ハイエンドオーディオとは何か

長引く不況で絶滅したと思っていたハイエンドオーディオが息を吹き返してきた。元々ハイエンドは見た目がメインの商品で、音はいまひとつのものが多かったが、オーディオ製品のデジタル化が進んだおかげでローエンドからハイエンドまで音の差がなくなり、価格の差は単に「見た目」の差にすぎない状況になってきた。


 ハイエンドは元々音に詳しくないお金持ちをターゲットにした商品である。貴金属や宝石、高級木材が贅沢に使われ、ゴージャスなインテリアの中に置いても違和感のない外観が与えられている。これらの商品は「音も一応出せるインテリア」であって、音や性能を期待できるような商品でないことに注意しなければならない。
 ケーブルやコンセントなど信号や電源周りのハイエンドアクセサリに至っては、素人が思い込みだけで作ったガラクタがほとんどであり、サイキョーを連呼する某サイトの主人が言うようにボロい。ケーブルにしろコンセントにしろ、ホームセンターで数百円で売られているJIS規格品の方が性能的に優ている場合が多い。
 ハイエンドと呼ばれるカテゴリには、このようにお金持ちの向けインテリアと、おかしな値付けをしたガラクタとがごちゃ混ぜになった形で市場を形成している。

 少しお金を持っている弁護士や医者、一部のマニアはこのあたりを勘違いして散財してしまうのは昔から変わらない。このような勘違いをアテにした商売を続ける輸入販売業者も問題に思える。

 一般消費者が手を出してよい上限、性能や信頼性を伴った実質ハイエンドと呼べるメーカは私が知る限りアキュフェーズくらいである。身の丈に合った堅実な商売をしていてバブル以降の長期不況も乗り越え健在である。実質生涯修理対応に相当するサービスが同社の商品に普遍的価値を与えている。このようなお客様を大切にする姿勢は高く評価できる。生涯修理対応が商品価値を高めることは、時計の場合とまったくおなじだ。

 ハイエンドが本当に価値ある商品であるならば、その価値をスペック(測定データ)で示すべきだろう。そして少なくとも値段相応のサポート体制を整備すべきだ。百万円近くする商品がわずかな年数で修理不能になってしまうのでは、あまりにも高い買い物である。そういったことが何も配慮されていない商品はやはり見た目だけの贅沢消耗品で、一般消費者は決して手を出してはいけない。ましてや音に期待して購入するなど、とんでもないことである。

 

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ハイエンドオーディオとは何か」への9件のフィードバック

  1.  「ハイエンドオーディオ」で思い出しましたが、昨年下旬に復活宣言したテクニクスのハイエンド系システムもいよいよ発売(15年2月予定)ですね。ざっくり計算で下は一式60万、上は400万というところでしょうか。

    スピーカーについては、聴かないとさすがにわかりませんが、アンプ等に関するWEB上の製品紹介のところの技術情報は、いつも通りそれっぽい図表は出してるけれど、定量的な話はせず、基本イメージに訴える方向なのは相変わらずですね。

    「商売よりも技術継承なんだ」という心意気に関しては、確かに評価できます。ただ、国産大手電機メーカーさんって、経営状況が芳しくなくなると、すぐ撤退してサポートもほどなく終了してしまうんじゃないかという懸念があるので、その辺どのくらいやれるのか、今後注視すべきポイントではありますね。

    あと、関連した技報も見つけたので、載せておきます。
    panasonic.co.jp/ptj/v6002/pdf/p0106.pdf

    まあ、技報というのは一種の広告ですから、細部をほじくるは野暮なので控えますが、どうしても最後に一言だけ。
    「どうして他社のA級アンプじゃなくて、(フルデジタルを含む)D級アンプと比較しないんですか?」

    返信
    1.  先日聴いたのでざっくりと自己フォロー。

      大阪のヨドバシ梅田には専用ブースが設けてあり、C700シリーズとR1シリーズを試聴できるようになっています。
      簡易的なもので完全に遮音されているわけではないですが、店頭で一般的な開放状態での試聴よりは少しよい環境になっています。

      ざっくり聴きの印象ですが、大方の予想通り、物量を投入しているR1はスピーカーのおかげで音量をそれなりに出して音を充満させてやると、やはり雰囲気はありますね。
      あと、パワーアンプの現物はやはりデカい。

