スピーカーの選び方(ジャンル別)

 オーディオコンポーネントの中で一番音に影響する機器がスピーカーだ。「オーディオという趣味は、好みのスピーカを見つける旅である」ともいえるだろう。「コイツとは一生付き合える」そんなスピーカーと出会うことが出来たら幸せだ。

 

ユニットの構成は2ウェイがベスト

 ユニットの数は多いほど、歪や周波数特性などの諸特性が優れてくる。しかし、3ウェイ以上になると音をまとめるのが難しく、どうしても音が不自然になる。スタジオモニターではJBL4343などのような4ウェイ以上の構成が見られるが、これは音の細かな違いを明確に出すため。音楽鑑賞が目的の場合は良いとは限らない。

 1本で全帯域を再生するフルレンジは再生帯域に無理があり、性能的にも聴感上も、満足いくシステムを作ることが困難である。フルレンジの高域は分割振動で音を出すため過渡応答が悪く、聴感上高音が汚い。変調歪みや分割振動のため位相特性が悪く、単一の音源でありながら音像定位が悪い。

 フルレンジは10cm口径がこの問題が少なく実用になるが、中域だけ張り出した音になる。そのためBOSE101では中域のレベルを下げる為のパッシブイコライザーを内蔵している。

 2ウェイの構成は音質と性能のバランスがよく、音質に定評のあるシステムは2ウェイが多い。ウーファが30cmを越えるとツイータとのつなぎが厳しいが、広帯域のホーンドライバを使うことにより、音質的に満足いくシステムを作ることが可能。オーディオシステムを音楽鑑賞に使うなら、2ウェイのシステムをお勧めする。

 

BOSE901IVのスケルトンモデルを紹介した雑誌広告  10cmフルレンジを正面1個、背面8個配したユニークなシステム(BOSE901IV 1980年頃)。音場の再現を目指して設計されたもの。

 専用イコライザーとセットの構成がビュアオーディオの世界であまり受け入れられなかったようだ。

 

 

振動板の素材はどんなものがいいか

 セルロース繊維(パルプ)がベスト。は紙に代わる新素材が検討されてきたが、出てくる音はどこか無機質だ。無機質に聞こえるのは、歪みによって発生する高調波成分の出方が不自然な為と推測する。

 アコースティック楽器の多くがセルロース繊維でできている。振動板も同じ材料を使うのが一番よく合いそうなことは、容易に想像つく。

 

ジャンル別に最適なシステム

 1つのスピーカーで全てのジャンルの音楽を最良の音で再生するのは困難だ。スピーカーを選ぶ際には、自分の音の好みと聞きたいジャンルの音楽を明確にすることが必要になる。

 モニタースピーカーは忠実再生を目的として作られている。あらゆるジャンルの音楽を無難にこなすが、ジャンルに合った音の傾向を持つスピーカーのほうが、より音楽を楽しめる。

 音色に特定の傾向を持つスピーカーを、別のジャンルの再生に使うと、まったく合わないことがある。

 例えば、タンノイのスピーカーにロックは明らかにミスマッチ。これはタンノイのスピーカーがエンクロージュアがよく鳴り響くよう作られている為で、これにロックを流すと締まりのない音になってしまう。

 このような失敗を防ぐために、スピーカーの音の傾向を事前に知ることが重要だ。

 国産スピーカーはいったいどんな音楽に適しているのか、よく見えない商品が多い。ここはシステムの構成や、振動板の材質等から、ある程度推測可能だ。これを次にご紹介する。

 

ロック、ニューミュージック

 ツイータが金属(メタル)で出来たスピーカーを選ぶ。
 このジャンルの音楽は、あまりHi-Fiでないスピーカで鳴らしたときバランスよく聞こえるように録音されているので、性能の良いスピーカは適さない(逆に違和感を感じる結果になりやすい)。

 おさかな天国やTVアニメの主題歌もこのジャンルに入る。

 

フュージョン

 締まりの良い音が適するので、エンクロージュアが密閉式のスピーカーを選ぶ。ツイーターはメタルが望ましい。
 加工した音がメインのため、3ウェイ以上のシステムを選択してもその欠点が目立たない。むしろ再生周波数の広さが干渉する上でプラスに作用する。

スピーカーシステム ヤマハ NS-1000Mの外観 写真は昔我が家にあったヤマハのNS-1000M。フュージョン系ではこのスピーカーが最高の音を聴かせた。今はもう、中古しか入手できない。

 

 

小編成アコースティック

 16~20cmウーファ+ソフトドームの小型2ウェイスピーカーを選ぶ。このジャンルでは昔からハーベスの評判がよい。
 小型スピーカーのメリットに良好な音像定位がある。室内楽やギターを臨場感たっぷりに再生する。

 エンクロージュアはバスレフ式が良い。小型スピーカーの密閉式は能率が低いか、低音が出ない。

 スピーカが小さいのでスタンドが必須。定位の良さを生かすため、支柱一本で空間に浮くようなセッティングができるものがいい。

 

ジャズ

 軽量パルプコーンのウーファにホーンを組合わせた高能率スピーカーを選ぶ。

 ホーンスピーカーが同じホーンを利用したペットなどの音色とマッチしてゴキゲンなサウンドを聞かせる。

 この構成のシステムは一般のオーディオ製品で探しても見つからない。SR用が候補になる[1][2]

 

オーケストラ

 フロアタイプの大型スピーカーを選ぶ。振動版はパルプ、ツイーターはホーンが望ましい。
 エンクロージュアはバスレフ式か、タンノイのようなバックロードホーンで、箱鳴りを積極的に利用したスピーカーが候補になる。

 

忠実再生

 スタジオ用のモニタースピーカーを選ぶ。
 とにかく録音に正確な音が欲しい人に適する。ダイヤトーンやエクスクルーシヴが有名だったが今は入手が難しい。今はフォステクスがこの分野に力を入れている。

 

スピーカーシステム ダイヤトーン DS-A1の外観

 ダイヤトーンDS-A1。理詰めで特性を追及したスピーカーで忠実な音が特徴だった。

 

 

注意事項

 アッテネータに可変抵抗器を使ったものは将来接触不良になる。スピーカのエッジがウレタンのものはボロボロになり修理に出すことになるので避けたい。

 

<参考購入先>
高級スピーカ一覧 大型の2Wayがお勧めです

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