合成洗剤から石けんへ

 世間では合成洗剤の害が叫ばれている。石けんを使うきっかけは、皮膚炎や湿疹が治らない・・そんなことが多いようだ。私の場合は、カーシャンプーでクルマの塗装が痛んだことがきっかけだった。
 しかし、今まで使っていた合成洗剤を石けんに換えると、いろいろな、別の問題が新たに起こる。

 

合成洗剤は本当に害なのか

 石けんも合成洗剤も、相手に吸着したり、界面を活性化させる働きは同じ。しかし、石けんの洗浄力は弱く希釈すれば容易に活性を失う。これが石けんが皮膚や環境に優しいといわれる理由だ。合成界面活性剤は希釈しても活性を失わないため、皮膚や塗装面に残留して問題を起こしやすい。

 そんな合成洗剤も適材適所で使えば有益だ。いろいろ言われている害のほとんどは、皮膚などに対し長期間使い続けることで起こる。皮膚疾患は他の要因(食べ物とか)も関係するため、洗剤が原因とは限らない。
 洗剤が怪しいと思う場合は、使っている洗剤を一度石けんに変えてみるといい。もし合成洗剤が原因だったら、3日程度で改善が現れる。変わらなかったら、原因が別にある可能性が高い。

 

石けんの洗浄力は合成洗剤に対しどのくら弱いのか

 下の表は、手に塗ったサラダ油が完全に落ちる洗剤の濃度を調べたもの。

各種洗剤の洗浄力テスト(水温21℃)

濃度(水/洗剤) 液体石けん
(台所用,DCM JPN)
液体石けん
(arau)
粉石けん
(スノール)
粉石けん
(そよ風、洗濯用)
液体合成洗剤
(ピュア)
粉末合成洗剤
(ホワイト)
液体複合石けん
(洗濯用)
20ml/cc
40ml/cc
80ml/cc
160ml/cc × ×
320ml/cc × × × × ×
640ml/cc × × × × × ×

 

 やはり、石けんの洗浄力は合成洗剤よりだいぶ落ちる。同じ洗浄力を得るための石けんの量は、合成洗剤の約1.5倍~2倍になるようだ。

 液体石けんの洗浄力がかなり低いのは、含まれる石けん成分が少ない(約70%が水分で、これ以上濃度を濃くできない)ため。そのため液体石けんを衣類の洗濯に使おうとすると量がかなり増える。
 液体の複合石けん(ミヨシ)は、これに合成界面活性剤を追加することで洗浄力をアップさせ、粉と同じ感覚で使えるよう工夫したものらしい。

 

洗濯用の石けん選び

 洗濯用の石けんはスノール(シャボン玉)とそよ風(ミヨシ石けん)が候補にあがる。無添加の液体石けんは洗浄力が弱く、投入量が多くなってコスト的に合わない。これは、デリケートな衣類のソフト仕上げ用と割り切るべき。

 スノールは99%という高純度石けんで高品質を誇る。臭いも刺激臭がなく、甘く優しい香りだ。しかし、その高純度故、水に溶けにくく、洗浄力も水質に左右されやすいという欠点を持つ。
 スノールの溶かし方は、袋に記載されているが、現代の全自動洗濯機の作業手順を無視しており、実用的ではない。また仮にその通りにやったとしても、実際はうまく溶けない

※:粉石けんは少量の水に入れて均一に粒子を分散させてからレンジで加熱すると綺麗に溶ける。最初からお湯で溶かそうとすると粒同士がくっついてゼリー状のダマになって溶けない。溶かした石けん水は一昼夜でゲル状に固まってしまう。残念なことに、作り置きは出来ない。

 

 そよ風(ミヨシ石けん)は洗濯用洗剤として重要な添加物が配合されており、溶けやすさもまずまずである。

sekken1 高純度、高品質を誇るスノールと、洗濯用洗剤の実性能を重視したそよ風。スノールの値段はそよ風の約2倍。

 スノールは粒子が細かすぎて袋を開けると飛散するのが難点。

 

 

