する。必要なくなったら木工用ボンド同様ほったらかしで元の砂利に戻る。

 

スライムの代替品

 寒天と澱粉の混合物でもできるが、コストが高くついてしまう。但しこちらの方が雨に対して持ちが良いと考えられる。

 

スライムの施工結果(2014/4/1追記)

 敷地の一部に施工して様子をみたところ、2回の雨で完全に消失した。

 やはり雨のかかる場所はダメのようだ。施工後の見た目や歩行感は木工用ボンドより自然で、一見固めてあるようには見えない。雨のかからない場所であれば、木工用ボンドよりお勧めできる。

 


 

まとめ~砂利固定の結論

 

表1 砂利固定の方法と性質

方法 市販品 見た目 屋外耐久性 元に戻せるか コスト 備考
樹脂で固める スーパー砂利っ固くん
錆止め用の水性エポキシ塗料
×(ツヤ) 5年くらい × ×  
モルタル散布 半年くらい ×  
脱色アスファルト ずっともつ × DIY不可
土を混ぜ込む ずっともつ 雑草が生えやすくなる
木工用ボンド 数回の雨で消失 屋内に好適
スライム(寒天) ◎(見た目にわからない) 数回の雨で消失 ◎(△) 屋内で最適

 

 元に戻せる屋外の砂利の固定方法は、結局のところ「土を混ぜ込む」くらいしか見つからなかった。それがイヤな場合は、枕木か、コンクリート平板を敷くしかなさそうだ。

 

コンクリートの平板を砂利の上に設置した様子 コンクリート平板には木目や天然石を貼ったものがある。写真はこれらを歩くところに置いた例。

 最初目立ったが、年月が経つうち色が褪せてきて自然な感じになった。

 

粒サイズ2cm前後の砂利の例 砂利の散乱が問題になるそもそもの原因は、細かい砂利を敷いたこと。最初から粒度を間違えなければ、何も苦労はなかった。

 2cm以上のものを使えば問題ないはず。これから砂利を選ぶ人は、サイズの選択ミスをしないよう注意してほしい。

 

 

<参考購入先>
液体洗濯糊 広い面積の施工は20本パックがお勧め
ホウ砂 あまり水に溶けないので沢山は要りません
砂利 サイズ2cm以上のものを選ぶべきです

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