      C700はスピーカーが値段なりというかもひとつというか、あまりイイ!という印象は受けませんでした。近くで聞くと「ハコものが鳴っている感」がわかりやすかったですし。同じ価格帯でも、別のスピーカーを組み合わせた方がよさげかなと思いました。

      音的にはどちらもフルデジの音ですので、間違いのないところですね。C700のアンプでR1のスピーカーを駆動してもたぶん変わらないと思います。
      結局出口(スピーカー)と音量を出せる環境で決まるというありがちな結論に。
      あと、どちらもガタイの割に情報表示部が小さいので、なんかちぐはぐ感を感じますね。

      来年1月にはオールインワンプレミアムモデルのSC-C500(スピーカー付・一式20万円?)が出るそうなので、また出たら聴きに行ってみます。ブースがそのまま継続しているのかどうかはわかりませんが。

      返信
      1. 創造の館 管理人 投稿作成者

        視聴レポートありがとうございます。テクニクスのハイエンドはスピーカの能率が低すぎ。鳴り方もそれなりだったと思います。
        低音と能率がトレードオフの関係にあるので、小さいスピーカーだとどうしてもこうなりますね。
        昔はSB-10000みたいな商品も作っていたのですが、オーディオ以外に楽しみが多い現代では音のためだけに大型スピーカを導入する、なんて人は少ない。だから、このようなマーケティングになっているのでしょう。
        どーしてもいい音が欲しい。そんな人には、エレクトロボイスの300Eなんかがお勧めですが、サブウーファーがヘルムホルツ共鳴のYSTしかない。まさに冬の時代ですね。

        (SB-10000などこのころの製品の単品カタログを持っていました。でも子供のころの話、母にゴミと間違われて捨てられてしまったのが悔やまれます。)

        返信
        1. 今年もよろしくお願いします。
          すっかり遅くなりましたが、コメントありがとうございます。
          ちなみにカタログのキャッチコピー?には、「まだ経験したことのない音」みたいなことが書いていましたが、トップモデルも含めて、もちろん悪くないですが、そこまでではないかなというのが率直な印象です。もっとも、(フル)デジアン経験のない人には、新鮮に聞こえるかもしれません。

          あと、だいぶ前ではありますが、近日(16/1/22)発売のSC-C500の仕様も発表されてますね。
          一連のシリーズ中ではスピーカー込みで20万円と、エントリーの位置づけです。しかし、レシーバー部のまとまりは、デザインも含め一番いいんじゃないかと思います。買うかと言われるとアレですが。

          FM/AMチューナーはありませんが、CD、光デジタル、LAN、USB、無線接続等と一通り揃えてるようで、PC-IN(USBダイレクト)があるのもいいです。
          同シリーズ他の機種に比べてかさばらないので、それらに共通した、「情報表示部と本体サイズとのアンバランス」さもあまり気になりません。
          なお、この機種や上位のCDP(SL-C700)も、ハイレゾ推し風潮の今ですらSACDに非対応のところを見るに、やはりメーカーさんもあまり意義を感じてないんだろうなとも思ったり。

          スピーカーは、Boseのマルチメディア系スピーカ等でよく使われていた、小径フルレンジドライバ+音導管といったところでしょうか。真の低音再生ではないですが、BoseのMediaMate2で音モノに興味をもつようになった身としては、小型・安価でもそこそこ楽しく聴かせてくれるこの方式は(うまくまとめてあるなら)キライではなかったりします。

          返信
          1. 創造の館 管理人 投稿作成者

            ゆさんこちらこそよろしくお願いいたします。
            SC-C500、微妙な商品ですね、CD再生のギミックは良く出来ていると思います。マランツCD-23を髣髴させます。
            スピーカーはバイアンプの専用接続みたいですね、他のスピーカーに繋げないのが残念。ヘルムホルツ共鳴を使ったかなりユニークなスピーカーにみえます。
            高いだけあって仕上げがいいし、まあお金持ちのインテリアでしょうか。

            >>MediaMate2
            PC用小型スピーカーならいいものがあります。ONKYO GX-R3X(B)、古い商品ですがまだ売ってるみたいです。かなりマトモな音のするスピーカーです。機会がありましたら試聴をお勧めしたいです。

          2. (※返信リンクがなかったので、流れがよみづらくなったらすみません)

