写真はヤマハ(トクラス)のシステムバス。標準で浴室音響システム「サウンドシャワー」が付く。浴室暖房乾燥機換気装置はMAX BS-141H。これがクセモノだった。
浴室暖房乾燥機のメリット
浴室暖房乾燥機にはいろんな機能が付いているが、7年間使って一番便利に感じたのは乾燥機能。物干し竿2本設置したのも正解だった。家族4人の場合、1本では明らかに足りない。
MAXの乾燥器は効率があまり良くなくて、乾燥にはいつも5時間以上かかっていた。
暖房機能は、冬に子供の髪を切るときなど、洗い場に長時間裸でいるときに使った。システムバスは元々保温性が高く、常時換気しているのでそれほど冷えない。入る前に浴室をあらかじめ暖房しておく、なんて使い方は無かった。
他の機能(涼風、強制換気など)は後述する騒音が気になることもあって、使わなかった。
浴室暖房乾燥機の課題
浴室暖房乾燥機の主な課題に「騒音」がある。その音源は「モーター」または「ファン」。メーカーは騒音のスペックを仕様に載せているが、浴室は吸音効果が少ないため実際の音はカタログスペックの10dB増しになる。MAXの商品は元々ファンの音が大きく、せっかくのサウンドシャワーが設置当初より意味のない設備になっていた[1]。
5年目から騒音が目立ち始める
MAX BS-141Hは施工5年過ぎた頃から、高周波の音が目立つようになってきた。良く言われるベアリングのキシリ音とかではなく、共鳴音のようにも聞こえる(下の再生ボタンを押すと試聴できます)。ファンを取り外して掃除してみたが良くならない。下からファンを覗くと軸ブレしていているのが見える。軸ブレは新品のときからなので、品質そのものが良くないのかもしれない。
ネットで検索するとMAXの浴室暖房乾燥機で騒音のトラブルが目立つ。5年過ぎたあたりで問題が起こり、我慢できない音に発展するようだ。我が家のBS-141Hもちょうど5年目から音が気になりはじめ、7年目に我慢できなくなった。
MAXが出してきた修理費は概算で3万円。もう少し足せば型落ちの新品(BS-141H-2など)が通販で買えてしまうし、モーターやファンなどの部品だけ取り寄せて自分で替えれば数千円で済む。DIYで修理代を安く上げようと考えても、安全上の理由からモーターなどの部品や互換情報を出してもらえない。
リプレースを検討する
浴室暖房乾燥機はMAX以外にTOTOやパナソニックの商品がある。TOTOは買ったことないが、三乾王の評判が良いようだ。設計使用期間が10年(商品図に設計使用期間10年と記載されている)なので、少なくとも10年は問題なさそうだ。
パナソニックはアフターサービスが評価できる。パイプファンなどは音が気になるというと、かなり後でも交換してもらえる。些細なことでも、毎日お客様に与えるストレスが今後の購買行動に影響することを良く知っている。良いアフターのおかげで、我が家のパイプファンは全部パナソニックになった。
TOTOの三乾王は天井開口部の寸法がMAXと同じ(標準)なので、リプレースが容易。パナソニックの取付寸法は独自なので注意が要る。我が家は近々、TOTOにリプレースを予定している。
2016/4/18 MAX-BS-141Hを分解してみた
TOTOの三乾王にリプレースが決定したのでMAXを外して分解し、異音の原因を調査してみた。
最初にファンを取り外す。表側のカバーを外し、次にヒーターと内側のカバーを外すとファンが取れる。写真は天井につけたまま作業しているが、ヒーターを外すとダンパーの部品が脱落するので本体をおろして作業したほうが楽。
裏側に見えるネジをすべて外し、カバーを取り外す。排気パイプの固定ねじ1本(表から)を外すのを忘れずに。カバーは排気穴周辺でパッキンで密着している。ゆっくり力を入れて傾け、端から剥がれるようにすると取れる。
次に、プリント版を取り外して、モーターを固定しているネジを外す。モーターは奥の方がパッキンで密着しているので、ここもゆっくり力を入れて傾けると外れる。
モーターの型番はSFN-100-9-4C-1。日本電産製。モーターだけ取り出してシャフトを回すと問題の音が聞こえるので、モーターに異常があるとみて間違いない。これを交換できれば解決だが、特注ロット生産品なので、おそらくメーカーが保守用に持っている分以外はない。となると、次はベアリングに注目する。
