ステンレスのポストは錆びる~ポストの選び方と屋外金物の錆対策

 「ステンレスのポストを買ったのにすぐ錆びてしまった」そんな経験はないだろうか。我が家のポストはスチール塗装品だが9年持った。錆びずに長持ちするポストの見分け方と、錆びの補修事例をご紹介する。

 

デザイン・構造

 ポストはエクステリアの中で目立たない存在であって欲しいはず。外観はシンプルで目立たないものがよい。デザインポストには奇妙な形のものがある。どこをいじったら開くのか、郵便屋さんを悩ませるものは避けたい。

 ポストはいずれ交換が必要になるもの。外壁や門柱などに埋め込み、もしくは門柱一体でデザインされた「埋め込みポスト」は交換が難しくリプレースの出費もかさむので最初から計画しない方が無難。

 

色について

 色は外壁に合わせるか、シルバーやグレーなど、彩度の低い色がよい。ポストというと赤を連想するが彩度の高い色はデザイン的に使い方の難しい色。黒やダークブラウンなど明度の低い色は砂埃が目立ち汚く見える。

ユニソンのアスカーノのカラーバリエーション

アスカーノ TypeA 出典:メーカーカタログ

 写真は我が家に設置したユニソンのアスカーノTypeA(現在廃番)。厚みのある鉄板が使われていて重量は6.4kgもある。削ってみるとスチールに下塗り+焼付塗装で、塗膜は結構厚みがある。

 6色あるが、選べるのはシルバー、ブラウン、アイボリーのいずれか。私はシルバー(実際はゴールドっぽい)を選んだ。

 

 

使い勝手

アスカーノの手前ポケットに回覧板を入れた様子

 ポストインされる物品で最も大きなものに角2封筒と回覧板がある。これらが無理なく入り、取り出しやすいことが求められる。サイズは事前に十分なチェックが必要。

 アスカーノの場合、回覧板を投函されると出しずらい(折り曲げられないので入口から出すしかない)。手前にポケットがあるので回覧板はここにに入れてもらっている。(写真は後述する塗装補修後のものなので上の写真と色が違う)

玄関を少しあけ、ポストの扉を開いた様子

 毎日アクセスするポストは使い勝手も重要なポイント。設置場所は玄関の近くで雨が直接当たらない軒下がベストな位置になる。

 玄関先にポストを設置する場合はポストと玄関扉を同時に開いたとき、干渉がないよう注意する。

 アスカーノの扉は左開きなので右開きの玄関扉の近くに設置すると写真のように玄関をちょっと開いてポストを覗くことができる。これが実に便利。

 他、投函されたとき「バコン」と結構大きな音がするので家の中にいても投函されたことがわかる。蓋の上の平面部が受け取りサインをする台に使えることも便利だった。

 

材質・表面仕上について

 玄関ポストに使われる素材はいろいろ。屋外雨ざらしで10年以上錆びずにもつものはほとんどない。
 重量は4kg以上を目安にしたい。重い商品ほど厚い鉄板が使われていて丈夫で長持ちする。塗装がダメになっても錆びた部分を削って補修できる。2万円(2kg)未満の安価なポストは使い捨て消耗品と考えたい。

 

スチール塗装

 最もよく見られる仕上げ。住宅用屋外金物は大抵次のどちらか。

a.スチール+紛体(静電電着)
b.スチール+下塗(さび止め)+ 吹付or焼付

 錆びは塗膜の薄い部分(エッジ)や塗膜が劣化した部分(キズや亀裂など)を起点に始まり、一度錆びると塗膜の内側から潜り込むように進行し塗装が膨れたり剥離する。

 静電電着塗装はエッジにしっかり付くほか無溶剤のため密封度の高い皮膜を作る特徴があり、塗膜が健全である限り水分が侵入することはない。

 塗料にはいろんなグレードがあるが、ポストは安価なアクリル系塗料を最小限の厚みで塗ってあるものがほとんど。まめにタッチアップして錆を防いでも塗膜が劣化するため結局長持ちしない。

 

ステンレス

 ステンレスにもいろいろあり、ステンレス=錆びない という考えは正しくない。ステンレスの錆びに対する強さは次の順になる[1][2]

SUS316(18-12) > SUS304(18-8,18-10) > SUS430(18-0) 

