17年使ってきた我が家の電気温水器の調子が悪くなってきた[1]。モデルは三菱SRT-37C2 (200V 370L 高圧エコオート)、2008年に21万円で導入、これまで3回修理し8万円出費したから、年間1.7万円で償却してきた計算だ。
給湯設備には電気温水器と、エコキュートがある。はたして、どっちがオトクなのか。これに関するネットの情報はアテにならないものがほとんど。そこで今回は、自分の過去の経験をもとに詳しく比較する。
給湯設備が壊れるとどうなる?
給湯設備が壊れると、お湯が出なくなる。それで一番困るのが、お風呂に入れなくなること。季節によってはシャワーも難しい。冷蔵庫やエアコンが壊れても何とかなるが、これはいきなり困ったことになる。
昔は銭湯というものが身近にあった。現在これに代替する施設は、スーパー銭湯、温水プール、漫画喫茶のシャワー。料金を考えると、毎日というわけにはいかない。最悪コンロでお湯を沸かして浴槽で水とミックス。給湯設備は代替が難しいものの一つである。
給湯設備の機能
電気温水器にはグレードがあり、追い炊きの有無が選択の分かれ目になる。今まで使ってきたモデルは、高圧エコオート。湯張りだけオート。
追い炊きは必要か
「追い炊き」は昔のガス給湯器の経験から不衛生なイメージがある。しばらくすると黒い破片やゴミが混じるようになる。これは浴槽の汚いお湯を循環させるせい。定期的に洗浄が必要になり完全に綺麗にできない。この経験から、最初に追い炊きが付かないモデルを選んだ。お湯が冷えたら「高温さし湯」で問題なかった。
なお、配管の汚れはちょっとした工夫で改善できる。興味のある方は最後まで読んでほしい。
容量は370Lでよい
容量は300L,370L,460Lの選択になる。
我が家は370Lを選び、4人家族で湯張り120L+シャワー10Lくらいで運用していた。まれに浴槽の栓を忘れても240L+10Lだから湯切れすることはない。
300Lは少ないが、460Lは明らかに多い。370Lは、ほとんどの家庭でベストな選択だろう。
パワフルvs高圧
いままで高圧を使ってきたが、素早やく湯張りできシャワーの圧も十分だった。パワフルではポンプが追加され故障のリスクが増す。1Fに浴槽があるなら、パワフルは必要ない。
その他
お天気予報との連動は、ソーラー発電の連携が無いと意味なし。ほかにもいろんな機能があるが、すべてオマケと考えてよい。
電気温水器vsエコキュート
設備費
ざっくり電気温水器20万円、エコキュート40万円が目安。差額20万円。より高いモデルも同等機能で比べれば差額は20万円で同じくらいになる。
近年は電気温水器からエコキュートへの買い替えで補助金がつく。対象機種は追い焚きの付く上位機種に限定されることがある。申請はユーザーではなく、事業者。見積もりを取るなどして、値段をよく比較してほしい。
電気代
電気温水器の電気代は、年間おおよそ2.8万円※、エコキュートではこれが1/3になるという。すると、20万円の差額をペイするのに約11年かかる計算。毎日140L使うなら10年。これは、一般に言われているエコキュートの寿命(10年)と同じ。設備の寿命が同じ10年なら、どっちを買っても同じ。2万円/年で償却する設備とみなせる。
※毎日130Lの水を深夜電力(16.11円/kWh)で25K(15℃→40℃)温度上昇させると仮定。
ところが、電気温水器は故障が多かった[1]。エコキュートが電気温水器より長持ちすれば、エコキュートの勝ちである。
長く使う高額な設備は故障しないことが重要であり、そのリスクを下げるために、機能の少ないシンプルなモデルを選ぶことがポイント。償却費を抑えるためには安いほどよい。つまり、お金を一番に気にする人の最善の行動は、
シンプルなエコキュートを、できるだけ安く買って、長く持たせる
ことに尽きる。
いつ買い換えるべきか
いま電気温水器を使っている人は、10年過ぎたらヒーターが壊れる前に買い替えを検討したい。10年でエコキュートに買い換えても償却は同じ2万円/年だから損にはならない。
ヒーターは高価な部品なので、壊れると出費が大きい。私は電気温水器を修理しながら17年粘って1.7万円/年。修理代が高くついたため、粘ってもあまり変わらなかった。
延長保証は必要ない
この手の設備には10年の延長保証が付くことが多い。電気温水器の故障実績は10年間に2回。いずれもヒーターやそのパッキンなど高温になる部分であり※、そこがウイークポイントらしい。
※ヒーターが2本共壊れた実績からすると寿命は10年前後らしい。
電気温水器は保証終了間際に高価なヒーターが壊れる。ヒーターは2本あり、2本とも運よく10年超える前に壊れるとは限らない。
そもそも保証は保証会社が損にならないよう設定される。10年保証するということは、裏を返すと10年内は故障しずらい、ということであり、結果的に無駄になる可能性が高いことを知っておきたい。
追い炊き付きのパイプを綺麗に保つ方法
風呂水循環をするフルオート(追い焚き機能付き)は風呂水ポンプと相性が悪い。残り湯を放置すると雑菌が繁殖してお湯が濁り、循環パイプの内側に雑菌の膜ができる。
写真は普通に残り湯を使ってきた風呂水ポンプの様子。これと同じ汚れが配管につく、と考えてよい。
これを防止する最も簡単な方法は、塩素の追加。
例えば、ハイターをペットボトルのキャップ1杯、浴槽に入れるだけで、時間が経ってもお湯は透明のままになる。これは、追い炊きの循環パイプを綺麗に保つための最も効果のある手段。
写真は残り湯にハイターを入れて9時間後の浴槽の様子。水は透明で風呂水ポンプも綺麗。この水は、「洗い」だけでなく「すすぎ」にも利用できる。なお、ハイターの代わりに過酸化水素(過炭酸ナトリウム)を使うと風呂水ポンプのホースが溶けるので注意[1]。
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