超高画質テレビの意外な欠点

proHG

プロフィールHGのカタログ(1985年)

 私は以前、プロフィールHG(ソニーKX-21HD1)というテレビを所有していた。この機種はチューナが付いてなくて、外部入力された信号を単純に写すだけのものだった。

 当時、S端子はまだなく、映像入力はコンポジットが主流だった。映像処理は純粋なアナログで、Y/C分離もアナログ式のクシ型フィルタだった。

 このテレビから学んだことが3つある。それは、

 

1.一般に入手できる最もハイクオリティなソースは、生放送の地上波であること
2.Y/C分離、NR、プログレッシブの技術は、「見え方」を良くするだけで、忠実度や質感の向上には寄与しないこと

3つ目は、最後にご紹介する。

 

映像の質の違いをはっきり区別できた

 このモニタが映し出す絵はソースに忠実で、CMが変わるたびに映像のクオリティが変わるのがわかった。放送が生放送か、録画した物であるかも、明確に区別できた。

 当時、レーザーディスクが最もクオリティの高いソースとされていたが、このモニターで映した結果は、生放送で送られてくるアナログ地上波が最もクオリティが高かった。

 

走査線がボールペンで引いた線のようだった

 このモニタには、一般的なテレビでは見られない次の特徴があった。

・Y/C分離がアナログのクシ形なのでドット妨害が出るが、そのドットが、クッキリとした点に見えた。
・走査線が見えるが、まるで定規を使って細いボールペンで線を引いたように、1本1本が細く、ハッキリと見えた。

 走査線と走査線の間の黒い隙間も同様にハッキリと見えため、かなり目立っていた※1。これらはいずれも、走査線のフォーカスが異様にシャープなために起こる現象だ。

※1 走査線の隙間を埋めるデジタルスキャンコンバータ(DSC-10)というオプションが別売りされていたが、それがまたテレビと同じくらい高価な物であった。

 

デジタル処理でクオリティは改善しない

 最近のテレビでは、デジタル処理による高精度なY/C分離や、プログレッシブといった機能が付いているが、このテレビにはそういった物は付いていない。

 そのため、ドット妨害や走査線が目立つが、このテレビが映し出す絵の質感は高く、人の肌がまるで本物のようだった。

 この結果から、高精度なY/C分離や、プログレッシブといったものは、見え方を良くするだけで、忠実度や質感の向上には寄与しないことを知った。

 

プロフィールPROは普通のテレビだった

 このモニタの後継にプロフィールPROが登場したが、映像のクオリティはプロフィールHGよりいくぶん劣るものだった。どちらかといえば一般的なテレビの映りに近い。

 

中身は回路がギッシリ詰まっていた

 プロフィールHGの放熱隙間から内部を覗いたことがある。ブラウン管を中心に上下左右の四方にプリント基板がギッチリ詰まっていた。チューナも内蔵していないのに、どうしてこんなに回路が必要なのかと、疑問に思えたほど。

 電源や映像回路、ブラウン管といった基本的な部分が、しっかりと作られていることが伺える。これは放送用モニターをそのまま市販化したのかもしれない。

 

21インチで20万円

 このモニタは当時特異な存在で、チューナも付いていない21インチのこのテレビが20万円近くしたのを覚えている。

 アナログテレビ末期の相場は、1インチ=2~3千円。20インチを超えるテレビが4万円切っていることを考えると、価格差は5倍。

 私が買ったモニタが高価だった、というより20インチのテレビがどうやったら4万円を切る価格で作れるのか、不思議でならない。

 

最後に~学んだことの3つ目について

 保留になっていた3つ目のポイントをご紹介する。

 

3.高性能テレビのソースに忠実な特性は、鑑賞に際してマイナスになること

 

 世の中、画質の良いソースばかりではない。生放送された地上波は美しいが、それ以外のソース、例えば録画の再放送や、レンタルビデオの映像ではソースのアラがもろに見えてしまう。コンテンツを楽しむ以前に、アラが気になってしまうことが多かった。

 結局プロフィールHGの能力がよく発揮できるのは、映像のモニタリングを目的に使った場合。

 鑑賞を目的に使う場合は、ソースのアラが目立たないテレビが適している。アラが目立たず高画質。そんなテレビが理想ではないだろうか。

 

<参考購入先>
高画質テレビ テレビの画質が値段に比例するのは、今も変わらない事実です

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