通常18-8とかの数字が大きいものほど錆びにくく高価。ステンレス金物の多くはコストを優先してSUS430(フェライト系)かSUS304が使われることが多い。台所の水周りや食器類はSUS304が多い。SUS430は錆びてしまうステンレスだ。

 ステンレスポストを選ぶときはSUS304または”18-8″と明記されたものを選ぶことがポイントになる。「ステンレス」と書いてあるだけで材質不明なものや、クリア塗装されているものはSUS430の可能性がある。

柄の部分が錆びたステンレス製のタオルハンガー SUS430は磁石につく性質があるのでモノがある場合は磁石を使って確認できる。

 部材全部が同じステンレスとは限らない。左の写真はステンレス製タオルハンガー。錆が見える板の部分は磁石がつくのでおそらくSUS430。パイプ部分には錆びがなく磁石もつかないのでSUS304らしい。

 

 

高耐食性溶融めっき鋼板

 商品名ZAM[3]またはスーパーダイマ[4]。組成は少し違うがどっちも似たようなもの。マグネシウムを添加して耐食性を高めた点で共通する。ガルバリウム鋼板より耐食性に優れるという。ポストの材料にも使われている。

 

アルミニウム

 アルマイト処理されたアルミニウムが候補。カーポートやベランダの手すり、サッシなどに使われている。雨ざらしの屋外で最も長期間美観を維持できる素材だが、ポストに使われた例は少ないようだ。アルマイト処理されていない生のアルミは白錆を生じる。

 

樹脂

 PP、PE、ABSが多い。屋外の耐久性はポリバケツと同じ。部分的でもこれらの材料が使われた商品を選ばないこと。PC(ポリカーボネート)は4年半くらい持つ[5]

 

防犯について

 ポストインされる郵便物は他人にとってどうでもよいもの。重要な郵便物は通常手渡し。集合ポストは間違って空けられてしまうかもしれないが、戸別住宅ではそれも無くポストの防犯を気にする必要はあまりない。

 アスカーノにはシリンダー錠が付いているが、面倒なので使ったことは一度もない。鍵にはダイヤル式やプッシュ式もあるが、雨ざらしでは錆付いてしまうだろう。鍵が必要な人は鍵だけ自分で交換可能なものを選ぶといい(NASTAは鍵だけ保守部品として入手できる)。

 

ポストをDIYで補修する

 アスカーノは優れたデザインのポストだが廃番になっていて同じものが手に入らない。結構厚みのある鉄板が使われており問題は表面的な錆だけ。そこで補修してみることにした。

アスカーノの錆を落として塗装下地を作っている様子1 アスカーノの錆を落として塗装下地を作っている様子2

 アスカーノはバラバラに分解できるので塗り分けが楽。塗装の仕上がりは下地で決まり丁寧にやればやっただけ綺麗に仕上がる。錆びた部分をグラインダーで削り、サーフェイサーで下地を平らに整える。サーフェイサーにはタミヤの模型用を使用。最後に400番のペーパーで磨いて平滑な面を作る。
 

ジンクスプレーを使って塗装が完了したアスカーノ  アスカーノの本体は黒だが、砂埃が目立っていつも汚く見えたのでメタリックシルバーに変更。扉の内パネルだけオリジナル(黒)のままにした。

 塗料はニッぺのジンクスプレー(シルバー)を選択し錆止めをかねた1コート仕上とした。顔料が含まれていて亜鉛メッキと一般塗装の中間のような仕上がりでローバルの高濃度亜鉛メッキ塗料より塗装後の色の変化が少ない。

 

 左は塗り終わった完成品。グレーの落ち着いた雰囲気。亜鉛めっき塗料なので錆びとは無縁、今後の塗装補修も簡単にできる。

 

<参考購入先>
ユニソンのポスト アスカーノの製造元。類似商品にラディ、クーゼがある
ナスタのポスト 集合住宅でよく使われてます
ニッぺの亜鉛めっき塗料 装飾性が高く屋外金物に適しています
タミヤ サーフェイサー 模型用のサーフェイサー。きめ細かく堅牢な皮膜をつくります

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<参考文献>
1.ステンレスの種類 ステンレス協会
2.ステンレス鋼の系統図
3.ZAM総合カタログ
4.スーパーダイマ