モーターの裏には金属のカバーがあり、嵌っているだけなので細いマイナスドライバーなどでコジアケる。さらにファン側のEリングを外してローターを取り出す。
ベアリングは前後ともミネベア 608DSD28だった。
ベアリングのシールドカバーを外したところ。グリースの油分はとうの昔に流失したようで、残った石鹸分が固化している。ベアリングは単品で入手できるが、シャフトに圧入されているうえ、ベアリングの反対側に設置されたEリングが邪魔して抜き取りが難しい。
片側のシールドカバーだけ外して注油しても中途半端なメンテしかできない。ベアリングを交換したいが、それには反対側のEリングをなんとかして外し、ベアリングプーラーを使って抜くしかなさそう。
どうするにせよ、本体を下ろさないと作業が難しいうえ、ベアリングを拝めるまでの分解が大変。ダメモトでやるならいいが、作業に自信の無い人は素直に他社製品にリプレースしたほうが良いだろう。
5芯リモコンコードに使われているコネクタの参考写真。最初の2枚がリモコン側(ケーブル先端プラグ)表裏、後ろの2枚が本体側の表裏。
2016/4/18 TOTO三冠王を導入
MAXと替えたTOTO 三乾王(TYB3011GA)。開口寸法が同じなので問題なく付く。リモコンコードは互換がなく専用なので、別途配線しなければならない。
機器直下の騒音(約30cm、24時間換気運転中)。赤が今まで使ってきたMAX BS-141H。TOTOは聴感上気になる音はなく静か。やっと不快な騒音から解放された。200Hz付近に見えるピークはおそらく浴室の定在波。
ヤマハのサウンドシャワーから音を出すと、換気の音はかき消されてほとんど聴こえない。これでやっと、サウンドの設備が意味あるものになった。
ちなみに、TOTOの24時間換気の風量は1~4まで4段階の設定ができる。デフォルトは2で、MAX BS-141Hに対し15%ダウンする。
写真はフロントパネル裏側。これを外すとファンの掃除が出来る。
音が静かなのは、ファンがフロントパネルに隠れる構造によるところが大きい。現状でも十分静かだが、フロントパネルの裏側に鉛シートを貼ることで静音強化ができそう。
教訓~MAXは避ける
浴室暖房乾燥機はMAX以外にTOTOやパナソニックの商品がある。どちらも取付費込で10万円くらいかかる※が、MAXより音が静かで性能も良いようだ。MAXは7万円前後で付けられるが、3万円の修理代を払うと10万円になる。10年使って同じ10万円なら、最初からTOTOかパナを付けた方が良かった。この教訓から、
今後MAXの商品は避ける。MAXが調子悪くなったら修理せず他社製品にリプレースする。
これが私の行動指針に追加された。MAXを買うのは文具に留めておくのがよさそうだ。
※:機器単体の実売価格は定価の半額。自分で付ければ8万円、取付をお願いして10万くらいが相場。
TOTO三冠王のトラブル(2019/1/28)
風が出なくなったので見てもらったら、油のようなものがダンパーにこびりついていて動かなくなっていた。
TOTOサービスによると、ヘアスプレーや、精油(アロマ、ツバキ)などを含む洗剤を使うとこのトラブルが起こるらしい。これらはミスト(霧)の形で換気扇に吸い込まれ、ファンで振り切られて周囲の壁に衝突し、そこで液化する。
設計の問題のような気もするが、対策は油を含む洗剤を使わないこと、お風呂に入るとき24時間換気を切ることをアドバイスされた(三冠王には一時停止のボタンが付いていて、タイマーで0.5時間または1時間停止できる)。
問題の油が水に溶ける(界面活性剤を含む)ので、風呂場で使っていた洗剤が原因の可能性が高い。チェックしてみると、該当しそうな洗剤(熊野油脂のボディーソープ)があった。今回は対策として、これをロゼット 無添加アロエ ボディソープに変えた。どちらも透明で、風呂場が汚れにくい。
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TOTOの浴室暖房乾燥機 天井開口部の寸法がMAXと同じ(標準)なので容易にリプレースできます
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