洗濯機を長持ちさせるコツ~9年目のオーバーホール

 洗濯機は5年を過ぎるといろんな部分が劣化して調子悪くなる。最近はいろいろ機能が増えて故障も多くなった。洗濯機はシンプルな縦型を買って適切にメンテすれば10年使える。今回はそんな洗濯機を長持ちさせるためのコツをご紹介する。

 

我が家の洗濯機

 我が家の洗濯機はパナソニックのNA-FS801。今年でちょうど9年になる。

 NA-FS801は8kg縦型で、槽の大きさは入り口最狭部φ31cm、深さ36cm(パルセータ外周部~ステンレス部上端)。毛布は洗えるが、布団の脱水には小さかった。

 もっと大きいものが欲しい。市場には10kgタイプがあるが、同じ10kgでもメーカーにより槽の大きさが違う。メジャーで計るとパナソニックが最も小さく、東芝と日立が同じくらいだった。

 そろそろリプレースを考える時期なので市場調査した。洗濯機の選び方は以前ご紹介した通り、「乾燥機能無し」「縦形」「大容量」になる[1]。洗濯機は大は小を兼ねるので出来る限り槽が大きなものを選びたい。

 今回はリプレースせずオーバーホールして使い続けることにした。

 

メンテナンスのコツ

 洗濯機の点検とメンテのコツを以下にご紹介する。

洗濯槽

風呂水ホースの給水口を分解してフィルターの汚れを点検しているところ 定期的に洗濯槽を酸素系漂白剤で洗浄している人はいるだろうか。

 風呂水を給水して使っている場合、毎日浴槽に塩素系漂白剤(ハイター)を20ml~40ml入れておくと、浴槽からノズル、ホース、洗濯槽までのすべてを綺麗に保つことが出来る。

 我が家では2013年からこれを実践。2016年の年末に酸素系漂白剤を使って洗濯槽のクリーニングをしたところ、綺麗で汚れはほとんど取れなかった。写真は給水口を点検したところ。水垢もカビも付いていない。

 

 

風呂水給水ホース

破れてしまった風呂水給水ホース 曲げてみて破れてしまう場合は寿命。柔らかい部分(熱可塑性エクストラマー)が、普段水に浸かっている部分から少しずつ痛んでいく。

 一部でも穴が開くとそこから空気を吸いこみ、風呂水の給水ができないトラブルが起こる。

 劣化した部分を切りつめながら使い、短くなったら交換する。ここは安いので消耗品と割り切る。

 

 浴槽に酸素系漂白剤を入れて吸水すると過酸化水素がホースの劣化を加速させる。ここは上記したように塩素系の漂白剤を使うのが正しい。

 

 

パルセーター

洗濯槽の底にあるパルセーター 6年過ぎるとパルセーターのスプラインが磨耗して空回りしはじめる。気付かずに使っている人もいるかもしれない。こうなると修理しかないが、サービスマンを呼ぶと1万円以上かかる。

 中央のネジが緩むと急速に磨耗が進行するので、時々大型のドライバー(+3番)でしっかり締める。横着してサイズの合わないドライバーを使うとねじ山をナメて交換不能になるので注意。

 

 

パルセーターのスプライン(メス側) パルセーター駆動軸側のスプライン 

 パルセーターのスプライン結合部。磨耗するのは常にパルセーター側のスプライン(写真1枚目)。柔らかい金属が使われている模様。修理はネジを緩めてパルセータを取り替えるだけなので、パルセーターの部品を取り寄せれば自分で交換できる。

 

ダンパー

縦形洗濯機は大抵、槽を4本のダンパーで吊る構造。7年もたつとオイルが固化して動きが悪くなる。ダンパーの動きが悪いと振動が増大して脱水に時間がかかったり、洗濯機が暴れたりする。

洗濯機ダンパーの上側支持部 洗濯機ダンパーの下側支持部

 洗濯機の裏を開けると写真のようなダンパーが見える。見てわかるように溝から差し込んであるだけなので、槽を持ち上げれば上が外せて次いで下も外せる。対角2箇所ずつ外してメンテする(全部外すと槽が落下するので注意)。

 上と下、両方を半球状のピボットで受ける構造で、下のピボットとシャフト摺動部のグリスが黄色く固化しているのが見える。

 

ナショナル洗濯機の操作パネルを外している様子 フロントのダンパーは上カバーを外さないと交換できない。それには操作パネルを外す必要がある。

 この機種はキャップの下にあるねじ1本(写真で錆びている部分)を外した後、右にスライドすることで簡単に外れる。

 

 

ダンパーのピストンにグリスを塗っている様子 汚れが詰まったダンパーの上側ピボット

 劣化したグリスを灯油でふき取った後、プラスチックやゴムに使えるオイルでグリスアップする。

 ここはいつものようにRational003を使用。ピボットと本体の間には写真右のようなフェルトが挟まるが、これが脱落している場合がある。今回のメンテでは2箇所で脱落が見つかった。

 

錆びてしまった上側ピボットの受け部 上側ピボットの受け部をケレンして亜鉛メッキ塗料を塗ったところ

 ピボットの受けは洗剤や水が入って錆びていることがある。ワイヤーブラシ(電動工具使用)でケレン後、亜鉛メッキ塗料(ローバル)を塗布する。受けにRational003を塗布し、脱落したフェルトも直して元通りに組み立てる。

 乾燥機用の排水チューブがダンパーのシャフトに巻いてグリスを塗ってある部分があるのでここも元通りにする。

 組み立て後、洗濯層を上から押したり揺らしたりしてダンパーがギシギシ言わずスムースに動くことを確認する。一度このようにメンテしておけばここは次の買い替えまでいじらなくて済む。

 

洗濯機置台の勧め

洗濯機の置台に洗濯機を載せた様子 重量物である洗濯機周辺の掃除やメンテを容易にするために洗濯機置台の使用をお勧めしたい。

 写真のような台を使うと簡単に動かせるようになる。この場合、写真奥に見えるような真下排水ユニットとセットで使う。

 

 

<参考購入先>
10キロタイプの洗濯機 洗濯機は10キロの縦型がお勧めです
風呂水給水ホース 互換品が出回っておりすぐに取り寄せ出来ます
ローバル 錆びのメンテに便利な亜鉛メッキ塗料
洗濯機置台 キャスターがナイロンかシリコン製のものを選んでください。天然ゴムは床を変色させることがあります
真下排水 洗濯パンを真下排水に替えるための部材です

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