            あちゃ~、C500のSPは専用線接続でしたか、これはイタいですね。線をバラしてやれば使える?のかもしれませんが、そもそも普通の端子を使用して欲しいところです。
            SPの鳴りっぷり自体は興味があるので、展示機が出たら聞いてみたいと思います。
            あと、うちの汚部屋より、オシャレな部屋が似合いそうなのは間違いないですね。

            GX-R3X、愛称Leθでしたっけか、まだ健在だったのはオドロキです。ONKYOのPC用アクティブSPは結構色々出てたので、とっくに廃番になってたのかと思っていました。
            当時初心者だったので、結局わかりやすく楽しめるMM2にしましたが、MM2を購入する際に、こいつも検討しました。低音の線がちょっと細めでしたが、価格は半分以下でコストパフォーマンスは結構よい音だったように記憶してます。
            これに限らずONKYOのPC用SPシリーズは全般に中高域がなまじよい分、低域の物足りなさが目立つ印象を持っています。サイズ、価格等もろもろの制約でやむを得ないのでしょうが。

            こういう音モノのエントリーとも言える、デスクトップ向けの小型システムで、現在コレは!と言えるものがなかなかなく、さてオススメはと考えた場合になかなか難しいものがあると感じます。
            以前はBlueSky eXo2が個人的には堅かったのですが、国内の正規販売チャンネルがサポートも含めなくなってしまいましたし…

            何やら、ハイエンドのハナシから一気にエントリーになりましたが、エントリーも頑張っておかないと、ミドルレンジ以上も今後細っていかないかしらん、と思ったりしてます。以前LeanAudioさんでされてたような取り組みを、メーカーレベルでやってほしいとこなんですけどね。

          3. 創造の館 管理人 投稿作成者

            デスクトップ向け小型システムでマシな商品が皆無というのは同感です。パソコンを中心にした極小高音質システムというのは、ニーズがありそうです。面白そうなネタですね。
             デスクトップは低音が被るので、かえって出てないほうが素直な音になりやすい。音を優先するとやっぱりサブウーファーで分けるとよさそうです。

            こんなのはどうでしょう。GX-R3X(B)にはサブウーファー端子があるので、Creativeのサウンドボード→GX0R3X+YSTサブウーファー足元設置。
             サブウーファーが邪魔臭いでしょうか。サウンドボードは交換が容易なようにUSB外付け。できれば光outも欲しい。
             GX0R3Xはアナログ入力のパワードなので、音の出口に良いサウンドボードが必要になります。ここでずいぶん音が変わりそうです。
             GX0R3Xの上に位置するスピーカーで、高能率小型があるといいのですが。パワードでなく外付けのデジタルアンプで駆動したいですね。

          4. 先日、C500の現物が大手量販店に出てたので聴いてみました。
            なお、今回は隔離ブース内ではなく、レジ前の設置でした。

            で、肝心のSPの鳴りっぷりですが、残念ながら期待ハズレでした。
            Boseのようなパンチの効いた気持ちよさがあるわけでなく、中高域の美しさに秀でるわけでもなく、全体的に「パッとしない音」ですね。

            しかもSPが専用線接続で、シロートには気軽に替えられないことを考えると、ちょっとオススメできないシステムだと思います。
            レシーバー部のデザインは思った通り、無駄にかさばらずスッキリしててよかったんですけどね。

            上位の700系もそうですが、高級モデルならもう少しSPを頑張れよ、というのが率直な感想です。

            GX-R3Xを使って2.1chシステムを構築するのは面白く、有効なアイデアだと思います。
            SW-OUTが使えるのがいいですね。
            組み合わせる音源やSWにもよりますが、先日聴いたSONY CAS-1より安くてよいシステムが構築できそうです。

          5. 創造の館 管理人 投稿作成者

            ゆさんいつもレポートありがとうございます。

            やはりC500はお金持ちのインテリアで、BGMのように音楽を流すような聴き方に合っているのでしょう。
            C700は奇妙奇天烈なデザインが気になりますね、ボリウムツマミの位置がおかしいです。
            テクニクスの機器はどんな人たちをターゲットに売ろうとしているか、良く見えないですね。ブランドを樹立する本気さも伺えない。
            ブランドや高額商品は長期サポートとセットでないと価値が半減するもの、修理対応は生産終了後7年とか言われると、使い捨ての消耗品。高いお金を出して買う価値はないことになってしまいますね。

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