複合液体石けんは、ミヨシ石けんの「複合せっけん」がお勧め。石けん成分以外の界面活性剤(脂肪酸アルカノールアミド)を含むが、これが「液体石けんは薄く洗浄力が弱い」という問題を補い、炭酸塩が配合されているため粉石けんと同程度の量で運用することが可能。詰め替えパックがお買い得。ただ、仕上がりの香りはちょっとキツめ。

 

sekken2 水への溶けやすさの比較(水温21℃、濃度はどちらも16ml/g)。左がスノール、右がそよ風。スノールはいくら攪拌しても粒子が浮遊するだけでなかなか溶けない。そよ風はよく溶けているが、水温が15℃を下回るとやはり溶けなくなってしまう。

 



 洗濯用洗剤は、まず第一に良く溶けて、第二に洗浄力が水質に左右されないことが重要だ。スノールはこのいずれの条件も満たしていない。どんなに高品質でも、高価だったり使いにくいと、結局使い続けることが出来ない。

 そよ風も水温が15℃を下回るとなかなか溶けない。問題なく溶けるのは17℃からであり、前処理なしでそのまま使えるのは夏場だけ。水に溶けても粉石けんはダマになりやすい。スプーンですくってポンではダメ。洗濯機の洗剤ポケットも使えない。
 冬はお風呂の残り湯を使わないと溶けない。残り湯を利用できないなら、複合液体石けんを使った方が良さそうだ。

 一方、粉の合成洗剤は、5℃の冷水でも良く溶けるうえ、洗浄力も温度にあまり左右されない。石けんに比べると圧倒的に使いやすい。洗濯石けんが合成洗剤に置き換わった理由が納得いく。

 

  石けんを洗濯に使うと洗濯槽の裏側に石けんカスが蓄積してカビの原因になりやすい。時折洗濯槽の洗浄をするとそれがハガレて洗濯物に付くようになる。こうなってくると、なんのために石けんを使うのかわからない。結局、洗濯に粉石けんはかなり使いにくいというのが結論だ。

 

台所用の石けん選び

 台所用の石けんは油汚れに対する洗浄力が重要。経済性からスノールなどの粉石けんが適当で、直接振りかけて使う形になる。この場合、スノールなど溶けにくい洗剤も使える。石けんはアルカリ性。肌荒れを気にする人は洗浄力の穏やかな液体石けんがいい。
 食器洗い乾燥機には使わないのが無難。我が家で使った結果、泡だらけ、石けんカスだらけになってしまった。センサー誤動作の原因にもなりやすい。

 

シャンプー、ボディ、洗顔用の石けん選び

 粉石けんは洗浄力が強すぎて皮脂を取りすぎてしまう。液体石けんが使いやすい。
 液体石けんの原液は、合成洗剤のシャンプー感覚で使うと量が多すぎる。量に注意して使うか、あらかじめ3倍くらいに希釈したものをボトルに入れて利用するとよい。

 石けんで髪を洗った後のリンスは必須になる。リンスの目的は酸による「中和」。やらないとゴワゴワになってしまう。
 浴室で石けんを使い出すと浴室が石けんカスだらけになって掃除が大変になる。

 ちなみに、ファンケルの洗顔パウダーは無添加石けんに保湿剤をプラスしたもの。これは上述した洗濯用のスノールで代用できる。肌に対し粉石けんは洗浄力が強すぎるので、量に注意する。使う量は1cc以下、ほんのわずかで十分だ。

 

<参考購入先>
液体せっけんそよ風 1200ml 洗濯用石けんはこれ。純石けんは汚れ落ちに問題があり使えない。
台所用せっけん 液体タイプ 300ml 1本目が空になったら下の大容量商品で補充していく。
無添加衣類のせっけん 5000ml お買い得な大容量タンク。補充用に。
せっけん専用リンス 中身は単なるクエン酸水なので1本目が空になったらクエン酸水を補充していく。濃度は味見であわせられる。
スノール紙袋 1kg

<参考になる記事>
石けん百科 石けんの性質から理論まで幅広い情報が充実している
YH化粧品 シャンプーの害と往復ビンタ商法についての解説がある。